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中国版“GPU+ChatGPT+ロボタクシー”を一社で──BaiduのAI総力戦を読み解く

中国版“GPU+ChatGPT+ロボタクシー”を一社で──BaiduのAI総力戦を読み解く

2025年11月15日 22:59

1. ERNIE 5.0で“AI企業Baidu”へフルスイッチ

北京発の検索エンジン企業だったBaiduは、もはや「中国のGoogle」という説明だけでは追いつかない。
同社は2025年11月、次世代大規模モデル「ERNIE 5.0」と、自社開発AIチップの詳細なロードマップを発表し、AI企業としての再定義を世界にアピールした。aktiencheck.de


ERNIE 5.0はテキスト・画像・音声・動画を単一アーキテクチャで扱う“原生全モーダル”モデルで、総パラメータは2.4兆規模、MoE(Mixture-of-Experts)構造で推論効率を高めていると報じられている。斯坦证券


LMArenaというユーザー投票型評価サイトのテキスト部門では、Gemini 2.5 Proに次ぐ世界2位、国内1位という順位を獲得し、「創作能力は世界トップクラス」と中国メディアは強調する。新浪财经 banyuetan.org


Baiduはすでに消費者向けにはERNIE Bot、法人向けにはクラウドMaaS「千帆」経由でモデルを提供しており、今回のアップデートは“頭脳の総入れ替え”に近い。Stock Titan
検索企業から、モデルとチップ、アプリケーションを垂直統合するAIプラットフォーマーへの変身が本格化したと言える。



2. M100・M300と「100万枚クラスタ」の衝撃

ソフトだけではない。今回の発表で投資家の目を引いたのは、AIチップ戦略の踏み込み具合だ。

Aktiencheckの記事によれば、Baiduは2026年にM100、2027年にM300という自社開発チップを投入し、海外GPUへの依存度を下げつつ、巨大なマルチモーダルAI向けに最適化した計算基盤を構築する計画を明らかにした。aktiencheck.de


そして2030年には、これらチップを100万枚規模で束ねるコンピューティング・クラスターを整備するというロードマップまで語られている。aktiencheck.de


米中テック摩擦が続き、先端GPUの対中輸出規制が強まるなかで、「自前のチップ+自前のモデル」という構図は、中国国内でのAI主権を象徴する動きだ。Facebook


一方で100万枚というスケールは、電力・冷却・設備投資まで含めれば天文学的なコストを意味する。NVIDIA依存からの脱却というポジティブ・ストーリーと同時に、「投資負担が株主リターンを食いつぶさないか?」という懸念も、当然ながらセットでついてくる。



3. 実装の最前線:Apollo GoとGenFlow 3.0

「BaiduのAI戦略は、実験室ではなく街中で走っている」と象徴するのがロボタクシー事業「Apollo Go」だ。

最新の発表では、Apollo Goは世界22都市で完全自動運転のライドを累計1700万回以上提供し、週あたりの乗車件数は25万件を超えるという。aktiencheck.de


走行距離も2億4千万キロ以上、そのうち1億4千万キロ超が完全無人走行という数字は、Waymoと並ぶ世界トップクラスのスケールだ。PR Newswire


中国国内だけでなく、欧州・中東・香港などへの展開も進んでいる。スイスの公共交通会社PostBusとの提携で2027年までに本格運行を開始する計画や、Uber・Lyftとの協業による海外展開など、Baiduのロボタクシーは「中国ローカル」から「グローバル・モビリティ・プラットフォーム」へと変貌しつつある。Reuters Reuters


もう一つの柱がAIアシスタント「GenFlow 3.0」だ。ERNIE 5.0と連動する形でアップデートされ、ユーザー数はすでに2000万人を突破。ノーコード開発ツールMeDo/Miaodaと組み合わせて、40万以上のアプリがこのエコシステム上で作られたとされる。aktiencheck.de


中国国内では、「WeChatミニアプリ+AIエージェント」を掛け合わせたような世界観が静かに広がっている。



4. それでも下落した株価──投資家が見ているポイント

これだけ派手な技術発表にもかかわらず、株式市場の反応は冷ややかだった。

ERNIE 5.0のローンチ後、Baidu株は一時10%近く急落し、「最新モデルは慎重な投資家を十分に納得させられなかった」と海外メディアは報じている。ヤフーファイナンス


Aktiencheckの記事も、Baidu株が52週高値から約16%下落した位置にあり、「Moderate Buy(中立寄りの買い)」評価と131ドルのコンセンサス目標株価という“期待と不安の中間点”にいることを指摘する。aktiencheck.de


市場が気にしているのは、主に次の3点だ。

  1. AI投資が売上・利益にどうつながるのか
    11月18日に予定される決算で、AIクラウド、Apollo Go、GenFlowなどがどれだけトップラインを押し上げたのかが、初めて本格的に検証される。aktiencheck.de

  2. 広告ビジネスの減速をどこまで補えるか
    中国経済の減速で検索・広告収入は頭打ち気味とされるなか、AI関連売上がどの程度「第二のエンジン」として機能しているかが焦点だ。Reuters

  3. 規制と地政学リスク
    自動運転の商用化は各国政府の規制に左右される。さらに、自前チップ路線は米国の輸出規制回避という利点がある一方で、中国テック企業への投資に慎重な海外マネーをますます遠ざける可能性もある。Reuters

技術面では明らかに前進しているのに、株価が噴き上がらないのは、「物語は壮大だがPL(損益計算書)にはまだ十分反映されていない」という、成長株あるあるの状況と言える。



