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温暖化で危機に瀕する湖と貯水池:増加するメタン排出が気候シナリオを悪化させる可能性

温暖化で危機に瀕する湖と貯水池:増加するメタン排出が気候シナリオを悪化させる可能性

2025年11月14日 00:36

「湖」が気候シナリオを書き換えるかもしれない

地球温暖化の主役といえばCO₂。しかし、今静かに存在感を増しているのが、より強力な温室効果ガス・メタンだ。100年スケールで見ると、メタンの温暖化効果はCO₂の約30倍に達するとされる。ghgprotocol.org


そして最新の研究によると、そのメタンの「大きな発生源」として、世界中の湖と貯水池が今後ますます重要になってくるかもしれない。温暖化が進むほど湖水の温度が上がり、メタン排出が加速し、その結果として温暖化がさらに進む――いわゆる「悪循環(フィードバック)」が、想定より強い可能性が示されたのだ。フィジ.org


湖と貯水池はなぜメタンを出すのか

湖やダム湖の底には、落ち葉や水草、流れ込んだ土壌有機物など、膨大な「エサ」がたまっている。そこは酸素が乏しい世界であり、微生物たちは酸素を使わない分解プロセスで有機物を分解し、その副産物としてメタンを放出する。フィジ.org


本来、地球上の「自然のメタン」は、分解と大気中での分解・酸化がバランスしており、長期的には安定していたと考えられている。しかし人間の活動で地球全体が暖まり、湖の水温が上がり、氷が張る期間が短くなると、このバランスが崩れ始める。湖底の微生物の活動が活発になり、メタン生成が一気に加速してしまうからだ。フィジ.org


北極圏やシベリアなどの高緯度地域では、永久凍土の融解とともに「サーモカルスト湖」と呼ばれる湖が増え、古い有機炭素が分解されてメタンとして大気中に逃げ出していることも、複数の研究で示されている。ResearchGate


767地点の実測データから未来をシミュレーション

今回の研究を行ったのは、スウェーデンのリンシェーピン大学とNASAエイムズ研究センターのチームだ。研究者たちは、世界中のあらゆる気候帯に点在する767地点の湖と貯水池から得られた実測データを集め、そこに水温変化や氷結期間の長さ、栄養塩濃度、湖の規模やタイプ、メタンが水面から逃げる経路(泡として出るか、溶けた状態で拡散するか)など、多数の要因を組み込んだ新しいモデルを構築した。フィジ.org


このモデルを、IPCCが使う複数の温暖化シナリオ(いわゆる排出パス)に当てはめることで、「今世紀末までに湖と貯水池から出るメタンが、どれだけ変化しうるか」を推定している。フィジ.org


IPCC「最悪シナリオ」より悪い? メタン排出がほぼ2倍に

最も大きなインパクトを持つのは、IPCCが設定する中で最も温暖化が進むシナリオ(高排出シナリオ)だ。この場合、現在の湖・貯水池からのメタン排出量は、今世紀末までにほぼ2倍に増える可能性があるという。フィジ.org


湖と貯水池は、現在すでに地球全体のメタン排出に大きく貢献しているが、この増加によって、地球全体のメタン排出量は現在より約10%押し上げられると試算されている。フィジ.org


一見「たった10%」とも思えるかもしれない。しかし、メタンはCO₂より桁違いに強力な温室効果ガスであり、その増加は温暖化スピードを想定以上に早める。研究チームは、こうしたフィードバックを考慮すると、IPCCが想定する「最悪シナリオ」よりも、現実の気温上昇がさらに大きくなるリスクがあると指摘している。フィジ.org


研究者の警鐘:「このシナリオを変えなければならない」

論文の責任著者であるデイビッド・バストヴィーケン教授は、「この研究は、私たちが本当に、できるだけ早く気候シナリオを変えなければならないことを、さらにはっきり示している」と語る。温暖化が進めば進むほど、湖や貯水池が放つメタンが増え、温暖化が加速する――この「スパイラル」に入る前にブレーキを踏む必要があるというメッセージだ。フィジ.org


