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電力はAIの“通貨”だ ― 中国がエネルギー×インフラで加速する理由 : 電力・回線・チップで組む“中国式AI国家プロジェクト”

電力はAIの“通貨”だ ― 中国がエネルギー×インフラで加速する理由 : 電力・回線・チップで組む“中国式AI国家プロジェクト”

2025年10月03日 00:10

はじめに──AIのボトルネックは、もはや電力と配線だ

生成AIの主戦場はモデルやアルゴリズムから、電力・冷却・回線・立地へと軸足を移しつつある。中国はまさにここを国家政策のど真ん中に据え、「エネルギー×インフラ」でAIの出力(スループット)を底上げしている。なかでも象徴的なのが「東数西算」。エネルギーの余裕がある西部に計算資源を集約し、人口と需要が密集する東部へ低遅延ネットワークで“算力”を届ける設計思想だ。政府系の方針や研究は、8つの国家級“算力ハブ”と10のデータセンタークラスターという地図を描き、クラウド・大規模データ処理と一体で最適化を進める。china-briefing.com


この動きは環境面でも条件を付す。中国はデータセンターの平均PUE(電力使用効率)を2025年までに1.5未満に下げる計画を掲げ、再エネ利用の拡大を国家方針として明示した。さらに2025年以降のグリーン電力証書(GEC)制度を軸に、再エネ利用の証憑化と“グリーン算力”の拡大を求めている。english.www.gov.cn


具体例──芜湖「データ島」は何を狙うのか

2025年秋、安徽省・芜湖の“データ島”計画が海外メディアで一斉に取り上げられた。およそ370億ドル規模の事業で、760エーカーの島をデータセンター群に転換し、華東圏(上海・杭州・南京など)へ低遅延で“算力”を供給するという。通信各社やHuaweiのメッシュ技術で全国に散らばるサーバ群を束ね、分散と冗長性を両立させる構想だ。報道は、米国(世界の算力の約75%)に対し中国が約15%とのギャップを埋める狙い、AIチップ購入に最大30%の補助を付ける動きも伝えている。もっとも、農地転用や生態系・水利用への懸念も根強い。TechRadar


東数西算の“配電・配算”哲学

東部に需要、⻄部にエネルギー──このミスマッチを、高圧直流(HVDC)送電や長距離ファイバーで橋渡しするのが“配電・配算”の発想だ。国家データ局や国営メディアは、14省にまたがるネットワークの波及効果、約1兆元超の社会投資誘発、そして西部クラスターの台頭を強調する。直近の統計でも、枢纽(ハブ)ノードの算力に占める“知能算力”比率は8割超に達したとされる。news.cctv.com news.cctv.com


一方で、建てる速度が速すぎた副作用も出た。2022~2024年の建設ブームで、約7,000の認定データセンターの多くが稼働率20~30%にとどまるケースが出たという。これに対し、政府は2028年までの全国“算力クラウド”構想を打ち出し、余剰を売買・再配分するネットワークを構築する方針だ。課題は、遠隔地由来の遅延や、NVIDIA系と国産系が混在する異種チップのソフト・ハード統合である。Reuters


電源の話:再エネと原子力の“二刀流”

AIが飲み込む電力は桁違いに増える。国際エネルギー機関(IEA)や専門機関の試算では、2030年までに世界のデータセンター電力は2倍以上、地域によっては3倍へ。中国単体でも2030年に400~600TWh(CO₂は最大2億t程度)に達する可能性が指摘される。これに対し、各国は小型モジュール炉(SMR)など新規原子力の活用や、再エネPPA/グリーン証書で“ゼロカーボン電力のひも付け”を拡大する流れだ。中国は現在、世界最大規模で原発建設を進めており、今後数年で首位に躍り出るとの見立てもある。nucnet.org


再エネ側でも、青海などで太陽光の“点対点”連系を使い、近傍データセンターへ直接グリーン電力を供給する実証が進む。政策はPUE低減に加え、ハブ新設案件のグリーン電力比率80%以上を指向するなど、量から質へ舵を切り始めた。news.cctv.com


チップとネットワークの“見えない壁”

AIの国産化は前進しているが、最新世代GPUの入手制限は依然として重い。国産アクセラレータの性能は向上し、国内データセンターでの導入事例も増えるが、異種プラットフォームを一つのクラウドで抽象化し、同等の開発体験・スケールを提供するにはソフトウェア層の整備が不可欠だ。西部ロケーション特有の遅延や、学習・推論のワークロード最適化もハードルになる。こうした“摩擦”が、装置はあるのに稼働が上がらない現象につながる、という指摘は説得力がある。Reuters


SNSの反応──賛否の座標軸

  • 肯定派(主に中国国内):「計算力=国力」「西電東送×東数西算は理にかなう」。枢纽ノードへの算力集中や再エネ比率の上積みを歓迎する投稿・解説が目立つ。国家データ局・国営メディアの報道でも“西部の風光水電をAIに直結”の語り口が浸透している。news.cctv.com

  • 慎重派(国内外混在):農地転用や水資源、熱排出、系統安定性に懸念。芜湖の「データ島」に象徴される“巨大化”は、地元の土地利用や持続性の観点から論争を呼ぶ。TechRadar

  • 技術・投資コミュニティ(海外掲示板):

    「最先端GPUは不足しているのに、GPUレンタル価格は不自然に安い――過剰設備と先端不足の矛盾」
    という指摘が複数見られる。ブーム期の大量建設と、先端チップの入手難の“ねじれ”を指摘する声だ。Reddi




何が“差”を生むのか:運用の学と市場設計

建てるだけでは足りない。差を生むのは運用と市場設計だ。

  1. 負荷の平準化:東部のピーク需要と西部の発電プロファイルを、HVDC・GEC・需要応答(DR)で一致させる。

  2. ワークロード適合:学習(帯域重視)と推論(レイテンシ重視)を地理・回線で振り分ける。

  3. 異種チップ抽象化:NVIDIAと国産アクセラレータを共通APIで提供し、開発者体験を等価に近づける。

  4. 再配分市場:国家クラウドで余剰算力を売買し、稼働率の底上げと価格の透明化を図る。Reuters


投資・産業への示唆

  • 電力×DCの垂直統合:再エネPPA、GEC、液冷(特にCDU/浸漬)、高密度ラックのセット販売は成長余地が大きい。

  • 送配電・回線の隘路:HVDCや地域IX、光伝送の増強は“真のボトルネック”。

  • 原子力の現実解:SMR/新設原発の進展は2030年代のAI電力を左右。中国は建設パイプラインで世界先頭集団だ。nucnet.org

  • 地政学リスク:輸出規制は中長期の装置構成を規定する。異種環境に耐えるMLOpsツール群が再評価される。


おわりに

Seeking Alphaの論点が示す通り、中国のAIはエネルギーとインフラの複合体として設計されている。モデルの巧拙だけでは測れない“土台の強さ”が、次の数年でじわじわ効いてくるだろう。勝負は、どれだけ早く・安く・クリーンに計算を回せるか。そのための実装と市場設計こそが、AI競争の新しい主戦場だ。



参考記事

未来を築く:中国がエネルギーとインフラを活用して人工知能を加速させる方法
出典: https://seekingalpha.com/article/4827325-building-the-future-how-china-leverages-energy-and-infrastructure-to-supercharge-artificial-intelligence?source=feed_all_articles

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