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症状が出る3年前にがんを察知する「血液一滴」──多がん早期検査が切り拓く未来

症状が出る3年前にがんを察知する「血液一滴」──多がん早期検査が切り拓く未来

2025年06月14日 11:18

目次

  1. 研究の背景と意義

  2. MCEDテクノロジーとは何か

  3. ARIC試料解析が示す“3年前のシグナル”

  4. 感度・特異度の壁を越える技術革新

  5. 国内外で進む早期導入の動き

  6. 偽陽性・偽陰性と費用対効果の課題

  7. 医療現場・保険制度へのインパクト

  8. 患者・家族のライフプランをどう変えるか

  9. 倫理的・社会的論点

  10. 今後10年の展望と日本に求められる準備



1. 研究の背景と意義

がんは日本人の死因の第1位を占め、早期発見・早期治療が生存率を大きく左右する。従来の画像診断や内視鏡検査では、病変がある程度成長し症状が出てからでないと捉えにくいという限界があった。
今回紹介する研究は、血液中をわずかに漂う腫瘍由来DNA断片に注目し、「症状がまったく出ていない段階=プレクリニカル期」のがんを捉えるという野心的な試みである。earth.com



2. MCEDテクノロジーとは何か

MCED(Multi-Cancer Early Detection)は、一本の採血で複数のがん種を一括スクリーニングする次世代検査技術の総称だ。鍵となるのはctDNAの超高感度検出であり、数十億本のDNAの中からがん特有の突然変異パターンを選別する。


  • シークエンサーの読み取り精度向上

  • エラー補正アルゴリズムの改良

  • AIによる変異パターンの学習


    といった技術が近年急速に進歩し、市場では米Grail社の「Galleri」を筆頭に十数社が開発競争を繰り広げている。thesun.co.uk




3. ARIC試料解析が示す“3年前のシグナル”

研究チームは心血管疾患コホート「ARIC」に長期保存されていた約9,000名分の血漿を再解析し、のちにがんと診断された被験者のサンプルでctDNA変異を追跡。診断3年前時点で同一変異が検出され、その濃度は診断時の79分の1にすぎなかったという。これは

「臨床症状の出現よりもはるか前に、腫瘍が体内で“囁き声”を上げている証拠」
とジョンズ・ホプキンス大学のWang助教は語る。earth.com


3-1. 感度・特異度

解析ではがん全体の検出感度は68〜85%、偽陽性率は0.5%未満に抑えられた。特にステージIの検出例が増えた点が臨床的に重要だ。



4. 感度・特異度の壁を越える技術革新

MCEDの普及には「真に低濃度のctDNAを見逃さない感度」と「健康人を誤って陽性としない特異度」の両立が必須だ。


  • Unique Molecular Identifier (UMI) によるPCRエラー除去

  • デジタルドロップレットPCR でのコピー数精測

  • 長鎖リードシークエンス による構造変異の網羅


    が、偽陽性を抑えつつ微量変異を拾い上げる鍵となる。earth.com



5. 国内外で進む早期導入の動き

米国では複数の大規模前向き試験(PATHFINDER、SHIELDなど)が進行し、英国NHSは2026年にも高リスク層へのGalleri検査導入を視野に入れている。thesun.co.uk
日本でも北大・理研・東大病院を中心に「ジャパンMCEDコンソーシアム」が始動し、保険適用を見据えたバリデーションが予定されている。



6. 偽陽性・偽陰性と費用対効果の課題

超早期の陽性所見はオーバーダイアグノシスのリスクを伴う。陽性後精密検査(PET-CT、MRI、生検)へのフロー設計を誤れば医療費・患者ストレスが増大する。


  • 偽陽性率0.5%未満でも全国スクリーニングでは数万人規模の要精査者が発生

  • プレミアム検査費用(1回10万円超)が患者負担になる可能性


    が現実的な課題として浮上する。



7. 医療現場・保険制度へのインパクト

血液検査は侵襲が小さく、自治体健診や職域健診に取り入れやすい。だが


  1. 保険償還の基準作り

  2. がん登録データベースとの連携

  3. 陽性後フローを標準化するガイドライン


    といった制度整備が不可欠だ。



8. 患者・家族のライフプランをどう変えるか

“3年前診断”が実現すると、治療選択は外科的根治を前提とした局所治療+ライフスタイル介入へシフトする可能性がある。家族ケア・就労支援・保険商品の再設計など、医療外の領域にも波及効果が及ぶ。



9. 倫理的・社会的論点

  • 陽性結果をどう告知しメンタルサポートするか

  • 遺伝情報・個人データ保護

  • 受検格差の是正
    など、ゲノム検査特有の課題も再燃するだろう。



10. 今後10年の展望と日本に求められる準備

2025〜2030年代は「がん検診=血液検査+画像検査」という複合モデルが主流になると予想される。日本は


  • 国立がん研究センターによる全国コホート

  • AI解析を担う医療DX基盤

  • 政策としての保険適用拡大


    を急速に整備し、**“世界一早く、痛みなく、安価にがんを見つける国”**を目指す好機にある。



参考記事一覧

  • Earth.com “Simple blood test detects cancer up to 3 years before symptoms appear” (2025年6月13日)earth.com

  • The Sun “Simple blood test that detects dozens of types of cancer in those with no symptoms set for NHS rollout” (2025年3月)thesun.co.uk


シンプルな血液検査で、症状が現れる3年前までにがんを検出 - Earth.com
出典: https://www.earth.com/news/simple-blood-test-detects-cancer-before-symptoms-appear/

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