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OpenAIがChatGPTの方針を再確認:「法律・医療アドバイス禁止」は“新ルール”ではなかった――何が変わり、何が変わっていないのか

OpenAIがChatGPTの方針を再確認:「法律・医療アドバイス禁止」は“新ルール”ではなかった――何が変わり、何が変わっていないのか

2025年11月16日 19:35

1. 何が話題になったのか──「ChatGPTは医療・法律相談禁止?」という誤解

2025年11月初め、SNS上で「ChatGPTが医療・法律・金融のアドバイスを全面的に禁止した」という投稿が世界的に拡散しました。きっかけの1つは、ニュースサイトなどが引用した「チャットボットは今後、治療・法律・お金に関する具体的なアドバイスを提供しない」という報道やポストです。Khaleej Times+1

特にバイラルしたのは、ベッティング・プラットフォーム「Kalshi」がXに投稿した「ChatGPTはもはや健康や法律のアドバイスを提供しない」というメッセージでした(その後削除)。The Verge

これにより、

  • 「病気の相談をしても、もう何も答えてくれないのでは?」

  • 「契約書のチェックや税金の相談も一切できなくなる?」

  • 「AI規制の影響で、ChatGPTが“ただの雑談ツール”に格下げされたのでは?」

といった不安や憶測が、日本を含む世界中のユーザーの間で広がりました。


しかし、OpenAIの公式な説明はこれとは対照的です。NDTV Profitの報道によれば、OpenAIは「ChatGPTの挙動は変わっていない」「法的・医療アドバイスに関するルールは以前から存在しており、今回新しく導入されたものではない」と明言しました。NDTV Profit



2. OpenAIの公式説明:「モデルの行動は変わっていない」

OpenAIのヘルスAI責任者であるKaran Singhal氏は、SNS上で直接このうわさを否定しました。The Vergeによると、Singhal氏はX上で次のように投稿しています。The Verge


「事実ではありません。推測が広がっていますが、これは利用規約の新しい変更ではありません。モデルの挙動は変わっていません。ChatGPTはこれまでも専門家の代わりではありませんでしたが、法律や健康情報を理解するうえで優れたリソースであり続けます」


ポイントは2つです。

  1. 「新たな禁止事項」が増えたわけではない
    法律・医療・金融などの“高リスク分野”における「個別具体的な助言」を、専門家の関与なしに行うことは禁止、というルール自体は以前から存在していました。The Times of India+1

  2. 一般的な情報提供は継続される
    病名の一般的な説明や法律・制度の概要、判例やニュースの解説、健康に関する一般的な情報提供など、「教育的な情報」や「理解を助けるための解説」は、これまで通り行われます。OpenAIもChatGPTを“Educational Tool(教育ツール)”として位置づけています。NDTV Profit+1


つまり、「一切答えなくなった」のではなく、「元々やってはいけないこと」を改めて明文化し、「そこはAIではなく人間の専門家に必ず相談してほしい」と強調した形に近いと言えます。



3. 10月29日のUsage Policy改定で実際に起きたこと

では、2025年10月29日の更新で何が変わったのでしょうか。OpenAIは公式サイトのUsage Policies(利用ポリシー)を更新し、複数に分かれていた文書を統合しました。OpenAI+1


3-1. ポリシー文書の統合と表現の整理

以前は、

  • 全ユーザーに共通する「ユニバーサルポリシー」

  • ChatGPT専用のポリシー

  • 開発者向けAPIのポリシー

など、用途ごとに文書が分かれていました。今回の改定では、これらを一本化し、「OpenAIのあらゆるサービスに共通するUsage Policies」として整理しています。The Times of India


そのうえで、

  • 「人を守る(Protect people)」

  • 「プライバシーを尊重する(Respect privacy)」

といった大きな柱を立て、その中に許されない利用例を列挙するスタイルに変わりました。



3-2. 法律・医療アドバイスに関する具体的な記述

Usage Policiesの「Protect people」の項目には、禁止される行為の1つとして次のような文言があります。OpenAI

「免許が必要な分野(法律や医療など)における“個別具体的な助言(tailored advice)”を、適切な資格を持つ専門家の関与なしに提供すること」


これは、以前のポリシーにあった、

「人々の安全・権利・福祉を大きく損なう可能性のある行為として、専門家によるレビューなしに、法律・医療・金融に関する個別のアドバイスを提供することを禁止する」

という文言と趣旨がほぼ同じです。The Times of India+1

つまり、内容的には「継続」かつ「表現の整理」であり、新しい禁止項目が急に追加されたわけではありません。



3-3. 高リスク分野における自動化の制限

今回のポリシーでは、法律・医療・金融・住宅・雇用・保険など「人の生活に大きな影響を与える分野」において、AIだけで意思決定を自動化することも制限しています。Khaleej Times+1


