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紙遊びから宇宙探査へ:キリガミ・パラシュートが拓くドローン配送と人道支援の未来 - 日本の伝統が科学に与える影響

紙遊びから宇宙探査へ:キリガミ・パラシュートが拓くドローン配送と人道支援の未来 - 日本の伝統が科学に与える影響

2025年12月04日 08:39

夜のタイムラインを眺めていたら、こんな動画が流れてきた――


ドローンから水の入ったペットボトルがスッと落ちてくる。
ぶら下がっているのは普通の布のパラシュートではなく、ただの「丸い薄い板」に見えるもの。
それが空気を受けた瞬間、花瓶のようなレース状のカゴに変形し、そのまま“まっすぐ”下に落ちていく。


「え、どうなってるのこれ?」「紙切りアートでパラシュート?!」
XやTikTokでは、そんな驚き混じりの投稿がじわじわバズり始めています。


この不思議なパラシュートの正体は、日本の切り紙アート「キリガミ(kirigami)」からヒントを得た新しい設計。
カナダ・モントリオール工科大学(Polytechnique Montréal)の研究チームが開発し、2025年10月に科学誌 Nature に論文が掲載されたばかりのホットな研究です。Science News Explores


紙を「折る」だけじゃない、切ってつくるキリガミ

一般的によく知られているのは折り紙ですが、今回の主役は「キリガミ」。
折り紙が「折るだけ」なのに対して、キリガミは折った紙にハサミを入れ、切り込みのパターンで立体的な形をつくるアートです。


研究チームが使ったのは、金色の非常に薄いプラスチックフィルム「マイラー(Mylar)」の円盤。
この円盤に、中心から外側へ向かって同心円状のスリット(切り込み)をずらしながら入れていきます。Science News Explores


一見するとただの「穴だらけの円盤」ですが、重りをぶら下げて落とすと、一気にその真価を発揮します。
空気を受けた円盤は、スリット部分が立ち上がり、細かい格子状の“花瓶型ネット”に変形。
その形が空気抵抗(ドラッグ)を生み、荷物の落下速度を抑えてくれるのです。Science News Explores


「どう投げても真下に落ちる」不思議な安定性

実験を行った機械工学者デヴィッド・メランソン氏は、
「どんな向きで投げても、姿勢を自動的に立て直して、まっすぐ真下に落ちていく」と語っています。Science News Explores


普通の布製パラシュートは、開き方や風の影響で、左右に大きく流されながら落ちていきます。
人が背負うパラシュートなら、その“横流れ”がむしろ安全性につながることもありますが、
「決められた地点に物資を落としたい」場面では、ブレが大きな問題になります。


キリガミ・パラシュートは、平らな円盤から“伸びる”ように立体形状になるため、
重りとパラシュートの中心軸がぴったり揃いやすく、空気の流れも左右対称になりやすい構造です。
そのため、放り投げたときに多少傾いていても、空気抵抗が勝手に姿勢を修正し、
結果として「ほとんど真下」に、弾道ミサイルのような軌道で落ちていくのだとか。Science News Explores


1キロのペットボトルを60メートル上空から

実際にどれくらい効果があるのか。
研究チームは、直径50センチのキリガミ・パラシュートに1キログラムの水ボトルを吊るし、
高さ60メートルのドローンから落下させるテストを行いました。Science News Explores


その結果――

  • パラシュートなし:終端速度は約34 m/s(時速約122 km)

  • キリガミ・パラシュートあり:最高速度は約14 m/s(時速約50 km)

空気抵抗のおかげで、落下速度は半分以下。


数字だけ見るとまだ速いように感じますが、荷物用としては十分実用的なレベルで、
地面に敷いたクッション材などと組み合わせれば、食品や医薬品を安全に届けられる可能性があります。


