健康の盲点!その「ヘルシーな食事」、甘さを見落としていませんか? サラダとラテに潜む糖の話

健康の盲点!その「ヘルシーな食事」、甘さを見落としていませんか? サラダとラテに潜む糖の話

朝はオーツミルク入りのコーヒー。昼は野菜たっぷりのサンドイッチ。夕食には、ビーツを添えた色鮮やかなサラダ。

健康を意識して選んだ食事にも、思いのほか糖が含まれていることがある。見落としやすいのは、主役の食材よりも、そこに添えるソースや味付け、飲み物だ。

英Daily Mailが2026年11月3日更新の記事で取り上げたのは、こうした日常の「隠れた糖」。記事に登場する栄養専門家のアーリヤ・ネルソン氏は、甘いと思っていない食品でも、ドレッシングやマリネ液、調味料から糖を取っている場合があると説明している。

とはいえ、この記事を「サラダも植物性ミルクも体に悪い」と読むのは早計だ。

ネルソン氏の提案も、冷蔵庫の中身を捨てたり、食事のたびに罪悪感を抱いたりすることではない。よく口にするものを確認し、気に入る代替品があれば替え、量を少し調整する。そのくらいの現実的な見直しだ。


最初に整理したい。「糖類」と「添加された砂糖」は同じではない

「糖が多い」というニュースを読むとき、最も気をつけたいのが言葉の混同だ。

食品に含まれる「糖類の総量」には、製造時に加えられた糖だけでなく、牛乳の乳糖や、果物・野菜にもともと含まれる糖も入る。

一方、WHOが摂取を減らす対象としている「遊離糖類」は、メーカーや調理する人が加えた糖類に加え、蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁に含まれる糖などを指す。丸ごとの果物や野菜の組織内にある糖、牛乳にもともと含まれる糖とは区別される。

つまり、「糖類が10gある」という表示を見ても、それだけで「砂糖が10g添加されている」とは判断できない。

この違いを飛ばすと、加糖飲料を見直すつもりが、果物や無糖の乳製品まで遠ざけてしまう。食生活を整えるには、数字の大きさだけでなく、その数字が何を表しているのかを知る必要がある。


サンドイッチのピクルス——酸っぱいから糖が少ないとは限らない

元記事が挙げた一例が、英国で親しまれる「Branston Original Pickle」だ。記事によると、糖類は100g当たり約31g含まれる。

ただし、ここでいうピクルスは、きゅうりの酢漬け全般を意味するわけではない。紹介されているのは、刻んだ野菜を使った甘酸っぱい調味食品だ。この商品の数字を、すべてのピクルスや漬物に当てはめることはできない。

また、100g当たり31gという数字と、サンドイッチ一つで摂取する量も別の話になる。仮にこの商品を10g使えば、糖類は計算上約3.1gだ。

商品の濃さを比べるには100g当たりの表示が役立つ。しかし、自分がどれだけ取ったかを考えるには、実際に使った量に直す必要がある。

日本でも、甘酢漬けや甘辛い調味料を選ぶときには同じ考え方が使える。酸味や塩味が目立つからといって、糖が少ないとは限らない。いつも使う商品の表示を一度確認するだけでも、思い込みとの違いが見えてくる。


オーツラテは商品次第。「植物性」だけでは判断できない

オーツミルクなどの植物性飲料には、プレーンタイプ、加糖タイプ、バニラなどの風味を付けたものがある。同じ売り場に並んでいても、中身は一様ではない。

元記事は、甘みのあるフレーバー付きオーツ飲料を例に、コーヒーに砂糖を入れる前から糖が含まれている場合があると指摘している。

一方、掲載された特定商品の「糖類10.2g」という数字は、提供された本文では何ml当たりかが明確ではない。この数字だけを使って、一杯のラテの糖類量を計算することはできない。

もう一つ知っておきたいのが、オーツ由来のでんぷんの分解だ。Oatlyは公式説明で、自社の無香料タイプに含まれる糖について、製造工程でオーツのでんぷんが分解されて生じると説明している。

そのため、原材料欄に砂糖という言葉が見当たらなくても、栄養成分欄には糖類が記載される場合がある。メーカーは、この工程で生じる糖の表示上の扱いが米国と欧州で異なるとも説明している。

