サンラファエルの大胆な挑戦：市営住宅での電子タバコ禁止、住民からは賛否両論 - ベランダもNG、電子タバコも対象

2025年11月3日、カリフォルニア州サンラファエル市議会は、集合住宅（デュープレックス／多世帯住宅）での喫煙禁止を徹底し、例外として残っていた電子タバコ（Vape）の使用を明確に禁止する改正案を初読可決。11月17日の最終採決が見込まれ、可決すれば市は再び全米の議論の先頭に立つ。 San Rafael

何が変わるのか

サンラファエル市には2012年の段階で、集合住宅の室内・バルコニー等を広く禁煙とする強力な条例が存在した。ただし近年は「電子タバコならOK」という“抜け道”が残っており、隣室やベランダからの蒸気（エアロゾル）侵入をめぐるトラブルが続いていた。今回の改正案は、この電子タバコの例外を削除し、「すべての喫煙（紙巻・葉巻・電子タバコ等）」を集合住宅内外の該当エリアで禁じる内容だ。 CBSニュース

改正案はまた、違反時の実効性を高めるため、小額裁判所での差止め（インジャンクション）を認める規定を追加。2024年に導入された住民側の民事的な執行手段（プライベート・ライト・オブ・アクション）を、より確実に機能させる狙いがある。 Google Cloud Storage　library.municode.com

時系列：今回の決定まで

• 2012年：集合住宅の屋内・共用部、ベランダなどを原則禁煙化。全国的にも先駆例として報じられた。 CBSニュース

• 2024年9月：違反抑止を狙い、住民が民事で是正を求められるよう条例を改正（条例2042）。 library.municode.com

• 2025年11月3日：電子タバコの例外を削り、「集合住宅における全ての喫煙の禁止」を明確化する改正案を初読。最終採決は11月17日の予定。 San Rafael
  
  

追い風：郡内・近隣の動きと全国トレンド

同じマリン郡では近時、たばこ製品の小売規制や電子タバコ販売禁止など、供給側を締める動きが加速。近隣のティビューロン町はニコチン・たばこ製品の販売全面禁止で北カリフォルニア初の試みになる見通しだ。サンラファエルの住宅内規制強化は、こうした「小売」「使用」の両輪で地域全体の対策を押し上げる。 Local News Matters　marincounty.gov

全米的にも、集合住宅のスモークフリー化は拡大基調で、2025年7月時点で100以上の自治体が何らかの形で私的住戸を含む規制を導入している。 no-smoke.org

論点整理：私的空間 vs. 公衆の健康

賛成派の論点

• 二次・三次曝露（壁やカーペット等に残留する残渣）から住民を守るべき。特に集合住宅は構造上“煙や蒸気の漏れ”が避けにくい。

• 火災リスクや物件損傷の低減にも資する。

• 電子タバコであっても完全無害ではなく、例外が紛争の温床になっていた。 Google Cloud Storage

慎重派の論点

• 私的空間での行為を行政がどこまで規制できるのか、過度な介入ではないか。

• 苦情ベースの執行は住民間対立を激化させる懸念。

• 換気や防臭施工などの代替策を優先すべき、という声も。
  同種の条例を導入した他都市では、**「政府の行き過ぎ」**との批判が起きた例も報じられている。 The Times
  
  

SNSの反応（要約）

Xや地域掲示板では、以下のような賛否が目立つ（固有名を伏せた一般的な反応の要約）。

• 「やっと電子タバコの抜け道が塞がる。子どもがいる家庭には朗報」

• 「ベランダ喫煙でも匂いが入ってくるから助かる」

• 「いくらなんでも家の中まで指図するのはやり過ぎ」

• 「通報・訴訟が増えて近所関係がギスギスしそう。まずは建築的対策を」

• 「販売禁止に動く自治体もあるのに、『吸う場所だけ』を締めるのは不均衡」
  ※上記は同様の制度を巡る既報や近隣自治体の議論で観測される典型的論点を踏まえた要約です。販売規制の賛否を巡る最新の郡内議論も、是非の分断を映している。 Local News Matters
  
  

執行と生活への影響：何が起きる？

1. 物件運用の見直し
   管理会社・オーナーは、入居規約・掲示・違反時のフロー（警告→記録→請求/差止請求）を整える必要がある。小額裁判所の差止めが可能になることで、違反抑止力は上がる見込み。 Google Cloud Storage

2. 居住者の行動変容
   紙巻・葉巻・電子タバコを問わず、室内・ベランダ・専用庭等での使用は原則不可。ニコチン依存対策としての禁煙外来や代替ニコチン製品の活用、指定喫煙所の有無などを事前に確認したい。 Google Cloud Storage

3. トラブル予防
   苦情は感情的になりやすい。日時・場所・状況の記録を付け、まずは管理会社経由での是正を図る。併せて、二次・三次曝露対策（シーリング、気密改善、空気清浄機）も検討価値がある。
   
   
   

地域への含意：なぜ今なのか

マリン郡では、高校11年生の約17%がVapeを使用という調査が報じられるなど、若年層のニコチン依存が強い懸念材料となっている。販売や価格の外部対策に加え、居住空間の曝露リスクを抑える“内側からの保護”を整合させる——今回の条例改正は、そのパズルの最後のピースといえる。 San Francisco Chronicle

今後のスケジュール

• 11月17日（月）2025年：最終読会・採決の見込み。可決すれば条例文に記されたとおり、改正が正式に成立する見通し。 Google Cloud Storage
  
  

まとめ

サンラファエルは2012年に続き、2025年の今回も**“生活の場”を公衆衛生の視点で守る**という強いメッセージを発する。私的空間の自由とのバランス、執行の現実性、近隣関係への配慮——課題は残るが、電子タバコ例外の撤廃はスモークフリー住宅という長期潮流のひと区切りだ。議会の最終判断と、現場の丁寧な運用に注目したい。 no-smoke.org