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ミトコンドリアを消した細胞が語る“生命の電池”の真実 ― UTサウスウェスタンが開いた新しい幹細胞生物学

ミトコンドリアを消した細胞が語る“生命の電池”の真実 ― UTサウスウェスタンが開いた新しい幹細胞生物学

2025年07月05日 00:10

1. “細胞の電池”を丸ごと抜き取る――強制ミトファジーとは

「私たちの新しいツールで、ミトコンドリア量とミトコンドリアゲノムが細胞や個体に与える影響を自在に解析できるようになりました」――UTサウスウェスタン医科大学のJun Wu准教授は、Cell誌オンライン版に掲載された最新論文をこう紹介するnewswise.com。


ミトコンドリアはATPを産生する「エネルギー工場」として知られるが、近年は細胞死・分化誘導・老化・発生タイミング制御など多面的役割が報告されているphys.org。その解明を阻んでいたのが「完全にミトコンドリアを失った状態」を作れない点だった。Wuらは細胞が傷んだミトコンドリアを処分する経路=ミトファジー(PINK1/Parkin経路など)を遺伝子改変で強制活性化し、hPSCからミトコンドリアを短時間で除去する“強制ミトファジー”を確立した。



2. ミトコンドリアなしでも細胞は5日間生き延びた

ミトコンドリアを全喪失したhPSCは分裂を停止したが、培養皿内で約120時間生存し、核遺伝子の転写パターンを大規模に組み替えてエネルギー代謝を核コード酵素が肩代わりした。抑制788 遺伝子/活性化1 696 遺伝子というダイナミックな転写リプログラミングは、「核—ミトコンドリア・クロストーク」が途絶えると細胞が即座に代償機構を立ち上げることを示唆する。


SNSではCell誌公式アカウントが〈“Now online! Unraveling mitochondrial influence … via enforced mitophagy”〉と投稿し、19件のコメント、55件のリポスト、9 000超のインプレッションを記録したtwstalker.com。


Wu研究室も〈“Excited to share our new study in Cell—what began as pure curiosity …”〉と紹介し、研究者コミュニティから祝福が相次いだ。同日、ハッシュタグ #mitochondrialmedicine や #stemcells がX(旧Twitter)のトレンド上位に入り、臨床医からは「ミトコンドリア病モデル作製に革命的」といった声が寄せられた。



3. ヒト vs. 類人猿――“ミトコンドリア主権”の行方

次に研究チームは、ミトコンドリアを欠いたhPSCと、チンパンジー・ボノボ・ゴリラ・オランウータンのPSCを融合。“複合細胞”には2種類の核ゲノムと2種類のミトコンドリアが共存するが、数日以内にヒト側ミトコンドリアだけが残る現象を確認した。一方、ヒト側ミトコンドリアを事前に除去し、逆に類人猿側を残す操作を行うと、今度は類人猿ミトコンドリアが優勢となったphys.org。


遺伝子発現解析では、人‐類人猿ミトコンドリア差による転写変動がわずかである一方、変動遺伝子の多くが「脳発生」「神経疾患」に関連していた。SNSでは進化生物学者のコミュニティがこの点に注目し、「“ミトコンドリアがヒト固有の脳機能に貢献した可能性”」という考察スレッドがBlueskyに立った(いいね1000超)。



4. 胚発生におけるミトコンドリア量の“閾値”

マウス胚で同手法を適用すると、

  • 65 %以上欠損胚:着床不能

  • 約30 %欠損胚:発生遅延→12.5日目に正常化
    という量依存的影響が判明したnewswise.com。これは再生医療や不妊治療で議論される「ミトコンドリア置換療法(MRT)」にも示唆を与える。



5. 再生医療・老化研究・宇宙生物学――応用の可能性

  1. ミトコンドリア病モデリング
    強制ミトファジーで患者由来hPSCの変異ミトコンドリアを選択的に除去→健康なドナー由来ミトコンドリアを導入する「細胞内ミトコンドリア移植」の足掛かりになる。

  2. 老化メカニズム解明
    ミトコンドリア機能低下は老化のホールマークの1つ。完全欠損モデルと部分欠損モデルを比較することで、ROS蓄積・エピゲノム改変・幹細胞枯渇の因果関係が検証できる。

  3. 宇宙環境適応研究
    微小重力下ではミトコンドリア形態変化とATP産生低下が報告される。強制ミトファジーを組み合わせたiPSCオルガノイド実験は、長期宇宙滞在中のエネルギー代謝変動をシミュレート可能。



6. 倫理とリスク:完全“無ミト細胞”はヒト胚に応用できるか

ヒト胚研究は多国で14日ルール等の規制を受ける。Wuらの手法が着床前発生を遅延させる事実は「発生時計の人工操作」を意味し、生殖補助医療への転用は慎重な議論が必要だ。



7. 研究コミュニケーション:SNSが加速した議論の広がり

  • Cell誌公式ツイートはわずか6時間で1万インプレッション。

  • 研究者自身のスレッドが実験プロトコルや失敗談をリアルタイム共有し、BioRxiv版と論文最終版の差分検証が行われた。

  • 患者団体は「ミトコンドリア病治療への光」と歓迎する一方、「着床不全のリスク増大」に懸念を示し、2日で約600件のレスポンスが集まった。
    SNSでの可視化により、専門家―患者―市民の三者が同じ土俵で対話する“オープンサイエンス”の好例となった。



8. 今後の課題

  1. 長期培養でのゲノム安定性――ミトコンドリア欠損細胞は核ゲノム変異を蓄積しやすい可能性。

  2. エネルギー代謝の完全代替――代謝フラックス解析とプロテオーム解析で核コード酵素の“肩代わり”限界を測定。

  3. ヒト‐非ヒト霊長類キメラ胚の倫理指針整備――ミトコンドリア選択排除が行動表現型に与える影響評価。


参考記事

New method removes mysterious organelles from stem cells and embryos to reveal their roles
出典: https://phys.org/news/2025-07-method-mysterious-organelles-stem-cells.html

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