メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

外来植物の驚くべき適応力:外来植物は「食われて」馴染む? ― 数百年で食物網に統合されるという新発見

外来植物の驚くべき適応力:外来植物は「食われて」馴染む? ― 数百年で食物網に統合されるという新発見

2025年11月13日 00:05

11月11日(現地時間)、**「外来植物は、思っていたより速く自然の食物網に組み込まれていく」**という挑発的な結論が発表された。舞台はヨーロッパ。研究を率いたのはライプツィヒ大学とドイツ統合生物多様性研究センター(iDiv)のチームで、論文は『Ecology Letters』に掲載。一般向けの解説はPhys.orgや大学・iDivのリリースで配信されている。 フィジ.org


本研究が見たのは、“食べる側”が微小でニッチな寄生・食害者たち――ハモグリバエ、タマバエ、アブラムシなどの**microherbivores(微小植食者)**だ。彼らはしばしば宿主特異性が高く、在来植物に強く結びつくと考えられてきた。ところがデータは、外来植物でも時間の経過と分布の拡大に伴い、関与する微小植食者の“種数の多様性”が在来レベルに近づくことを示したという。 フィジ.org


鍵を握ったのは、欧州横断の巨大データセットだ。研究チームは、12,000種の植物 × 26,000種の微小植食者による127,000件超の相互作用記録を統合し、導入年、分布域(面積)、起源地域、在来との系統距離などの説明変数を組み合わせて統計モデルで検証。結果、「導入からの時間」と「分布域の広さ」が外来植物の“食われ方の多様性”を最もよく説明し、起源や系統の近さは二の次だった。さらに、外来植物に関与するのは平均してより汎食的(ジェネラリスト)な食者が多いことも示唆された。 フィジ.org


この知見は、外来種が新天地で天敵を振り切って繁栄するとする古典的な**“敵解放仮説(enemy release hypothesis)”に時間軸の条件を付け加える。初期には確かに“敵なし”の優位が働きやすいが、数十年~数世紀のスケールでは一般食者が追いつき、ネットワークに取り込まれていく**。同趣旨の傾向は、外来植物の被食圧が非定着期では低いが、定着・拡大とともに在来並みに近づくとした別研究とも整合的だ。 Wiley Online Library


ただし、“統合される=無害化”ではない。外来樹種が在来群集や土壌・火災レジームに深刻な影響を及ぼすケースは近年も報告されている。生態系機能や群集構造への影響評価と、誰にどれだけ食べられているかは別物だ。“食べられ方が在来級”に到達しても、生態系サービスや地域固有性の観点からマイナスに働く場合はあり得る。だからこそ管理は**リスクと時間の両面を織り込んだ“場合分け”**が必要だ。 pnas.org


大学のリリースは、**ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)のように長い時間をかけて欧州に広がった外来樹が、100種以上の微小植食者の宿主になっている具体例にも触れる。「在来植物は、専門食者の高い多様性を支える上で不可欠」**という但し書きは重い。汎食的な食者が外来に早く馴染む一方、専門食者の豊かな世界は在来の存続に依存する――つまり、在来保全の意義はむしろ明確になるのだ。 uni-leipzig.de


SNSの反応はどう動いたか

執筆時点で、大学やiDivの公式サイトやニュース配信(EurekAlert!等)を起点に記事が拡散。「外来=悪」の単純図式を相対化する研究だとして共有する投稿が目立つ一方、**「統合=容認ではない」**という慎重論も添えられる。背景には、侵略的外来種の話題はSNSで“カワイイ動物中心”に偏り、植物の議論は相対的に可視性が低いという近年の分析がある。今回の「データに基づく議論」は、植物の外来・在来の話題を可視化する好機として歓迎する声も。 EurekAlert!


反応を内容別に眺めると、概ね次の3クラスタに分かれる。

  • 現場保全派:管理現場では依然「駆除優先」。“初期対応の重要さ”は不変だが、長期相互作用の理解は管理コスト見積もりに役立つ、と評価。 EurekAlert!

  • ノベル・エコシステム派:**“生態系は思ったより適応的”**とのメッセージに共感。ただし、機能・サービスの質を見落とすなとの自戒。 フィジ.org

  • メソドロジー推し:12.7万件というデータ規模と時間×空間を同時に扱う統計設計を高く評価。再現データ(PubMed/PMC)や図表を引用して議論が進む。 PubMed


どう読むべきか――“速い統合”の意味

  1. 時間は敵にも味方にもなる:初期対応は急務だが、長期的には捕食・寄生のネットワークへ吸収される。だから**「初動の厳格さ」と「長期モニタリング」の両立**が要る。 Wiley Online Library

  2. 在来は基盤:専門食者の多様性は在来が支える。在来群集を守ることが、ネットワーク全体の復元力を底上げする。 フィジ.org

  3. 影響評価は多軸で:“どれだけ食べられるか”指標だけで、外来の影響を善悪二元で裁かない。群集構造・栄養塩循環・火災レジームなど機能面の評価を欠かせない。 pnas.org


限界と次の一手

今回の分析は**「接触した微小植食者の“種数”」を主指標にしており、被害の深刻度や食者の内訳(どの系統がどれだけ)、在来群集への波及効果までは十分に踏み込んでいない。研究チーム自身もここを今後の課題**と明記している。被食“強度”の定量化や、専門食者の進化・適応の速度差を測る追跡研究が次の論点だ。 フィジ.org


日本の読者へのインプリケーション

日本でも、セイタカアワダチソウやニセアカシアなど歴史の長い外来が広がってきた。今回の枠組みを当てはめれば、導入からの時間×分布の広がりで“食われ方”は増す可能性がある。一方で、景観・土壌・火災・在来希少種への影響は地域個別に評価し、在来群集の維持を管理の背骨に据える戦略が妥当だろう。 uni-leipzig.de


参考記事

外来植物種は予想以上に自然生態系に適応する
出典: https://phys.org/news/2025-11-native-species-natural-ecosystems-faster.html

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.