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「コウモリの鳴き声」で害虫ストップ? 超音波がガの産卵を封じる新農業テック : 千葉大学が示した超音波のパワー

「コウモリの鳴き声」で害虫ストップ? 超音波がガの産卵を封じる新農業テック : 千葉大学が示した超音波のパワー

2025年12月04日 08:36

「音」を流すだけで害虫対策?

「農薬じゃなくて“音”で害虫を止める時代が来るのかもしれない」


そんなSFのような研究成果が、千葉大学と農研機構のチームから報告されました。テーマは、夜の畑を飛び回るガと、それを狙うコウモリの“静かな戦争”。コウモリの鳴き声そっくりの超音波をスピーカーから流すと、ある種類のガが飛ぶのをやめ、結果的に産卵を控える――つまり、作物を食べる「次の世代」が減らせるかもしれないというのです。Phys.org


研究成果は農薬科学の国際誌 Pest Management Science に掲載され、Phys.org や千葉大学の英語サイトを通じて世界に配信されました。Phys.org



コウモリ vs ガ、60千万年続く「軍拡競争」

夜行性のガにとって、「聞くこと」は命綱です。暗闇の中で猛スピードで飛び回るコウモリは、超音波を発してその反射を読み取り、ガの位置を正確に把握します。ガはその音を察知すると、急旋回したり、ジグザグ飛行をしたり、さらには翼や体の形を進化させて音波をそらすなど、あの手この手で生き延びてきました。Phys.org


研究チームは、この両者の終わりなき「軍拡競争(coevolutionary arms race)」に注目。今回は、東アジアから南アジアに広く分布する農業害虫 Autographa nigrisigna(ヨトウガの仲間)を対象に、コウモリの超音波に対してどんな“聞き分け”をしているのかを詳しく調べました。CHIBADAI NEXT



実験:コウモリの「会話スピード」を人工的に再現

コウモリの超音波は、ただの「ピー」という音ではありません。獲物を探しているときはゆっくり、捕まえる直前になると「タタタタッ」とマシンガンのように高速になる、とてもリズミカルな信号です。この1秒間あたりのパルス回数を「パルス反復率(Pulse Repetition Rate, PRR)」と呼びます。Phys.org


研究チームは、100匹の成虫(オス50、メス50)を用意し、PRRの異なる人工超音波を聞かせて反応を観察しました。設定したPRRは大きく3段階です。CHIBADAI NEXT


  • 低速:1, 5, 10 Hz
    コウモリがまだ獲物を探索している“余裕のある”段階。

  • 中速:20, 40 Hz
    ガを見つけて距離を詰めている最中。

  • 高速:80, 160 Hz
    まさに捕食直前、いわゆる「ターミナル・バズ」。


結果は非常にわかりやすいものでした。低速の音では、ガは少し方向を変える程度のシンプルな回避行動をとるにとどまりました。一方、中速になると飛行が不規則になり、高速では、まるで「フリーズ」したように飛ぶのをやめてしまう個体が目立ったのです。Phys.org



卵を抱えたメスほど「怖がり」になる理由

さらに研究チームは、卵を抱えたメス(グラビッド・メス)に注目しました。同じ超音波を聞かせると、彼女たちは未交尾の個体よりも強く反応し、高速PRRでは高い確率で飛行を中断しました。Phys.org


ここから見えてくるのは、ガにとっての**「命」と「子孫」を天秤にかける意思決定**です。

  • 卵を抱えている状態で捕食されると、自分も卵もまとめて失われる

  • であれば、危険度が高いと判断した瞬間に、移動や産卵をあきらめてでも身を守る方が得策


実際、一定時間内に産み落とされた卵の数を数えると、高速PRRを聞かせた群では産卵数が減る傾向が見られ、「危ない音」を聞く → 飛ばない → 卵を産むチャンスが減る という流れが確認されています。CHIBADAI NEXT



「超音波スピーカー農法」の可能性と課題

この性質をうまく利用すれば、畑に小型の超音波発生装置を設置し、夜間にコウモリの「ターミナル・バズ」に似た音を流すだけで、ガが飛び回る時間を減らし、結果として産卵数も抑えられるかもしれません。研究チームも、超音波エミッターの導入が夜間のガ活動を抑制し、農薬使用量の削減につながる可能性を指摘しています。Phys.org