選ぶときに見たいのは、「植物性だから」というイメージだけではない。糖類や炭水化物の量、実際に飲む量、たんぱく質、カルシウムなどの栄養強化も含めて比べたい。

コーヒーに少量加える場合と、大きなカップのラテとして飲む場合では、使う量も大きく変わる。


サラダの盲点は、野菜より「仕上げのひとかけ」

サラダの上にかかった、とろりと濃いバルサミコソース。酢の仲間だから軽い味付けだと思っていても、濃縮したブドウ果汁や砂糖を含む商品がある。

元記事が紹介したTescoのチリ風味バルサミコグレーズは、大さじ1杯に相当する15ml当たり、糖類6.8gという例だった。

さらりとした酢と、甘みの強いグレーズは同じではない。名前に「バルサミコ」と付いていても、商品の配合まで同じになるわけではない。

また、ビーツにも注意の向け方がある。ビーツそのものを避ける話ではなく、甘く味付けされた加工品と、プレーンに調理したものを区別する話だ。

野菜を食べる楽しみを残したまま、仕上げだけ変えることはできる。例えば、ソースを別添えにして少しずつ付ける。レモンや酢、ハーブで香りと酸味を足す。いつもの量を一度だけ計量してみる。

サラダをやめるより、サラダに何をどれだけかけているかを見る。そのほうが、取り組む場所がはっきりする。


ケチャップや甘酢ソースも、量をそろえて比べたい

元記事に登場する食品の数字を、単位と一緒に整理すると次のようになる。

元記事で紹介された商品記事に記載された基準量糖類の総量
Branston Original Pickle100g約31g
Tesco Chilli Balsamic Glaze15ml6.8g
Heinzの通常タイプのトマトケチャップ15g3.4g
Ben’s Original Sweet and Sour Sauce112g14g

※元記事掲載の英国商品の例。日本で販売される商品や、別の容量・配合の商品にそのまま当てはまるとは限らない。また、いずれも添加された砂糖だけの量を示したものではない。

この表を見て、数字の大きい順に「悪い食品」を決めることはできない。基準量がそろっていないからだ。

甘酢ソースについては、元記事自身も、トマトやパイナップルに由来する糖が含まれると説明している。「14gすべてが加えた砂糖」という読み方は誤りになる。

買い物では同じ100g当たり、あるいは100ml当たりで比べる。食べるときは自分が使う量に置き換える。この二段階で考えると、数字に振り回されにくい。

減糖タイプに替える方法もあれば、同じ商品を少なめに使う方法もある。気に入った味を残せることは、続けるうえで大切だ。


「砂糖を加えていない果汁」も、飲む量は見ておきたい

100%オレンジジュースにはビタミンCが含まれる。しかし、砂糖を加えていないことと、糖が含まれていないことは別だ。

果汁に含まれる糖は、WHOの定義では遊離糖類に含まれる。果物を丸ごと食べる場合と、搾ったジュースを飲む場合を、同じ扱いにはしていない。

英国のNHSは、果汁やスムージーなどについて、合わせて1日150mlまでとし、食事と一緒に飲むよう案内している。これは英国の公衆衛生上の目安であり、日本の全国一律の摂取基準という意味ではない。

大きなグラスにたっぷり注ぐのが習慣なら、一度だけ容量を測ってみるとよい。「一杯」という感覚と、実際の量が違うこともある。

また、牛乳を使ったチョコレート飲料なら、たんぱく質やカルシウムが含まれる一方、商品によっては糖も添加される。栄養上の利点があることと、量を気にしなくてよいことは同義ではない。


SNSでは「表示が分からない」、読者からは「楽しみも残して」

このテーマでは、健康への関心と、食事を細かく管理することへの疲れが同時に見える。

 

例えばRedditには、オーツミルクの糖類表示を見て、原材料欄では甘味料が見つからないと疑問を示す投稿がある。別の投稿でも、「添加糖類7g」という表示がある一方、原材料のどれに当たるのか分からないという戸惑いが示されていた。

これらは今回のDaily Mail記事への直接の反応ではなく、以前から投稿されていた同じテーマの疑問だ。投稿を通じて見えるのは、単なる糖への警戒だけでなく、「成分表示と原材料表示をどう結び付ければよいのか」という分かりにくさである。

一方、提供された元記事の読者コメントには、長年ソースなどを楽しんできたとして、食べる楽しみを守りたいという趣旨の声がある。それに対し、食事を心配しすぎず、何事もほどほどに楽しもうという返信も見られた。

こうしたコメントは、SNS全体の世論や医学的な証拠を示すものではない。しかし、健康情報の受け取られ方を考えるうえでは示唆がある。

「ここにも糖、あそこにも糖」とだけ伝えれば、読者は食べられるものが減っていくように感じる。必要なのは不安を増やす説明よりも、どこを少し変えればよいのかが分かる情報だ。


日本の食品表示では「炭水化物=砂糖」と読まない

日本の商品で、この話を実践しようとすると、もう一つの壁がある。海外の記事でよく登場する「total sugars」と、日本の食品に大きく表示されている「炭水化物」は同じ項目ではない。

