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赤ワイン色づき不良の危機をやさしく解説:温暖化で何が起き、どう備えるか

赤ワイン色づき不良の危機をやさしく解説:温暖化で何が起き、どう備えるか

2025年07月19日 15:30

目次

  1. なぜ今「色づき不良」が話題なのか

  2. 「色づき」とは何を指す?

  3. 温暖化が色を薄くする主なメカニズム

  4. 日本の気候と主要品種への影響

  5. 世界の産地で起きている変化

  6. 色づき不良が品質にもたらす具体的影響

  7. 主な対策(畑・品種・醸造・データ)

  8. 外国人読者向け:日本ワイン市場の特徴と観光

  9. 今後の展望とまとめ

  10. 参考記事一覧



1. なぜ今「色づき不良」が話題なのか

かつての多くの冷涼産地(例:一昔前の北フランス、北海道)は「十分に成熟せず色が淡い」ことに悩みました。ところが近年は世界平均気温上昇と極端高温日の増加が、成熟期の“最適な涼しさ”を超えてしまい、結果的に色素形成が阻害される逆転現象が起きています。また高温で糖蓄積は速く進む一方、香り・色・タンニンの成熟(“フェノール成熟”)が追いつかない“ズレ”も起こりやすくなっています。



2. 「色づき」とは何を指す?

**色づき(着色)**は果皮が緑→赤/紫へ変化する過程で、主にアントシアニンと呼ばれる天然色素群が蓄積する現象です。色は単なる見た目だけでなく、抗酸化性や味わいの骨格(渋み、構造)、熟成中の安定性にも関係します。濃さよりも“鮮やかさ”“深み”“均一さ”が重要で、これが不足すると外観が薄い、レンガ色化が早い、香りが単調になるなどの印象につながります。



3. 温暖化が色を薄くする主なメカニズム

要因何が起きるか色への影響(簡潔)
日中高温(例:35℃近い)色素合成酵素が鈍る新規アントシアニン蓄積が減る
夜温上昇呼吸消耗↑・酸減少pH上昇で色が鈍い・不安定
過度な直射&日焼け果皮損傷、酸化褐変・斑点・抽出不均一
水ストレス(極端)葉面積減・光合成低下糖/色素バランス不均衡
早熟化(成熟前倒し)糖だけ先行色・香り未熟で収穫判断難
pH上昇・酸低下色素安定(フロバノール重合)条件悪化退色しやすい
風による乾燥熱水分失調果粒小型化と不均一色づき


ポイント:“暑さ=色が濃くなる”とは限らず、適温(昼25℃前後、夜15℃前後付近)を超えると逆効果。



4. 日本の気候と主要品種への影響

日本はモンスーン気候・高湿度・残暑が特徴で、昼夜の温度較差が小さい地域も多く“夜が下がり切らない”ことで色素形成が抑えられやすい状況が増えています。


品種主な課題短評(対応例)
マスカット・ベーリーA色淡・酸低下部分摘葉を控え日焼け回避、収量抑制
ピノ・ノワール繊細香り消失高標高・冷涼畑、早朝収穫
メルロー糖先行・アルコール高遅延剪定・被覆で成熟緩和
カベルネ・ソーヴィニヨン温暖域で酸不足クローン選抜・酸保持技術
シラー日焼け斑点キャノピーで果房軽遮光



地域例(概要)

  • 北海道:将来の主力赤生産地拡大。熱ストレス少なく鮮やかな色期待。

  • 東北:潜在的成長期延長。寒暖差管理で品質向上余地。

  • 甲信(山梨・長野):既存中心地。標高差活かし畑再配置。

  • 北関東~山陰:猛暑リスク。遮光・潅水精密化急務。

  • 九州:超高温対応で夜温確保が最難関。高標高移転と耐暑品種検討。



5. 世界の産地で起きている変化

地域観察される傾向(簡潔)主な対応
ボルドー早熟・アルコール増・色安定課題新許可品種導入(トゥルソー等)・棚仕立て調整
ブルゴーニュ暑い年の色・酸低下北向き斜面活用・摘葉の抑制
リオハ乾燥+高温高地畑・給水管理
カリフォルニア(ナパ等)熱波・山火事リスク精密灌漑・日除け資材
オーストラリア極端高温・干ばつ耐暑台木・夜間灌漑
チリ南部/英国/北欧新冷涼地開発急成長も成熟一貫性が課題