SNS上の反応:驚き、不安、そして「行動したい」という声

このニュースが海外メディアで報じられると、SNSでもさまざまな反応が拡散した。

  • 「まさか湖が、そんなに大きな排出源だとは思わなかった。CO₂だけ減らしていればいいわけじゃないんだね」

  • 「人間が出したCO₂が、自然のメタン排出まで増やしているって…責任の連鎖が重すぎる」

  • 「ダムをどう管理するかも、これからは“気候政策”として議論されるべきでは?」

環境NGOのアカウントでは、「再エネの拡大や省エネだけでなく、湿地や湖沼の保全・復元も含めた“フルセットの気候対策”が必要だ」といった投稿が目立つ。


一方で、「湖をコンクリートで覆えばいいのでは?」といった極端な意見も散見され、専門家からは「生態系を破壊してしまっては本末転倒」「局所的な対策で世界全体のメタンを抑えるのは現実的でない」とする冷静な指摘も共有されている。


日本のSNSでも、「北極の“沸騰する湖”の映像を見てから、メタンの怖さを実感した」「気候変動って、遠い未来の話じゃなくて、もういま進んでいる現象なんだ」といった感想が投稿されている。湖から立ち上る見えないガスが、気候危機をより身近なものとして感じさせているようだ。


「悪いニュース」だけではない:排出削減の効果は2倍効く

ここまで読むと、かなり暗い話に聞こえるかもしれない。しかし、研究チームは同時に「良いニュース」も伝えている。

人間社会が排出する温室効果ガス、とくにCO₂を減らせば、単にその分の温暖化を抑えるだけでなく、「湖や貯水池から自然に出てしまうメタンの増加」も抑えられる、という点だ。フィジ.org


つまり、化石燃料の使用削減や再生可能エネルギーへの移行、省エネの推進などによってCO₂排出を減らすことは、

  1. 直接的に:CO₂そのものの温暖化効果を抑える

  2. 間接的に:湖・貯水池の水温上昇を抑え、将来のメタン増加を防ぐ

という「二重の効果」をもたらす可能性がある。


科学が示すのは「タイムリミット」だけでなく「選択肢」でもある

北の湖から立ち上るメタンは、単なる自然現象ではなく、人間活動と結びついた「気候システムの一部」だ。永久凍土の融解や湖の氷の減少、氷下に蓄えられたメタンの一斉放出など、湖に関する研究はここ10〜20年で急速に進み、「湖とダムをどう扱うか」が気候政策の重要な要素になりつつある。ResearchGate


同時に、今回の研究は「まだシナリオは変えられる」という希望も示している。高排出シナリオをたどれば湖からのメタン排出はほぼ2倍になるかもしれないが、逆に言えば、排出を減らすことでその未来を避けられる余地があるということでもある。フィジ.org


私たちにできること:CO₂削減が“見えないメタン”も抑える

最後に、個人のレベルでできるアクションも整理しておきたい。

  • エネルギー使用を減らす
    家庭やオフィスの省エネ、再エネ電力の選択は、化石燃料由来のCO₂削減に直結する。

  • 食とライフスタイルの見直し
    フードロス削減や、肉類中心からの緩やかなシフトなどは、農業由来のメタンを減らすことにもつながる。Energy

  • 政策への意思表示
    再エネ投資や脱炭素インフラを後押しする政策を支持することは、個人では触れない「大きな排出源」を動かす力になる。

  • 情報を広める
    「湖や貯水池からのメタン」という、これまであまり知られてこなかったテーマを共有することで、気候危機の全体像への理解が深まる。


静かな湖面の下で、メタンという見えないガスがじわじわと増えつつある――その事実は決して心地よいものではない。しかし、それを知ることは、「どの未来を選びたいか」を考えるための出発点でもある。


今回の研究が突きつけるのは、「放っておけば最悪シナリオを超えるかもしれない」という警告と同時に、「いま行動すれば、自然からの追加的な排出さえ抑えられる」という、まだ残されている選択肢だ。湖から立ち上るメタンを、私たち自身の意思で減らせるかどうか――その答えは、これからの数十年の行動にかかっている。



参考記事

温暖化した湖や貯水池からのメタン排出量の増加が、最悪の気候シナリオを悪化させる可能性がある
出典: https://phys.org/news/2025-11-higher-methane-emissions-warmer-lakes.html

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