メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

中国の圧力と日本産ボイコット、その裏で静かに進む日比防衛ネットワーク

中国の圧力と日本産ボイコット、その裏で静かに進む日比防衛ネットワーク

2025年11月25日 00:04

1 なぜ今、日比防衛協定がクローズアップされるのか

2025年秋、日本とフィリピンの安全保障関係は大きな転換点を迎えた。
「日比相互アクセス協定(RAA)」が9月11日に発効し在フィリピン日本大使館、10月には同協定を適用した初の訓練が実施された。自衛隊とフィリピン軍が互いの国で訓練や災害対応、軍事協力を行う際の手続きや法的地位を定めるこの枠組みは、両国の連携を一気に「同盟」に近いレベルまで引き上げるものだ。


日本がRAAを結んだ相手はオーストラリア、イギリスに続きフィリピンが3カ国目であり、アジアでは初。戦後初めて日本の部隊が本格的にフィリピンに駐留しうる体制が整ったとも言える南華早報。


2 背景にある南シナ海と東シナ海、二つの火種

協定の狙いは、もちろん中国の台頭だ。
フィリピンは南シナ海(フィリピンは「西フィリピン海」と呼称)の領有権をめぐり、中国と激しく対立している。特に第二トマス礁(アユギン礁)周辺では、中国海警局の船がフィリピン補給船を囲み、水圧の強い放水やレーザー照射を行ったとされる事案が相次いだTaiwan News。


2016年の仲裁裁判所判決は、中国の広範な権益主張に国際法上の根拠はないと判断したが、中国は判決を認めず、実効支配をじわじわと拡大しているTaiwan News。そうした圧力の矛先に長年さらされてきたのがフィリピンだ。


一方、日本も東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって中国と対立している。海警船の領海侵入が常態化する中、日本としてもフィリピンとの連携強化は「他人事ではない」課題となっている。


3 RAAで何が変わるのか――「4領域」での協力

DWの記事で紹介されたマニラの安全保障アナリスト、ビクター・マニット氏は、RAAによって空軍・陸軍・海軍に加えサイバー空間まで、4つの領域で協力が一段と進むと指摘するTaiwan News。


これまでも日比は米比合同演習への参加などを通じて訓練を重ねてきたが、RAAによって

  • 相互訪問部隊の入国手続きや携行武器の扱い

  • 租税・刑事管轄権

  • 補給・整備・医療支援

といった細かなルールが整い、「使い勝手のよい」協定になる。これは、いざというときの展開速度や抑止力に直結する。


さらに日本は、海上自衛隊で運用してきた あぶくま型護衛艦 を最大6隻、フィリピン海軍に供与する構想も進めている。2,000トン級のこの艦は対潜・対艦能力を持ち、フィリピン海軍にはまだ存在しない「駆逐艦クラス」の戦力を補うことになるReuters。


4 日米比「三角連携」とメッセージとしての共同演習

11月14~15日には、日米比3カ国が南シナ海で多国間海洋協力活動(MMCA)と呼ばれる共同演習を実施したTaiwan News。場所はフィリピンが「西フィリピン海」と主張する海域。


演習内容は対潜戦や通信訓練など、防衛色の強いものだったと報じられているがThe Tribune、政治的メッセージは明確だ。

「南シナ海で一方的な現状変更を図れば、日本や米国もフィリピンとともに対応しうる」

という意思表示である。


北京はこれに強く反発し、「地域の平和と安定を損なう」と批判したTaiwan News。中国側から見れば、米日比が「包囲網」を作ろうとしているように映るのだろう。


5 経済カードとしての日本産ボイコット

軍事面での圧力の応酬は、経済にも波及している。
日本の高市早苗首相が「中国が台湾に武力侵攻すれば、日本は自衛のために行動せざるを得ない」との趣旨の発言をしたことをきっかけに、中国側は激しく反発。中国の外交官がSNSで極めて挑発的な表現を投稿した後に削除する一幕もあったと報じられているTaiwan News。


中国政府は日本産水産物の輸入停止や、日本旅行を控えるよう自国民に呼びかけ、結果として約50万枚の日本行き航空券がキャンセルされたというTaiwan News。軍事的対立が観光・食品・航空といった民間レベルにまで波及している構図だ。


この「経済カード」は、日比協力にも間接的な影響を与えうる。日本に圧力をかけることで、RAAや共同訓練の歩みを鈍らせようとする狙いがあると見る専門家もいるTaiwan News。


6 台湾有事をめぐるフィリピンのジレンマ

RAAは南シナ海対策だけでなく、台湾有事の議論とも密接に絡んでいる。

フィリピンのマルコス大統領は、台湾で衝突が起きれば「嫌でも巻き込まれる」と述べたことがある。中国側はこれに対し、「火遊びだ」と警告したTaiwan News。


日本と米国は、台湾周辺の有事シナリオについて、水面下でフィリピンとも協議したいと考えているとみられる。というのも、

  • 地理的に台湾とフィリピン北部は非常に近く、海空ルートの要衝となる

  • 台湾に約16万人のフィリピン人労働者が暮らしており、退避オペレーションが必要になる

といった現実があるからだTaiwan News。


とはいえ、フィリピンにとって最大の関心事はあくまで南シナ海の主権と資源であり、台湾問題にあまり深く入り込みすぎることへの慎重論も強い。RAAがあるからと言って、台湾有事でフィリピン軍がどこまで協力するのか——その具体像はまだ固まっていないと専門家は指摘するTaiwan News。