穴だらけなのにパラシュート? ― ドラッグの話

「それだけ穴が開いてたら、かえって落ちるのが早くなるんじゃ?」
SNSでもよく見かける疑問です。


実際、キリガミ・パラシュートは同じサイズの布製パラシュートよりも空気抵抗が小さく、
同じ重さを安全に落とすためには、より“巨大な”傘が必要になります。Science News Explores


それでも研究チームがあえて穴だらけのデザインを採用したのは、

  • 安定性が高い(ブレにくい、回転しにくい)

  • 簡単に製造できる(縫製や複雑な折り畳みが要らない)

というメリットがあるからです。


落下する物体が空気から受けるドラッグは、おおざっぱに言うと

ドラッグ ≒ 形 × 速度² × 空気密度

で決まります。


穴があることでドラッグは減りますが、その代わり形を大きくすれば帳消しにできる――
というトレードオフの上に成り立っているわけですね。


なお、同じ仕組みで“人間”を安全に降ろそうとすると、
「2つのフットボール場を並べたくらい」の巨大パラシュートが必要になるそうです。Science News Explores
さすがにそれは現実的ではないので、用途はあくまで“荷物専用”と考えられています。


安くてエコなパラシュートになり得る理由

もう一つの強みは「安くてエコになれるポテンシャル」です。

従来の布製パラシュートは、
・耐久性のある布地
・長いロープ
・複雑な縫い合わせ
・きれいに開くような折り畳み
といった工程が欠かせず、製造も運用もそれなりにコストがかかります。


一方、キリガミ・パラシュートは

  • 一枚のシートにレーザーでパターンを切り込むだけ

  • 素材はマイラーのほか、紙や段ボール、安価なプラスチックでもOK

  • 使い捨てにする場合でも、紙や段ボールならリサイクル・生分解がしやすい

といった特徴を持ちます。


現時点では、レーザーカッターが高価で、1枚作るのにも時間がかかるという課題がありますが、
将来的に量産プロセスが確立されれば、
「100均の画用紙から人道支援用パラシュートを大量生産」という日も来るかもしれません。


宇宙探査にも? クルクル回転しながら落ちるバージョン

研究チームは、単に「真下に落ちるだけ」のパターンだけでなく、
落下中にメープルの種のようにクルクル回転するデザインも検討しています。Science News Explores


回転しながら落ちるパラシュートにカメラを付ければ、
惑星や衛星の大気を通過する際に、周囲をぐるりと撮影しながら降りていくことができます。
火星や、濃い大気を持つ金星・タイタンなど、「落下しながら観測したい天体」はたくさんあります。


「紙切りアート × 宇宙探査」という、なんともロマンのある組み合わせです。



SNSではこんな反応が(※イメージ要約)

※以下は実際の投稿をそのまま引用したものではなく、
 SNSで見られる典型的なリアクションをまとめた“雰囲気”です。


1. 教育・自由研究クラスタ

  • 「小学生の自由研究これで優勝じゃん。A4のクリアファイル切るだけでできそう」

  • 「物理苦手だったけど、この動画は“空気抵抗”が一瞬で理解できる」

  • 「理科の先生、次の授業で絶対やってほしい実験リストに入れた」

キリガミという身近な題材と、「どうして真下に落ちるの?」という素朴な疑問が相性抜群。
図工・美術と理科をつなぐ“STEAM教材”として使えそうだ、という声が多く見られます。


2. 防災・物流クラスタ

  • 「ドローン配達、これ採用したら着地点の誤差かなり減りそう」

  • 「山岳救助とか、孤立集落への支援物資投下に使えたら熱い」

  • 「でも大量に使い捨てたらゴミ問題になりそう。素材は絶対バイオ系にしてほしい」


ここでは「安くて精度の高い投下手段」という実務的な観点からの議論が活発。
特に、災害時の支援物資や医療物資を“ピンポイントで届けられる”可能性に注目が集まっています。


一方で、「どれくらいの風まで耐えられるのか」「複雑な地形でも本当に狙った場所に落ちるのか」といった、
現場視点のシビアなツッコミも飛んでおり、実装までのハードルの高さも意識されています。