世界的には既存銘醸地は“過熟リスク管理”フェーズ、新興冷涼地は“安定した年次再現性”確立フェーズ、と二極化しています。



6. 色づき不良が品質にもたらす具体的影響

項目影響内容消費者が感じること
外観薄いルビー、縁が早くオレンジ化若いのに熟成感/軽さ感
香り赤系果実単調、複雑さ不足“平坦”“短い”印象
味わい構造酸不足・アルコール高・渋み弱いだれた味、余韻短い
熟成ポテンシャル色素重合不足で退色加速早くピークに達する
ブランドスタイル一貫性低下リピート低下リスク



7. 主な対策(畑・品種・醸造・データ)

畑マネジメント

  • キャノピー調整最適化:過度な摘葉を避け“まだら日陰”で果房温度抑制。

  • 遅延剪定/二段階剪定:成熟ピークをより涼しい時期へ。

  • 遮光ネット・反射シート:果皮温度軽減と光分布改善。

  • 精密灌漑+水分センサー:極端ストレス回避。

  • 高標高・北斜面・海風利用:夜間冷却確保。


品種・クローン・台木

  • 耐暑・色濃い品種(シラー、マルスラン等)や酸保持クローン。

  • 台木で根域探索力・水利用効率向上。


醸造

  • 早朝収穫→果温低。

  • 低温浸漬→穏やか抽出。

  • 穏やかな抽出管理(過剰な撹拌回避)。

  • pH調整と酸補正。

  • 酵母選択(高色保持性)。

  • 微量酸化管理で退色抑制。


データ活用

  • IoTセンサーで果房温度・光・水分をリアルタイム監視。

  • 予測モデル(積算温度/熱ストレス指数)で剪定・収穫タイミング最適化。

  • サテライト画像で区画差を把握し可変施肥・灌漑。



8. 外国人読者向け:日本ワイン市場の特徴と観光

観点日本独自のポイント旅行者の楽しみ方
多様なテロワール北海道~九州で気温差大短距離で気候比較テイスティング
中小ワイナリー家族経営・手作業比率高生産者との直接対話ツアー
食文化ペアリング和食・出汁・発酵食品地元料理とのマリアージュ体験
観光連携温泉・スキー・花見季節行事+ワイン旅計画
品種個性甲州・マスカット・ベーリーA在来/交雑品種のストーリー学習



9. 今後の展望とまとめ

温暖化は“色が濃くなるだけで利益”という単純図式ではなく、適度な涼しさが失われたとき色づき不良と品質不均一を誘発します。鍵は「成長速度を適度にコントロールしフェノール成熟を追いつかせる」こと。日本では高標高・北方シフトと精密農業の導入が加速し、世界では冷涼新興地と既存銘醸地の二層構造が鮮明になるでしょう。適応策を早期に組み合わせる生産者ほど、スタイルの一貫性とブランド信頼を維持できます。




10. 参考記事一覧

  1. OIV:気候変動とブドウ栽培報告(英語)

  2. IPCC 第6次評価報告書(英語)

  3. Bordeaux 新許可品種導入情報(英語)

  4. Burgundy 気候適応(公式サイト・英語)

  5. UC Davis Viticulture 気候リソース(英語)

  6. AWRI(豪州ワイン研究所)耐暑台木研究(英語)

  7. Wines of Chile:南部冷涼地域の動向(英語)

  8. 日本ワイナリー協会(日本語)

  9. 山梨県ワイン産業支援サイト(日本語)

  10. 日本経済新聞:赤ワインの色づき不良と温暖化(日本語)



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