7 SNSで割れる評価:歓迎・不安・皮肉

 


この日比協定とDW記事は、X(旧Twitter)やFacebook、LinkedInなど各種SNSでも広くシェアされている。DW公式アカウントやアジア関連のサブアカウントが記事を投稿し、多くのコメントが寄せられたX (formerly Twitter)。Redditの「japannews」スレッドでも議論が行われているReddit。


実際の投稿は多様だが、主な論点を整理すると次のような傾向が見える(以下は典型的な意見を要約したもので、特定のユーザーを指すものではない)。


① 日本のネット世論:抑止力を評価しつつ「巻き込まれ不安」

  • 「フィリピンが一国で中国に対抗するのは難しい。民主主義国同士で支え合うのは当然だ」と、連携強化を歓迎する声。

  • 一方で、「RAAで南シナ海の紛争に日本がより深く巻き込まれ、台湾有事と二正面になるのでは」と、負担増を心配する投稿も少なくない。

  • 中国による日本産ボイコットに対し、「また経済制裁カードか」「長期的には中国離れが進むだけ」と冷静に受け止める意見と、「地方の水産業や観光には打撃だ」と懸念する声が交錯する。


② フィリピンのネット世論:頼もしさと植民地時代の記憶

フィリピン側のSNSでは、特に若い世代から「ようやく日本が本気で支援してくれる」「海軍の近代化に大きな追い風だ」と期待するコメントが目立つ。

一方、歴史問題に敏感な人々からは、

  • 「第二次世界大戦で占領した国の軍隊が戻ってくることへの違和感」

  • 「対中抑止のためとはいえ、外国軍への依存が進みすぎれば主権が損なわれるのでは」

といった慎重論も投稿されている。


③ 中国圏SNS:包囲感と怒り

中国語圏のSNSでは、RAAや三国演習を「対中封じ込めの一部」と捉え、強い反発を示す投稿が多い。

  • 「日本はまた軍国主義に戻ろうとしている」といった歴史を絡めた批判

  • 「フィリピンはアメリカと日本に利用されているだけだ」という冷笑的なコメント

など、ナショナリズムの色合いが強い発信も少なくない。


もっとも、同じ中国圏でも、「経済制裁や旅行ボイコットは逆効果ではないか」「周辺国をますます米日側に押しやるだけ」と、政府の強硬路線を冷静に批判する少数派の声も見られる。


④ 国際的な専門家・観察者の視点

LinkedInなど専門家が多い場では、「日本がインド太平洋で安全保障供給者として存在感を増している」「フィリピンにとっては防衛力だけでなく災害対応やインフラ面での協力拡大が鍵」といった分析的なコメントが中心だLinkedIn。


8 評価が割れる理由:安全保障か安全神話か

評価が割れる根底には、「安全」をどう捉えるかという価値観の違いがある。

  • 抑止力重視派は、「中国の行動が既に攻撃的である以上、何もしない方が危険だ」と考える。日比RAAと日米比連携によって、中国が冒険主義的な行動に出るコストを上げることが目的だ。

  • エスカレーション懸念派は、軍事演習や基地利用の拡大が「安全保障のジレンマ」を悪化させ、誤算による衝突リスクを高めると見る。経済依存の強い中国との関係悪化は、日本とフィリピン双方にとって痛みを伴うからだ。


どちらが「正しい」と単純に決めることはできない。ただ、SNSで激しく対立する言説ほど、相手の合理的な懸念を理解しようとしない傾向があるのも事実だ。


9 これからの日比協力と、私たち市民にできること

RAAはまだ発効から数カ月しか経っておらず、共同訓練や装備移転は始まったばかりだ。今後、

  • サイバー防衛や宇宙分野など、新たな協力領域の拡大

  • 災害救援や人道支援での連携強化

  • フィリピン国内での基地整備や地元住民との調整

など、実務面の課題は山積している防衛省。


同時に、歴史問題や環境・人権への懸念をどうケアするかも重要だ。日本はかつてフィリピンを占領した加害国であり、その記憶は今も社会の深層に残っている。軍事協力を進めるほど、「戦後日本」のイメージをどう維持・アップデートしていくかが問われるだろう。


私たち市民ができることは、SNS上の「○○国だから悪」「△△人だから危険」といったラベリングに飲み込まれず、具体的な事実と多面的な視点に基づいて議論することだ。


日比協定をめぐる議論は、そのまま「インド太平洋でどんな秩序を望むのか」という問いでもある。
軍事訓練や艦艇の数だけでなく、海の安全保障や経済、環境、人の往来まで含めた「総合的な安全」をどう作るのか——その議論の土台になる情報を、冷静に共有し続けることが求められている。



参考記事

日本とフィリピンの協定がどのように中国に対抗しているか
出典: https://www.dw.com/en/how-a-japan-philippines-pact-is-countering-china/a-74820912?maca=en-rss-en-top-1022-rdf

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.