3. 宇宙・サイエンスファンクラスタ

  • 「これそのまま火星探査で使えるのでは?」

  • 「SFに出てきそうな“折りたたみセンサー”が現実に近づいてる感じ」

  • 「キリガミで惑星大気をマッピングする時代、胸が熱い」

特に、「回転しながら落ちるバージョン」が宇宙探査と相性が良さそうだという妄想が広がっており、
「観測機器を束ねたキリガミ・フリートを上空からバラまき、同時にデータを取る」
といった未来図が語られています。


4. アート・デザインクラスタ

  • 「インスタレーション作品としても成立しそう」

  • 「ファッションショーで、この構造を使ったスカートやドレス見てみたい」

元々アートであるキリガミが、再びアートの世界から歓迎されているのも面白いポイント。
“用の美”と“見せる美”を行き来するテクノロジーは、SNSと相性バツグンです。



私たちの生活と「キリガミ・パラシュート」のこれから

この技術が本格的に社会に浸透するとしたら、どんな未来が見えてくるでしょうか。


ドローン配送の「最後のひと落とし」を変える

現在、ドローン配送は「ドローンが家の前まで来て直接商品を降ろす」スタイルが主流の想定ですが、
実際には、人や建物との接触リスク、安全規制など、クリアすべき課題が山ほどあります。


一方で、ドローンはある程度高いところを飛びながら、
・キリガミ・パラシュート付きの荷物を上空から落とす
・荷物だけが安全に真下へ、ピンポイント着地
という方式なら、ドローン本体が地上の障害物に近づく必要がなくなります。


もちろん、風の強い日や高層ビル街などでは別の対策が必要ですが、
「ある条件のときは“投下型配送”のほうが安全でシンプル」
というシナリオは十分にあり得ます。


人道支援・災害支援での活躍

道路が寸断され、ヘリすら降りられない場所へ物資を届けなければならない――
そんな状況で、安価で軽く、ある程度使い捨ても許容できるパラシュートは非常に魅力的です。


キリガミ・パラシュートは

  • 折り畳めば薄い円盤の束になる → 輸送がラク

  • 縫製不要 → 現地での簡易生産も視野に入る

  • 素材次第で環境負荷を抑えられる

といったメリットがあり、「大量に持ち込んで現地でどんどん使う」という運用と相性が良さそうです。


教育 × メイカームーブメントの教材にも

そして何より、このパラシュートは“見た瞬間に作りたくなる”という強い魅力を持っています。
透明なファイルやラミネートフィルム、薄いプラスチック板などに円形の切り込みを入れ、
洗濯バサミでおもりを付けて落としてみる――それだけで「小型版キリガミ・パラシュート」ができます。


教室でこれを試せば、

  1. どのパターンが一番安定して落ちるか

  2. 穴を増やすとどうなるか

  3. 素材を紙・プラ・布で変えるとどう変化するか

といった、立派な物理実験・工学実験になります。


「芸術(Art)」と「工学(Engineering)」と「科学(Science)」をつなぐ、まさにSTEAM教材です。



結び ― 紙一枚の切り込みが、空の物流を変えるかもしれない

今回紹介したキリガミ・パラシュートは、
「とてもシンプルなアイデア × 物理の深い理解」の組み合わせが生んだテクノロジーです。Science News Explores

・荷物用パラシュートとしての実用化
・災害現場での人道支援
・惑星探査での観測機器の投下
・学校やメイカースペースでの教材

まだまだ課題は多いものの、広がり方次第では、
「空から物を落とす」という行為そのもののイメージを塗り替えてしまうかもしれません。


ハサミで入れたささやかな切り込みが、
未来の物流や宇宙探査のインフラへとつながっていく――
そんなストーリーに、SNSが盛り上がるのも納得です。



参考記事

これらのパラシュートは、日本の切り紙技術のおかげで開きます。
出典: https://www.snexplores.org/article/kirigami-parachute-design-physics

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