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36%関税の衝撃—タイが“ほぼゼロ関税”で挑む米国との最終攻防

36%関税の衝撃—タイが“ほぼゼロ関税”で挑む米国との最終攻防

2025年07月15日 00:10

1. 序章――36%という“数字”の持つ意味

2025年7月7日深夜、ワシントンから届いた一通の書簡がバンコクを揺るがせた。そこに記された「36%」という数字は、米国による“相互関税”政策の対象国リストの中でタイに割り当てられた関税率だ。中所得国が先進国市場にアクセスする際に課される一般的な10%未満の関税を大きく上回り、2018年の米中貿易戦争で象徴的だった25%をさえ凌駕する。タイの主力輸出品である電機・電子部品、自動車部品、ゴム製品、加工食品に及ぶ影響は年間輸出の2割、3,000億バーツ規模と試算される。Moneyweek


2. バンコクの即応――「ゼロ関税」カードの提示

ピチャイ・チュナーヴァジラ財務相は7月14日のセミナーで「米国が求めるのは“野心的”な譲歩だが、我々にも時間がない」と語り、米国製品に対する輸入税を大幅に削減し、ロンガンやティラピアなど農水産物をゼロ関税で受け入れる考えを示した。加えて左ハンドル車の輸入解禁やFTA品目の恒久的課税撤廃、さらにはボーイング機材やLNGの追加購入など、従来の枠を超えたオファーを検討している。mint


3. トランプ政権の“追加注文”――通商を超える要求

交渉筋によれば、米側は「地政学的整合性」—すなわち中国へ迂回輸出させない体制整備—を含む条件を突き付けている。具体的には原産地証明の強化、RCEP関連製造拠点への監視拡大、知財・データローカライゼーション規則の見直しなどが挙げられる。タイ政府内では「主権を侵しかねない譲歩」との慎重論も強い。


こうした背景から、外務省は交渉窓口を商務省から国家安全保障会議(NSC)に格上げ、軍部も関与する異例の体制となった。


4. SNS上の賛否—“#TariffGateTH”の盛り上がり

Redditのr/Thailandスレッドでは「36%関税は米国の消費者が支払う税金に過ぎない」といった反発の声が上がる一方、「タイは100〜400%の輸入課税で米国製品を締め出してきたのだから自業自得」と指摘するユーザーも多い。タイ在住の投稿者soonnowは《ゴムはタイ・インドネシア・ベトナムが主要供給国。全部に課税すれば米国は高いゴムを買うだけ》と皮肉り、Tawptuanは《米国車に最大428%のタイ側税負担がある事実を忘れるな》と反論。


*Wise-Profile*は《三人首相が入れ替わる国の政治リスクを米国が恐れているだけ》と政情不安を嘲笑した。Reddit


一方、X(旧Twitter)ではハッシュタグ #BoycottThaiGoods や #OpenThaiMarket がトレンド入り。保守系インフルエンサーは「タイは中国の“工場”として迂回輸出を手助けしている」と批判し、自由貿易推進派は「アジアで最大の米企業投資先を敵に回すのは愚策」と応酬した。


5. 国内産業への衝撃試算

政府系シンクタンクNESDCは、関税がフル適用された場合のGDP押し下げ効果を最大1.0ポイントと試算。特に電機・電子部門では650億バーツ、自動車部品で480億バーツ、ゴム・プラスチックで300億バーツの輸出損失が見込まれる。輸出型中小企業の資金繰りを支援するため、政府は2000億バーツの緊急融資枠と為替ヘッジ補助金を用意する方針だ。Seeking Alpha


6. ASEANサプライチェーンへの波及

タイは既に日系・欧米系のTier-1生産拠点を抱える「デトロイト・オブ・アジア」。36%関税が現実となれば、完成車の米国向け輸出拠点はインドネシアやメキシコにシフトする恐れがあり、域内サプライチェーンの再構築が加速する。実際、ホンダとフォードは「最終組立工程の一部をマレーシアに振り替える用意がある」と地元紙に語ったという。長期的にはフィリピンの半導体組立やベトナムのEMSが“勝ち組”になるとの見方もある。


7. 交渉期限“D-Day”までのロードマップ

日付主要イベント位置づけ
7/15–7/20ワシントン実務者会合農産物セーフガード、原産地証明
7/23NSC閣議決定譲歩リスト正式承認
7/25米タイ共同声明(予定)交渉骨子公表
7/28上院・下院合同委員会国内承認プロセス
8/1関税発動 or 延期“D-Day”


8. それでも残る“36%”の影

過去、米国は韓国(鉄鋼)、ブラジル(アルミ)、インド(医薬原料)といった国々に対し、関税発動直前に“ほぼゼロ”の妥協を引き出している。しかしタイは対米黒字率72%という“構造的赤字”の象徴となり、ホワイトハウスの政治的アピールに利用されやすい。ワシントンの通商専門家は「少なくとも20%程度の象徴税率は残すだろう」と見る。


9. 終章――タイは“痛みを伴う譲歩”を飲み込めるか

交渉結果がどちらに転んでも、タイは自国市場の閉鎖性を問われる局面に入った。高率の自動車関税や複雑な内国消費税制度はASEAN域内でも突出しており、今回の交渉が改革の呼び水となる可能性もある。インフルエンサーChongThaiはXで「痛みを先延ばしにしてきたツケが回った」と指摘。政府が“ゼロ関税”を実現すれば、タイ消費者が享受する米国製品の価格低下や技術移転が副次的に生まれる一方で、国内零細製造業の淘汰も避けられない。


結論
“36%”は単なる税率ではなく、タイ経済が抱える構造問題を映し出す鏡だ。期限まで残りわずか—タイが選ぶのは、短期的な痛みを伴う市場開放か、それとも長期的な輸出冷え込みか。いずれにせよ、今回の攻防はASEAN諸国が米国との通商関係を再定義する試金石となるだろう。



参考記事

タイ、関税協定を獲得するために米国製品への関税をゼロにすることを検討
出典: https://financialpost.com/pmn/business-pmn/thailand-mulls-zero-duty-for-more-us-goods-to-win-tariff-deal

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