メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

リトアニアの研究が示す若者の変化: 「挑戦」より「安心」? Z世代の価値観はどこへ向かうのか

リトアニアの研究が示す若者の変化: 「挑戦」より「安心」? Z世代の価値観はどこへ向かうのか

2025年09月19日 00:12

はじめに

2025年9月17日にPhys.orgが報じたリトアニアの研究によると、過去10年でリトアニアの若い世代は「変化への開放性」よりも「安全・安定・伝統」を重視する傾向を強め、通説的な「若者=よりリベラルで大胆」というイメージに疑問符が付いた。研究はヨーロッパ社会調査(ESS)の6波(2010–2020年、回答者11,199人)を解析し、価値観の年代・時代・コホート効果を丁寧に切り分けている。Phys.org



研究は何を示したのか(3行要約)

  • 2010–2020年のESSデータ(n=11,199)を用い、シュワルツ価値理論の上位次元(保守/開放、自己超越/自己高揚)の推移を分析。mural.maynoothuniversity.ie

  • 「独立EU世代(1990年以降に生まれ独立後に成長)」の保守(Conservation)志向が強まり、同時に**自己超越(他者・コミュニティ志向)**も高いという結果。Phys.org

  • 若者像の常識(経済発展=価値の近代化=よりリベラル)に真っ向から挑む発見。Phys.org


背景:価値観はどう測られる?

本研究は、行動の指針となる価値をシュワルツ価値理論の4象限(「開放—保守」「自己超越—自己高揚」)で捉える。若年層が「開放(変化・自律)」よりも「保守(安全・秩序・伝統)」を重視し、かつ「自己超越(公益・配慮)」が高まっているという結果は、単に“保守化=利己化”という単純図式では説明できない。むしろリスク回避と共同体志向の同居が読み取れる。



デザインと方法

  • データ:ESS 2010–2020(6波、11,199回答)。横断繰り返しデータで、年齢効果・時代効果・コホート効果を切り分け。mural.maynoothuniversity.ie

  • 世代区分:年齢ではなく政治的コンテクストで、「スターリン世代/ソ連世代/後期ソ連世代/独立EU世代」に分類。Phys.org

  • 学術誌:Journal of Cross-Cultural Psychologyに査読掲載。SAGE Journals


主要結果を噛み砕く

  1. 独立EU世代の保守化
    2010年代を通じて、最若年コホートで**保守(Conservation)**が上昇。安全や秩序、予見可能性へのニーズが強い。Phys.org

  2. 野心(Ambition)の相対的低下と共同体志向の上昇
    「自己高揚(達成・支配)」よりも「自己超越(配慮・公共善)」が目立つ。**“自分だけが伸びる”より“皆で安定”**に関心が向く。Phys.org

  3. 地域文脈との整合性
    バルト周辺でも、個人化の潮流はあるが価値の近代化ペースは西欧より緩やか。歴史的経験(占領・独立・アイデンティティ変容)や制度信頼の低さが、家族・身近な共同体への回帰を後押ししている可能性。Phys.org


なぜ若者は「安全・安定・伝統」を選ぶのか(仮説)

  • 多重クライシス世代の合理性:金融危機後に成人し、パンデミックや安全保障不安を経験。不確実性への感受性が高く、確実な足場を求める。

  • 移行経済の“若い民主主義”効果:制度が成熟途上の文脈では、秩序と予見可能性を価値づけやすい。Phys.org

  • オンライン空間の“脱イデオロギー化”:強固な政治的巻き込みより、実用・安全・コミュニティ情報の重視へ(欧州での年齢別イデオロギー分極化は必ずしも直線的に拡大していないという研究も)。ejpr.onlinelibrary.wiley.com


SNSの反応を観察して見えたこと

全体像:バズる炎上系ではないが、学術界・政策界・地域コミュニティで静かな反響。

  • 研究者サイド(LinkedIn)
    著者の1人・Mockaitis氏はLinkedInで論文のポイント(政治世代を横断した価値変化の追跡)を紹介。方法志向の解説が多く、研究コミュニティ内での拡散が中心。LinkedIn

  • プレス・配信ルート(EurekAlert!/KTU公式)
    大学の英語ニュースや配信網で取り上げられ、**「若者=保守化と共同体志向」**の見出しが並ぶ。政策含意(若者の心理的安全や自信形成の支援)が強調された。Kaunas University of Technology

  • Reddit(バルト地域の文脈)
    バルト諸国の相対的な保守性をめぐる雑談スレでは、「リトアニアは相対的に保守的」という肌感が以前から共有されており、今回の結果を“直感的に納得”する声も。研究そのものに直接言及しない投稿が多いが、地域世論の地盤として参考になる。Reddit

まとめると、**専門層は方法と含意、一般層は“地域としての保守感”**で反応しており、党派的な煽りより冷静な議論が目立った。



国際比較の射程と注意点

  • 単一国研究であり、「若者一般」への一般化は禁物。ただし、移行社会やポスト危機世代では似たパターンが潜む可能性。SAGE Journals

  • 年齢差だけでなく、時代(Period)やコホート(Cohort)の交差が重要——欧州全域でも年齢分極化の単純拡大論は疑義あり。ejpr.onlinelibrary.wiley.com


実務へのヒント(政策・教育・企業)

  1. 政策:奨学金や職業訓練、メンタルヘルス支援など、**“挑戦の前提となる安全基地”**を整備。不確実性耐性を高める設計が鍵。Phys.org

  2. 教育:キャリア教育は野心の喚起だけでなく、コミュニティ貢献と安心感を接続して語る。

  3. 企業・採用:若手には明確な役割・予測可能な評価・チーム志向を提示。“挑戦”は小さな成功体験の積み重ねから。


研究の限界

  • 測定は自己報告式で、社会的望ましさバイアスの可能性。

  • 世代区分は政治時期ベースのため、国境を越えた直接比較には追加検討が要る。Phys.org

  • SNS反応は可視化プラットフォームに偏りがあり、英語圏外の議論は拾いにくい。



おわりに

この研究は、若者像を“色分け”で決めつけないための強い材料になる。保守志向と共同体志向の上昇は、閉塞ではなく**「安全から挑戦を育む」ための土台づくりの合図かもしれない。次の10年、若者は慎重に足場を固めたうえで、より持続的な変化**を選ぶのではないか。



参考記事

リトアニアの研究によると、若者はこれまで考えられていたほどリベラルでも勇敢でもないことが示唆されています。
出典: https://phys.org/news/2025-09-young-people-liberal-courageous-previously.html

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.