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火山と硫黄がつくった「生きられる火星」 — 生命の足場は火山ガスだった : 硫黄がつなぐ惑星と微生物の物語

火山と硫黄がつくった「生きられる火星」 — 生命の足場は火山ガスだった : 硫黄がつなぐ惑星と微生物の物語

2025年09月13日 00:16

早期火星の空は「硫黄色」だったのか

火星は今でこそ平均−60〜−70℃の寒冷で乾いた世界だが、河道や湖跡が語るように、かつては液体の水が地表を流れた時代があった。その“失われた温かさ”の源として、長く有力視されてきたのはSO₂の温室効果だ。ところが最新の査読研究は、主役が入れ替わる可能性を突きつけた。火山が吐き出したのはSO₂よりも、H₂SやS₂といった還元的な硫黄ガスで、これらが霞(エアロゾル)と温室効果を強め、火星を一時的に“生きられる星”にしたかもしれないというのだ。 Phys.org


何が新しいのか——「地中から空へ」の化学を通しで見る

研究チームは、火星隕石の化学組成からマグマの進化・分離過程を組み込んだ40超のモデルを走らせ、地殻〜地表圧でどのガスが“現実的に”放出されるかを評価した。結果は明快で、支配的なのはH₂SとS₂。条件次第ではSF₆(六フッ化硫黄)の生成も示唆された。SF₆は地球で最強クラスの温室効果ガスとして知られ、微量でも放射強制力が高い。生成の有無や濃度は今後の検証課題だが、少なくとも「SO₂一強」という従来像は見直しを迫られる。 PMC


「偶然のひび割れ」が与えた現場証拠

2024年5月30日、NASAの探査車キュリオシティが岩を“うっかり”踏み割ったところ、内部から鮮やかな黄色の元素硫黄が現れた。火星で硫酸塩など硫黄を含む鉱物は珍しくないが、酸素と結びつかない“生の硫黄”は初確認。この発見は、S₂が大気から沈殿して元素硫黄をつくるという新シナリオと自然に噛み合う。観測と理論がピースのように嵌った瞬間だった。 JPL


生命との距離感——熱水系のアナロジー

還元的な硫黄と赤還元環境は、地球の海底熱水系で多様な微生物群を養っている。火星でも同様の化学的エネルギー勾配が一時的に成立した可能性がある。ただし本研究は生命の存在を主張するものではない。あくまで「長く続く液体水とエネルギー源が共存し得た」条件を示したに過ぎない。生命検出は、今後の試料帰還や鉱物・同位体の精密解析に委ねられる。 Phys.org


それでも残る“宿題”

① フォトケミストリーの壁
H₂Sは太陽紫外線で分解されやすく、持続性は高くない。霞(エアロゾル)の生成や他成分との相互作用がどこまで寿命を延ばすか、詳細な大気化学モデルが必要だ。


② SF₆はどれほど作られる?
SF₆は強力だが、火星環境での生成経路・収支は未確定。ごく微量でも効く一方、生成量が閾値を下回れば気候影響は限定的にとどまる。 PMC


③ 大気散逸とスケール
重力が弱い火星では、長期的な大気保持が難しい。温室効果が成立したとしても、その持続時間と時期(ノアキス紀のどこか)は別問題だ。近年の研究が描く「寒冷だが一時的に融解」という像とも整合を探る必要がある。 Science News


議論の射程——“冷たく湿った火星”vs“温暖で湿った火星”

太陽が現在より暗かった太古に、どれだけの温室効果が必要か。CO₂・H₂Oに硫黄が加わることで解の幅は広がるが、河川・湖成地形の生成と持続時間を同時に説明するのは依然として難題だ。今回の成果は、SO₂偏重の前提を崩し、「硫黄循環」という新しいノブ(調整変数)を気候モデルに持ち込んだ点で大きい。 PMC


今後の検証計画

研究チームは、同モデルを用いて「水源の起源」「火山由来の水貯留」「微生物の“餌”になり得る化学環境」の評価に踏み込むとしている。並行して、LPSC(月・惑星科学会)でもH₂S・S₂優勢という枠組みが報告され、コミュニティの関心は一気に高まった。現場では、JPLの追跡観測や元素硫黄露頭の地質学的コンテクスト解明も進む見込みだ。 hou.usra.edu



SNSの反応ダイジェスト

 


  • X(旧Twitter):キュリオシティの「黄色い硫黄」写真が再拡散し、「この偶然の発見が理論にピタリとはまった」と盛り上がり。SETI Instituteや科学メディアの投稿が相次ぎ、一般層にもインパクト大。 X (formerly Twitter)

  • Reddit/r/space & r/science:元素硫黄のスレでは「もっと意図的に岩を砕くべき」というコメントが上位に。温室効果の議論では、SF₆の有効性や大気保持の困難さを挙げる冷静な指摘も目立つ。 RedditReddit

  • 技術・研究者コミュニティ(LinkedIn等):大学広報を踏まえた要点整理が多数シェアされ、H₂S・S₂優勢や“硫黄霞+温室効果”というキーメッセージが定着。 jsg.utexas.edu

  • 長年の火星ファン:SF₆でテラフォーミングできるか?という古典的議論が再燃。ただし現実には生成・保持のハードルが高いとの反論が必ず付く。 Reddit


取材メモ的まとめ

  • 研究はScience Advancesに2025年9月11日付で掲載。物質起源から大気放出まで“硫黄の一生”を通しで解いた点が肝。 PMC

  • 2024年の元素硫黄発見はモデルの予測と整合、理論と観測が相互補強。 JPL

  • 「どれだけ暖めたのか」は今後の気候モデルの仕事。硫黄循環を入れた新世代モデルの出番だ。 Phys.org


参考記事

火山から放出される反応性硫黄ガスが、火星の初期の気候を形成し、生命が存在しやすい環境にした可能性があります。
出典: https://phys.org/news/2025-09-volcanic-emissions-reactive-sulfur-gases.html

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