  • AIだけで採用・解雇を判断する

  • AIだけで保険の支払い可否を決める

  • AIだけで治療方針を決める


といったことは、いずれも高いリスクを伴います。OpenAIは、こうした用途では必ず人間の専門家によるレビューや意思決定を入れるべきだとしています。



4. なぜ「法的・医療アドバイス」を制限するのか

OpenAIが法的・医療アドバイスに慎重なのには、いくつかの理由があります。


4-1. 情報の誤り・不完全さによるリスク

生成AIは、もっともらしい文章を作る一方で、事実誤認(いわゆる「ハルシネーション」)を起こす可能性があります。特に医療と法律は、

  • わずかな事実の違いで結論が変わる

  • 国や地域、時期によってルールが異なる

  • 個人の症状や事情によって最適解が変わる

といった特徴があり、「一般論」をそのまま個人のケースに当てはめると危険です。


例えば、

  • 病名は同じでも、持病や服用中の薬によって安全な治療法は変わります。

  • 契約トラブルも、契約書の条文や相手方とのやり取りの細部で、取るべき行動が変わります。

こうした状況でAIが誤ったアドバイスを行い、それをユーザーが「専門家の意見」と誤解してしまうと、健康被害や法的トラブルが現実に起こり得ます。

4-2. 責任の所在があいまいになりやすい

もしAIのアドバイスを信じて行動した結果、重大な損害が出た場合、「誰が責任を取るのか」という問題が浮上します。

  • AIを提供した企業なのか

  • モデルを利用した開発者なのか

  • AIのアドバイスを採用したユーザー本人なのか

  • それとも、AI導入を決めた組織なのか


現時点では、各国で議論が続いており、明確なルールが整っていない部分も多くあります。OpenAIは、こうした「グレーゾーン」で不用意にリスクを増やさないよう、高リスク分野での“AI単独判断”を避ける方向性を示しています。



4-3. 専門職の倫理規範との整合性

医師や弁護士、税理士などには、それぞれの職業倫理や法律上の義務があります。

  • 医師:医師法、医療広告ガイドライン、診療に関する説明義務など

  • 弁護士:弁護士法、弁護士職務基本規程、守秘義務など


AIはこうした「資格者に課される義務」を直接負っていないため、同じレベルの責任や倫理基準を期待することはできません。OpenAIが「ChatGPTは専門家の代わりではない」と繰り返し強調する背景には、こうした現実があります。NDTV Profit+1



5. それでもChatGPTは役に立つ:情報理解の「ナビゲーター」として

では、「個別のアドバイス」が制限されるなら、ChatGPTはもう役に立たないのでしょうか。OpenAIはそうは考えていません。重要なのは、役割を正しく位置づけることです。


5-1. 複雑な情報を「わかりやすく翻訳」する

法律や医療の世界は、専門用語や長い文書が多く、一般の人には理解が難しい場合があります。ChatGPTは、

  • 専門用語の意味をかみ砕いて説明する

  • 長い文書の概要を要約する

  • 判決やガイドラインのポイントを整理する

といった「情報の翻訳・整理役」として非常に有用です。


例えば日本のユーザーであれば、

  • 厚生労働省の通知文書の要点を噛み砕いて説明してもらう

  • 裁判所判決のニュース記事の内容を、より平易な日本語でまとめてもらう

  • 海外の医療論文を日本語で大まかに理解する

といった用途で、時間と労力を大幅に節約できるでしょう。



5-2. 専門家に相談する前の「準備」に役立つ

いきなり病院や法律事務所に行くと、うまく状況を説明できなかったり、何を聞けばよいかわからなかったりすることがあります。ChatGPTは、


  • 自分の状況を整理する手伝い

  • 専門家に聞くべき質問の候補を出してもらう

  • どの分野の専門家に相談すべきかの一般的な目安を知る


といった「事前準備」に役立ちます。

もちろん、そこで得られた情報は最終判断の材料の一部にすぎません。しかし、専門家に相談した際に「何もわからない状態」より、「ある程度基礎知識を得た状態」で臨んだ方が、より質の高いコミュニケーションと意思決定がしやすくなるのは確かです。