5. SNSはどう見たか?中国ネットと英語圏投資家の温度差

今回のERNIE 5.0発表をめぐっては、SNSでも反応が分かれた。

中国語圏SNS:誇りと辛口レビューの二層構造

WeiboやIT系ブログでは、「LMArenaでGPT-5と肩を並べる」「創作能力で世界1位」など、技術的快挙を称える投稿が多く、「ついに中国の大モデルが世界トップクラスに到達した」というナショナルプライドがにじむ。

一方、実際にERNIE 5.0を試した開発者や個人ブロガーからは、もっとシビアな声も聞こえる。

  • 「生成速度が遅い、Web版にHTMLプレビューもなく、日常利用の体験はまだ改善の余地あり」360doc

  • 「ランキングは立派だが、プロダクトとしての磨き込みはこれから。特に長文生成とツール連携の細かな挙動が気になる」juejin.cn


つまり「技術的ポテンシャルは高いが、ユーザー体験はまだ発展途上」というのが、中国国内コミュニティの率直な評価だ。


英語圏投資家SNS:決算までは信用しないムード

英語圏のX(旧Twitter)や投資家コミュニティでは、テック系メディアの見出し──「株価急落」「投資家はまだ警戒」──を引用しつつ、

  • 「チャート上では依然ダウントレンド。AIイベントは売り場を提供しただけ」

  • 「中国銘柄にこれ以上リスクを取りたくない。決算数字が出るまでは様子見」

といったトーンの投稿が目立つ。これらの雰囲気は、ERNIE 5.0発表直後の株価急落を伝える海外報道とも整合的だ。ヤフーファイナンス

技術ニュースを追う人ほど「BaiduはOpenAIやNVIDIAに対抗しうる総合プレイヤー」と評価する一方、マーケットは「中国リスク+巨大CAPEX(設備投資)」を嫌気し、バリュエーション拡大に慎重──そんな温度差がSNSからもにじみ出ている。



6. BaiduのAI戦略をどう評価するか──3つのシナリオ

ここまでの情報を踏まえて、投資家目線でBaiduのAI戦略をざっくり3つのシナリオに分けて考えてみよう。

① 勝ち筋シナリオ:AI総合プラットフォームとして再評価

  • ERNIE 5.0が国内企業の「デフォルト大モデル」となり、クラウド売上が継続的に成長

  • Apollo Goが中国・欧州・中東で規制をクリアしつつ商用化が進み、プラットフォーム収益が拡大

  • 自社チップM100/M300が外販も含めて成功し、「中国版NVIDIA」の一角として評価される

このシナリオでは、AIビジネスが売上と利益の両方を押し上げ、現在のPER・株価レンジが大きく切り上がる余地がある。


② 我慢のシナリオ:技術は進むが、利益はついてこない

  • 大規模なCAPEXと研究開発費が続き、利益率は長期にわたり圧迫

  • 規制や競争の激化で、自動運転・AIサービスのマネタイズが遅れる

  • 投資家の評価は「中国の国家インフラを支える半公共企業」に近づき、株主還元は二の次

この場合、売上は伸びても利益貢献は限定的で、「すごい会社だが、株主にはあまり報いてくれない企業」というポジションに落ち着く。


③ ダウンサイドシナリオ:規制・地政学でブレーキ

  • 海外でのロボタクシー展開が規制や政治的摩擦で頓挫

  • 追加制裁や規制により、自社チップの製造や海外販売に支障

  • 国内競争(アリババ・ByteDance・スタートアップ各社)が激化し、ERNIEのシェアが想定ほど伸びない

ここまで悲観的なシナリオは現時点でメインシナリオではないものの、中国関連株である以上、投資家は常に頭の片隅に置いておく必要がある。



7. 日本の個人投資家がチェックしたいKPI

もしあなたがBaiduを投資対象としてウォッチするなら、次の指標を決算やカンファレンスコールで追いかけると、AI戦略の実行度合いが見えやすくなる。

  1. AIクラウド・大モデル関連売上の伸び率
    千帆プラットフォームやGenFlowなど、AIサービス売上の前年同期比。

  2. Apollo Goの運行指標
    対象都市数、車両数、累計ライド数・週次ライド数、黒字化のタイミング。PR Newswire

  3. CAPEXとAI関連投資額
    M100/M300およびデータセンター建設にどれだけ資金を投じているか。aktiencheck.de

  4. 規制・パートナーシップのアップデート
    各国での自動運転ライセンス状況や、Uber・Lyft・公共交通機関などとの提携の進展。Reuters

これらが着実に前進していれば、株価が一時的に失望売りに押されていても、中長期では「AIインフラ企業」としての評価が見直される可能性が高まる。



8. 結論:物語は壮大、答えを出すのはこれから

ERNIE 5.0、M100/M300、Apollo Go、GenFlow 3.0──Baiduは、モデル・チップ・アプリケーション・モビリティの全方位でAIを押し出し、「中国のAI国家戦略の中心プレイヤー」という立ち位置を固めつつある。


しかし市場は、「物語」だけでは株価を上げてくれない。SNS上では技術面への賞賛と、マネタイズへの疑問、そして中国リスクへの警戒が交錯している。


Baiduは今、OpenAI+NVIDIA+Waymoを一社でやろうとしているような、非常に野心的なポジションに立っている。
その壮大な賭けが「株主にとっても報われる物語」になるのかどうか──その答えは、これから数年にわたる決算と、世界中の都市を走るロボタクシーが教えてくれるはずだ。



参考記事

BaiduのAIへの野望:包括的な戦略が明らかに
出典: https://www.aktiencheck.de/news/Artikel-Baidu_s_AI_Ambitions_A_Comprehensive_Strategy_Unfolds-19214331

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