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脳は「7つの感覚」で最強になる? ― 最新研究が示した“臨界次元”の謎 : 記憶容量を最大化するのは7次元だった

脳は「7つの感覚」で最強になる? ― 最新研究が示した“臨界次元”の謎 : 記憶容量を最大化するのは7次元だった

2025年10月13日 00:30

「五感」は最適解ではない?――“臨界次元7”が意味すること

2025年8月15日に公開されたScientific Reportsの論文は、記憶の担い手とされるエングラムの“群れ”が長期にわたってどう増減し、どのくらい多様な概念を保持できるかを、学習・忘却・刺激との相互作用を含む新しい運動論(kinetic)モデルで追跡した。著者らは解析とモンテカルロ計算の両方から、概念空間の次元が7のときに、区別可能なエングラムの数が最大になる――すなわち臨界次元が現れる、と報告している。もし各“特徴”をひとつの感覚に対応づけるなら、これは「最適な感覚の数は7」という読み替えになる。Nature


なぜ“7”なのか:モデルのカギ

論文は、刺激がエングラムを“命中”すると感度が上がり、形(広がり)がシャープ化する一方、環境からの入力が多すぎると輪郭が拡散する――という直感的だが普遍的なルールを採用した。多数のエングラムが共存する定常状態を解析すると、次元が低すぎれば概念同士が重なって識別数が伸びず、高すぎれば空間が“スカスカ”になってヒット頻度が落ち、結果的に保持できる概念の総数は下がる。両者のバランスが取れる山頂が7付近だ、というのが本質だ。著者らはこの現象に理論的説明も与えている。Nature


受容性と「概念の鋭さ」のトレードオフ

モデルは受容性(receptivity)が高いと新奇刺激を取りこぼしにくくなるが、同時に概念のシャープさが犠牲になるという緊張関係も示した。現実の神経回路研究でも、エングラムの構成や選択性が学習や抑制性可塑性に応じて変化することが報告されており、理論側の示唆と整合的だ。Nature


SNSとメディアの反応:熱狂と慎重論

公開から2か月弱の2025年10月12日(JST)時点で、AltmetricはXユーザー21、Bluesky 8、ニュース11媒体、ブログ2などの反応を集計。全体スコアは**上位5%**に入る高水準だ。拡散の核は一般層だが研究者アカウントからの共有も見られ、地理分布は米仏独などに広がる。Nature


メディアでは、Popular Mechanicsが「人間が7つの感覚を持つ可能性」という見出しで分かりやすく紹介し、SciTechDailyやTechXplore、ロシア系・独語圏の科学メディアも追随。The Debriefやニュースポータルも取り上げ、直観に訴える“7”という数字が見出し映えした。ct.moreover.com SciTechDaily


一方のSNSでは、

  • 賛同派:「AIやロボティクスのセンサー設計の指針になり得る」「視・聴・触・嗅・味に磁覚・放射感覚のような新しいチャンネルを足せば、学習効率が上がるのは理に適う」などの意見。ct.moreover.com

  • 慎重派:「次元=感覚の対応は仮定であり、ヒトの生理学的進化を直接予言するものではない」「実験神経科学の裏付けが必要」という冷静な声。プレスリリースも“仮説的解釈”であることを明示している。skoltech.ru


私たちは“七感”を手に入れるのか

著者ら自身も、人間がすぐに2つの新感覚を獲得するとは主張していない。むしろ応用先として現実的なのは、AI/ニューロモルフィックの世界だ。視覚や音響に加え、磁場・放射・化学センサーなど多様なセンサフュージョンを行うシステムで“7チャンネル付近”を目安に設計すると、概念の多様性を最大化できる可能性がある。ct.moreover.com


ここに注意:誤解されやすいポイント

  1. “7=正解”という決め打ちではない。 モデルの前提や環境の統計に依存し得るし、生体の神経発達・代謝コストは別の制約を課す。Nature

  2. 生体実証は今後。 エングラム研究は急速に進むが、今回の主張は理論であり、脳全体の実験的検証が要る。Nature

  3. “感覚”の定義は揺れる。 痛覚、温度、平衡感覚、固有感覚などをどう数えるかで議論は変わる。論文は**“特徴次元”**として扱い、便宜上、感覚に対応づけた。Nature


研究の価値:議論を動かす“よい理論”

理論は現実を単純化する代わりに直観を与える。今回の成果は、受容性と輪郭の鋭さのトレードオフ、最適次元の存在という、設計論としての効用を提示した点が大きい。とくに、マルチセンサAI設計の“チャンネルの増やし方”に、量的な指針を与えた意味は重い。メディアが“七感”というキャッチーなフレーズで騒ぐのも理解できるが、研究コミュニティは仮説と検証の往復でこのアイデアを磨いていくだろう。Nature



参考リンク(出典)

  • 原著論文:Scientific Reports(2025年8月15日公開)Nature

  • Altmetricメトリクス(2025年10月12日更新/X 21件・Bluesky 8ほか)Nature

  • メディア解説:Popular Mechanics / SciTechDaily / TechXplore / The Debrief / The News(Pakistan)ct.moreover.com SciTechDaily

  • 関連レビュー・実験研究:Tomé et al., 2024(Nat. Neurosci.)ほかNature

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