5-3. 「セカンドオピニオンの参考情報」として

既に医師や弁護士から説明を受けた内容について、

  • 一般論としてどう位置づけられるのか

  • 海外ではどのような議論や判例があるのか

  • 似たケースではどんな考え方があるのか

といった情報を、ChatGPTで補足的に調べることもできます。


ここでも重要なのは、AIの情報を鵜呑みにせず、「参考情報」として扱うことです。最終判断や具体的な行動は、必ず担当の専門家と相談して行うべきです。



6. 日本の利用者はどう受け止めればよいか

日本のユーザーにとって、今回のOpenAIの説明から読み取るべきポイントは次の通りです。

  1. 「急に厳しくなった」わけではない
    法律・医療アドバイスに関する制限は以前から存在しており、2025年10月29日の更新で「初めて導入された」わけではありません。

  2. 医師や弁護士の代わりにはならない
    ChatGPTは便利な情報ツールですが、医療行為・法律相談・投資助言などを代行するものではありません。

  3. “教育ツール”としての価値はむしろ高まっている
    OpenAIはChatGPTを教育ツールとして位置づけており、複雑な情報を理解しやすくするナビゲーターとして活用することが推奨されています。NDTV Profit+1

  4. 日本独自のルールや文化も考慮が必要
    医療広告やオンライン診療、法律相談の提供方法など、日本には日本独自の規制や業界ルールがあります。AIがこれを完全に理解しているとは限らないため、国内の実務に踏み込んだ判断は、必ず日本の専門家に確認すべきです。



7. ユーザーが守るべきセルフルール

OpenAIのUsage Policiesはプラットフォーム側のルールですが、ユーザーとしても次のようなセルフルールを持っておくと安全です。

  1. 命や健康、生活基盤に直結する決定は、必ず人間の専門家に相談する

    • 急な体調悪化や自殺念慮

    • 手術や薬の変更

    • 裁判・訴訟・大きな契約

    • 投資・住宅ローン・事業資金の大きな決断

  2. AIが出した内容は「仮説」として扱い、他の情報源と照合する

    • 公式な行政サイト、医療機関、大学、専門家の書籍等と照らし合わせる

  3. 個人情報や機密情報はむやみに入力しない

    • 名前、住所、マイナンバー、詳細な医療記録、契約書そのものなど

  4. 「この内容を信じて行動しても大丈夫か?」と自問する

    • 少しでも不安があれば、その部分は必ず専門家に確認する


こうしたセルフルールは、OpenAIのUsage Policiesが求める「安全で責任ある利用」とも整合的であり、AIを長く安心して使うための基本となります。OpenAI



8. 今後のAIと規制の行方

今回の一連の騒動は、AIと法律・医療・金融といった高リスク分野の関係が、今後ますます注目されることを示しています。


  • 各国でAI規制法案の議論が進行中

  • 医療AIやリーガルテック分野では、ガイドラインや認証制度の整備が進む見込み

  • 企業側も、ポリシーや利用規約を見直し、「どこまでがAIで、どこからが人間の判断か」を明確にする流れが強まる


OpenAIの今回の説明は、その中で「ChatGPTはあくまで情報理解を助けるツールであり、専門家の役割を置き換えるものではない」という立場を改めて打ち出したものと位置づけられます。NDTV Profit+2Khaleej Times+2

日本においても、生成AIを業務や生活に取り入れる動きが広がるなかで、


  • 企業がどの範囲までAIに任せるのか

  • どこで人間のチェックを必須にするのか

  • トラブルが起こった場合の責任分担をどう設計するのか

といった論点が、これまで以上に重要になっていくでしょう。



参考記事

OpenAI、ChatGPTの方針を明確化:法律や医療アドバイスのルールに変更なし
出典: https://www.ndtvprofit.com/technology/openai-clarifies-chatgpt-policy-no-change-in-legal-or-medical-advice-rules

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