基本的な関係は、次のように整理できる。

表示の言葉大まかな意味
炭水化物糖質と食物繊維を含む
糖質糖類に加え、でんぷんなども含む
糖類ブドウ糖や果糖、ショ糖、乳糖などの単糖類・二糖類

したがって、「炭水化物20g」を見て、「砂糖が20g入っている」とは判断できない。

一般的な加工食品の栄養成分表示では、炭水化物は基本項目に含まれるが、糖類が必ず独立して表示されるわけではない。糖類の量が分からない商品では、原材料欄も合わせて確認することになる。

ただし、原材料欄だけで添加糖類を何g取ったのか正確に計算できるわけでもない。分かる範囲で似た商品を比べ、実際に使う量を意識する。それでも十分に役立つ。


目標は「糖をゼロ」にすることではない

WHOは、成人と子どもの遊離糖類の摂取を、総エネルギー摂取量の10%未満に減らすことを推奨している。さらに5%未満に減らすことは、追加の健康上の利益を得るための条件付きの推奨だ。

1日2,000kcalを取る場合、10%は糖類約50g、5%は約25gに相当する。ただし、これは遊離糖類の話であり、ご飯やパンを含む炭水化物全体を、この量以下にするという意味ではない。

糖の取りすぎが問題になる背景には、余分なエネルギー摂取による体重増加や、むし歯がある。糖を含むものを一度食べたら病気になる、という単純な話ではない。

明日から見直すなら、毎日使うものを一つ選ぶところから始めたい。

  • いつもの植物性飲料を、同じ容量で別の商品と比べてみる。
  • ソースは直接かけず、小皿に出して量を見る。
  • ジュースのグラスを一度だけ計量する。
  • 甘い飲み物を長時間かけて少しずつ飲む習慣を見直す。
  • 糖の数字だけでなく、食物繊維やたんぱく質なども確認する。

好きな味を一つ残したまま、別の一つを変える。大きな禁止事項を作らなくても、日常の選び方は変えられる。

「隠れた糖」を知る意味は、食卓に新しい敵を見つけることではない。何をどれだけ口にしているのかを知り、自分で選べるようになることだ。サラダも、コーヒーも、サンドイッチも、その楽しみまで手放す必要はない。


出典・参考資料

  1. Daily Mail:
    アーリヤ・ネルソン氏の説明、英国商品の糖類量、置き換えの提案、読者コメントを参照。
    https://www.dailymail.com/lifestyle/fitness-wellbeing/article-16245179/The-pickle-sandwich-oat-milk-coffee-beetroot-salad-nutritionist-reveals-hidden-sugars-impacting-health.html

  2. WHO:成人と子どもの糖類摂取に関するガイドラインの説明
    遊離糖類を総エネルギーの10%未満に減らす推奨と、5%未満への追加的な低減について参照。
    https://www.who.int/publications/i/item/WHO-NMH-NHD-15.3who.int

  3. WHOガイドライン・要約(NCBI Bookshelf掲載)
    遊離糖類の定義、体重・むし歯に関する根拠、推奨の強さの違いを参照。
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK285538/NCBI Bookshelf

  4. NHS:Sugar: the facts
    総糖類と遊離糖類の違い、体重増加やむし歯との関係について参照。
    https://www.nhs.uk/live-well/eat-well/food-types/how-does-sugar-in-our-diet-affect-our-health/NHS

  5. NHS:5 A Day: what counts?
    果汁・野菜ジュース・スムージーを合計150mlまでとする英国の目安、食事と一緒に飲む助言を参照。
    https://www.nhs.uk/live-well/eat-well/5-a-day/5-a-day-what-counts/NHS

  6. Oatly公式:Is Oat Milk Good For You?
    製造工程でオーツのでんぷんから糖が生じること、米国と欧州での表示の違いに関するメーカー説明を参照。
    https://www.oatly.com/en-us/random-answers/is-oat-milk-good-for-youOatly US

  7. 消費者庁:栄養成分表示について
    日本の栄養成分表示の基本項目について参照。
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation消費者庁

  8. 東京都保健医療局:栄養成分表示の表示方法
    炭水化物、糖質、食物繊維、糖類の表示上の関係を参照。
    https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_eiyou_houhou.htmlhokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp

  9. Reddit:オーツミルクの原材料と糖類表示に関する投稿
    甘味料が原材料欄に見当たらないという疑問の例。検索で確認できた投稿本文を要約しており、今回の記事への直接の反応ではない。
    https://www.reddit.com/r/diet/comments/1c5bb14/reddit.com

  10. Reddit:Added Sugar in Wegmans Oat Milk
    添加糖類7gという表示と原材料欄の関係に戸惑う投稿の例。検索で確認できた投稿本文を参照。
    https://www.reddit.com/r/nutrition/comments/wltnax/