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不確定性を“設計”する - ハイゼンベルクを回り込め:モジュラー測定が拓く量子センサー

不確定性を“設計”する - ハイゼンベルクを回り込め:モジュラー測定が拓く量子センサー

2025年09月30日 00:10

2025年9月28日付のLive Scienceが「ハイゼンベルクの不確定性原理に“抜け道”」という挑発的な見出しで報じた研究は、実は原理を破っていない。研究チームは位置と運動量の「絶対値」ではなく、一定間隔ごとの“余り”だけに注目するモジュラー観測量(modular observables)を使って、シングルイオン(単一原子)の運動から極微の変化を同時に読み取ることに成功したのだ。論文は9月24日に Science Advances に掲載され、実験はシドニー大学のQuantum Control Laboratoryが主導した。Live Science Science


何をどう“同時に”測ったのか

通常の不確定性原理は、位置$x$と運動量$p$の分散の積が$\hbar/2$未満にはならないことを主張する。ここでチームは、$x$や$p$そのものではなく、「定規の目盛に対するズレ」だけ(モジュラー位置/モジュラー運動量)を測る。全体の“どのセンチにいるか”は捨て、 “最後の目盛から何ミリ離れているか”だけを残すという発想だ。全体情報を意図的に捨てることで、必要な部分の精度を大幅に引き上げる。Live Science


この戦略の鍵はグリッド状態(GKP格子状態)。トラップされたイオンの量子状態を、等間隔のピークが並ぶ格子のように整形する。力が加わると格子全体が“横滑り”や“傾き”を起こし、それが位置と運動量それぞれの微小変化として現れる——両者の変化を同時に読み出せるのはそのためだ。Live Science


どれだけ敏感だったのか

今回の力感度は約10ヨクトニュートン($10^{-23}$ N)。世界記録ではないが、単一原子×比較的シンプルな装置でこの領域に達した意味は大きい。巨大な振動子や大規模装置に頼らず、“小さくて賢い”量子センサーの道を示したといえる。Live Science


何が「新しい」&「破っていない」のか

誤解しやすいのは「同時に測れた=原理破り」ではない点だ。測っている量が従来と違う(モジュラー量)ので、不確定性の“風船”の空気を不要なところへ押しやるように配置し直した、というのが研究側の説明である。2010年代の弱測定や誤差・撹乱関係の再定式化(Ozawaの関係式)など、**「原理の枠内で測り方を賢くする」**潮流の延長線上にある成果と位置づけられる。The University of Sydney arXiv


応用インパクト:GPSに頼らない計測から医療・宇宙まで

研究チームと派生報道は、地下・水中・宇宙などGPSが届かない環境での航法、次世代の原子時計、非侵襲な医用イメージング、材料・重力計測といった応用を挙げる。重要なのは、既存手法を置き換える“銀の弾丸”ではなく、量子センシングのツールボックスに新しいドライバーが増えたという位置づけだ。The University of Sydney


学術的な位置づけ

モジュラー変数や格子状態を用いた発想自体は理論・実験の積み重ねの上にある(たとえば2017–2018年の先行実験)。今回の貢献は、多変数(位置&運動量)の同時推定を単一モードで実証し、“標準量子限界”の外側へ踏み込んだ点にある。arXiv+2Physical Review


SNSの反応:盛り上がる“ブレイキング・バッド”ネタと真面目な議論

  • Redditの/r/science では、大学リリース経由のスレッドに**「物理法則を壊すんじゃなく、うまく“曲げた”んだ」と要約する声や、ドラマ『ブレイキング・バッド』に引っ掛けた「I am the uncertainty!(私は“不確定”だ!)」といったジョークが並んだ。一方でLIGO級の高精度測定を連想する真面目なコメント**も見られ、期待とユーモアが同居する雰囲気だった。Reddit

  • Tech系メディアやニュースアグリゲータでも大学の説明(“風船の空気”比喩やグリッド状態)が広く引用され、**「次世代量子センサーの基盤」**として拡散している。ScienceDaily

よくある誤解と正しい理解(3行ポイント)

  • 誤解:「位置と運動量の“正確な値”を同時に知った」→ 正しくは「モジュラーな変化を同時に高精度で推定した」。Live Science

  • 誤解:「不確定性原理の否定」→ 正しくは「不確定性の再配分で“測り方”を変えただけ」。The University of Sydney

  • 誤解:「すぐ実用」→ 正しくは「研究段階。だが小型・簡素な構成で高感度を示した意義は大」。Live Science


研究の基礎情報

  • 論文:Valahu et al., “Quantum-enhanced multiparameter sensing in a single mode,” Science Advances 11:eadw9757(2025年9月24日公開)。PDFも公開。Science

  • 大学リリース(9月25日):“不確定性原理を迂回する精密センシング”。比喩や図解付き。The University of Sydney

  • 一般向け報道(9月28日):Live Scienceの解説。グリッド状態や約$10^{-23}$ Nの感度、Valahu氏コメントを収録。Live Science


参考記事

物理学者たちがハイゼンベルクの不確定性原理を破ることなく抜け道を発見
出典: https://www.livescience.com/physics-mathematics/physicists-find-a-loophole-in-heisenbergs-uncertainty-principle-without-breaking-it

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