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関税は誰が払うのか : 「最大の好景気」vs「最大のバブル」—トランプ「空前の好景気」宣言の先にあるもの

関税は誰が払うのか : 「最大の好景気」vs「最大のバブル」—トランプ「空前の好景気」宣言の先にあるもの

2025年09月17日 01:21

序文――バルーンとシャボン玉の国

「史上最大のブーム(boom)が来る」。9月半ば、トランプ大統領の自信満々のメッセージが再び注目を集めた。リバタリアン寄りのLRCブログはこれに対し、「史上最大のバブル(bubble)だ」と冷や水を浴びせる。論点は単純だ。景気の風船は、本当に上昇気流に乗っているのか。それとも、過剰な熱気で今にもはじけそうなのか。LewRockwell


データが語る“好景気”の原材料

ブーム論者の材料は豊富だ。第一に、金融面。市場はFRBの利下げ再開を強く織り込み、債券投資家はデュレーションをのばし、カーブ・スティープ化を狙う動きが目立つ。利下げは株式の割引率を下げ、目先のリスク資産に“ご祝儀”を与える。Reuters


第二に、マーケットの順応力。4月、関税方針の転換が示唆された直後、米株は歴史的なリバウンドを記録した。政策見通しの一言で数兆ドルが動くのは、いまの流動性とセンチメントの強さを物語る。Reuters


しかし家計簿は正直だ――コストはどこへ行く?

他方、バブル論者の根拠は「負担の所在」だ。関税は“外国に払わせる税金”という政治的スローガンと裏腹に、実務的には国内の輸入業者や消費者に転嫁されやすい。ゴールドマン・サックスの推計では、関税コストの約86%が米国内で負担されているとの指摘が再浮上している。価格転嫁はインフレ圧力と実質所得の目減りを通じ、遅行的に需要を冷やす。Seeking Alpha


赤字という“地鳴り”

さらに、財政のベースノイズが大きい。米議会予算局(CBO)は、2025会計年度の最初の11か月で赤字が約2.0兆ドルに膨らんだと推計する。金利負担の増加と高齢化による給付費の伸びが響き、景気が“見かけ上”堅調でも財政の基礎体力は消耗していく。CBO


8月単月では関税収入が記録的水準に跳ねる一方、年初来の赤字はなお高止まり。政策が短期の税収を押し上げても、構造的な支出と金利負担が飲み込む構図は変わらない。Reuters


SNSが映す“二重世界”

X(旧Twitter)やThreadsを覗くと、二つの物語が同時進行している。

  • ブーム派は、4月の“歴史的ラリー”を示しながら「政策のアクセルで企業収益は再加速」「利下げで住宅と株のダブル追い風」と強気だ。市場の順応性、そして“強いアメリカ”の物語がバズりやすいのは確かだ。Reuters

  • バブル派は、関税の国内負担データやCBOの赤字推計を引用し、「株高は金融条件の緩みと財政ドーピングの副作用」「家計はインフレの二次被害」と反論する。しばしば「#TariffTax」「#DeficitHawk」などのハッシュタグとともに拡散される。Seeking Alpha


“利下げ=救い”ではない理由

利下げは短期の評価益をもたらすが、根治ではない。インフレが粘着的なら実質金利の低下は通貨価値の低下と背中合わせだ。債券市場が“短期は利下げ、長期は財政”という相反するシグナルで揺れるとき、リスク資産のバリュエーションは振れ幅を増す。つまり、上がるにしても揺れながら上がる。Reuters


ブームとバブルの分水嶺:5つのチェックポイント

  1. 関税の最終負担:輸入価格や小売価格にどこまで乗るか。86%説が今後のデータで裏づけられるか。Seeking Alpha

  2. 財政の“利払い雪だるま”:名目成長率<平均借入金利の局面が長引くと、赤字縮小は難しい。CBO

  3. 利下げの持続可能性:一度のカットで済むのか、景気後退を示す連続カットになるのか。市場は前者を望むが、後者は株式に厳しい。Reuters

  4. 関税収入と貿易量:8月の関税収入“過去最高”は価格効果か数量効果か。数量減なら企業の在庫・投資に遅行影響が出る。Reuters

  5. 賃金と家計貯蓄率:インフレ調整後の賃金が伸びず、貯蓄が枯れると消費ドライブは弱まる(これは月次統計の追跡が要る)。


投資家・事業者のための現実的アクション

  • 期待と現金フローを分ける:政策ヘッドラインのボラに乗るトレードと、金利・税制・関税の“現金影響”を受ける事業判断は峻別する。

  • プライシング能力の棚卸し:原材料や輸入比率が高い業態は、価格転嫁の弾力性を定量把握。関税再強化シナリオも並走で試算。Seeking Alpha

  • デュレーション管理:利下げを“短期の追い風”として取り込みつつ、長期の財政リスクに備えた金利感応度の配分を見直す。Reuters

  • サプライチェーンの選好替え:関税による恒常的コスト上昇に対し、調達の付加価値(品質・納期・交渉力)を価格差で埋められるかを検証。

  • IR/広報の語彙更新:SNS空間は“ブーム物語”と“バブル物語”の二重写し。両者の物語に対し、事実と数字で橋を架ける。


結語――風船とシャボン玉のあいだで

ブーム論とバブル論は対立しながらも、同じ風景を違う角度から眺めている。短期は金融緩和の期待と政策シグナルで“風船”は上昇する。だが、家計負担と財政制約という“表面張力”が薄くなれば、“シャボン玉”は脆くなる。私たちができるのは、物語ではなく数値を追うことだ。次のヘッドラインが出る前に。




Donald Trump
ドナルド・トランプ元大統領(出典: Wikimedia Commons)


参考記事

トランプ氏は「史上最大の好景気」を予測 — 私たちは「史上最大のバブル」と言う
出典: https://www.lewrockwell.com/lrc-blog/trump-predicts-biggest-boom-in-history-we-say-biggest-bubble-in-history/

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