従来の化学農薬と比べたときのメリットは、次のように整理できます。

  • 環境負荷の低減:土壌や水系に残留しない

  • 標的の絞り込み:特定のガが嫌うPRRだけを狙い撃ちできる可能性

  • 耐性問題が起きにくい:薬剤耐性のような進化圧がかかりにくい


一方で、課題も少なくありません。

  1. 野外でも同じように効くか?
    実験は制御された室内環境で行われており、風や他の音がある畑でどこまで同じ効果が得られるかは、これからの検証が必要です。Phys.org

  2. 他の生き物への影響
    超音波は人間には聞こえにくいとはいえ、コウモリ以外にも感知できる動物がいます。天敵や益虫への悪影響がない周波数・出力を見極める必要があります。

  3. コストと運用
    畑の広さに応じてどれくらいのスピーカーを設置するのか、電源をどう確保するのか、季節や作物によって音のパターンを変えるべきか──現場目線の設計もこれからのテーマです。



SNSではどんな反応が出そうか

この研究成果は、Phys.org や EurekAlert! などの科学ニュースサイトが取り上げ、EurekAlert! の公式X(旧Twitter)アカウントからもプレスリリースが共有されています。Phys.org


現時点ではまだ「バズる」前夜といった印象ですが、この手のニュースがSNSに流れるとき、だいたい次のようなタイプのコメントが並びがちです。ここでは、実際の投稿例そのものではなく、典型的な反応の“雰囲気”を整理してみます。


1. 農薬削減を歓迎する声

環境意識の高いユーザーからは、

「これが実用化したら農薬かなり減らせそう」
「有機農業+超音波スピーカーって相性良さそう」

といった、期待混じりのコメントが出そうです。日本ではネオニコチノイド系農薬や生物多様性への影響がたびたび議論になるだけに、「音なら安心かも」という直感的な好印象を持つ人は多いでしょう。


2. 生態系への“想定外”を心配する声

一方で、

「コウモリの声を24時間流したら、本物のコウモリは混乱しないの?」
「ガだけじゃなくて他の虫や動物にも影響出そう」

といった慎重派の意見も必ず出てきます。超音波は見えない分、「何が起きているのかわかりにくい」ことが不安材料になりがちです。研究者側も、ターゲット以外の生物への影響評価は欠かせません。


3. 身近な疑問・ちょっとしたネタ

さらに、一般ユーザー視点の素朴な疑問も飛び交うはずです。

  • 「人間には本当に聞こえないの? ペットは大丈夫?」

  • 「家のベランダで流したら、夜の虫が静かになったりして…?」

  • 「超音波で蚊もどこか行ってくれないかな」

中には「近所の子どもの奇声よりマシ」など、ジョーク交じりのポストがされるのも目に浮かびます。



研究者が描く未来像:IPMの新しいピース

千葉大学の野村正史教授は、もともと「環境負荷の少ない害虫管理(IPM:総合的病害虫管理)」を専門とし、天敵や照明、そして今回のような物理的制御を組み合わせるアプローチをとってきました。CHIBADAI NEXT


超音波を使った方法は、そのIPMのパズルに新しいピースを加えるものと言えます。

  • 昼間は天敵昆虫による生物的防除

  • 夕方にはフェロモントラップで成虫を誘引

  • 夜間は超音波スピーカーで飛行や産卵を抑制

といった「時間帯ごとの多層防御」が実現すれば、単一の農薬に頼るよりも、はるかに持続可能でリスク分散された害虫管理が可能になるかもしれません。



バットとガの“静かな物語”が、畑の未来を変える

今回の研究は、まだ実用化に向けた第一歩に過ぎません。しかし、「夜空で繰り広げられてきた捕食者と被食者の駆け引き」をヒントに、人間の農業をもっと優しく、賢くする道が開けつつあります。Phys.org


もしかしたら数年後、夜の畑を車で通りかかったとき、静かな闇の中でこっそり超音波を放つ小さなスピーカーが、ガたちと“無言の交渉”をしているかもしれません。


そのとき私たちは、こうした研究が示す「自然の知恵を借りるテクノロジー」を、どこまで信じ、どこまで慎重に使いこなせるのか――SNSで盛り上がるだけで終わらせず、じっくり考えていく必要がありそうです。



参考記事

特定のコウモリのような超音波を再生することで、蛾の繁殖を抑制し、作物を保護する賢い方法を提供します。
出典: https://phys.org/news/2025-12-playing-specific-ultrasounds-suppress-moth.html

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