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「許せない」生花店が怒り…アイドル界で横行する“スタンド花詐欺”とは何か――未払い多発で被害拡大、推し活文化を揺さぶる新たなリスク

「許せない」生花店が怒り…アイドル界で横行する“スタンド花詐欺”とは何か――未払い多発で被害拡大、推し活文化を揺さぶる新たなリスク

2025年12月24日 18:40

1. そもそも「スタンド花」とは?――日本の公演文化に根付く“応援の可視化”

海外のコンサート文化にも花束やギフトの慣習はありますが、日本のアイドル・舞台・ライブハウス周辺では、会場入口やロビーに並ぶ大型の装飾花「スタンド花(フラワースタンド)」が、ひとつの象徴として存在感を放っています。


スタンド花は、単なる贈り物というよりも「応援の旗印」です。
推しの名前、グループ名、公演名に合わせた配色(いわゆる推しカラー)や花材の指定、立て札のデザインまで含めて“作品”として仕上げられ、来場者が写真を撮ってSNSで共有する光景も珍しくありません。


報道によれば、大規模会場では多数のスタンド花が並ぶこともあり、1基あたりの価格は平均2万円程度、SNSで「1口いくら」と参加者を募り、連名で贈る形が一般的だとされています。 ENCOUNT
この「みんなで出す」仕組みは、ファン同士の連帯や、推しを盛り上げる達成感を生みやすい一方で、取りまとめ役(主催者)に資金と信用が集中する構造でもあります。ここに詐欺が入り込む余地が生まれます。



2. 何が起きたのか――「スタンド花詐欺」が“未払い”で成立してしまう仕組み

今回問題となっているのは、花を受け取る側(アーティストや会場)ではなく、制作・納品する生花店が代金を回収できない形の被害です。


ENCOUNTの報道では、都内のスタンド花販売会社が、ある期間に計11件、総額42万1500円分のスタンド花を配達したにもかかわらず、代金を1円も回収できていないとしています。 ENCOUNT
さらに、東京・神奈川・埼玉など少なくとも複数社が類似手口で被害を受け、総額は数百万円規模に上る可能性がある、と報じられています。 ENCOUNT


ポイントは「花は納品され、会場に設置され、写真も撮られている」こと。
つまり、外から見ると“普通に成功した推し活”に見えるのです。むしろ見栄えがするほど、主催者は「信頼できる人」に映りやすい。この“成功体験の演出”が、次の被害の呼び水になります。



3. 手口の核心――「法人名義」「請求書払い」「虚偽情報」の合わせ技

報道で描かれた手口は、典型的な「信用の借用」です。



3-1. 「法人名義」を使って信用を獲得

被害会社は通常、個人注文は事前振込やカード決済としていた一方、法人について請求書払いに対応していたところ、そこを突かれたとしています。 ENCOUNT


請求書払い(後払い)は、企業間取引では一般的な慣行です。生花店側も、法人名が付くことで「ちゃんと支払われるだろう」という心理的ハードルが下がりやすい。


しかし、報道では、注文時に使われた法人名は無関係な会社のもので、当該企業には複数の生花店から請求書が届き、企業側も「身に覚えがない」と警察に相談した、とされています。 ENCOUNT
これは単なる未払いではなく、第三者の社名を勝手に使う“なりすまし”が疑われる悪質なパターンです。



3-2. 連絡先は「携帯」「Gmail」、住所は「更地」

法人名義でありながら、連絡先が携帯電話・Gmail、氏名は偽名、住所は訪ねると更地――という記述もあります。 ENCOUNT
この組み合わせは、実務的には強い警戒サインです。にもかかわらず被害が拡大したのは、後述する“推し活特有の事情”が大きいと考えられます。



3-3. 催促すると「もっともらしい言い訳」で時間を稼ぐ

支払いを催促すると「経理に回すのを忘れた」「来月でいいか」「今すぐ払う」など、誠実そうな返答があり、締め日を過ぎるまでは遅延か詐欺か判断がつきにくい――という証言も紹介されています。 ENCOUNT
“遅延に見せる”ことは、未払い型詐欺の王道です。相手が疑い始めた頃には次の店へ移る、というサイクルが示唆されています。 ENCOUNT



4. なぜ見抜けなかったのか――推し活の「こだわり」が信用を補強してしまう

報道が印象的なのは、注文者がやたらと“熱心”だった点です。

花材や推しカラーの指定、カタログ選択に加えた細かいカスタム、立て札の連名、設置写真の撮り方にまで注文が入る――。 ENCOUNT


生花店側は「こだわりが強い、しっかりした人」と受け止めてしまった、と語られています。 ENCOUNT

推し活の世界では、細部のこだわりは珍しくありません。
だからこそ、一般取引なら“不自然な執着”に見える行動が、推し活領域では“熱量の証拠”として解釈され、信用を後押ししてしまう。これが厄介な点です。


さらに別の生花店の例では、注文者が納品されたスタンド花の写真をSNSに投稿していたため疑わなかった、という趣旨も報じられています。 ENCOUNT
外形的には「ちゃんと活動している主催者」に見えるため、被害が連鎖しやすい構図ができます。



5. 被害は誰に波及するのか――生花店だけの問題ではない

この問題は「花屋さんが気をつければ済む」話ではありません。関係者全体に二次被害が広がります。



5-1. 生花店:材料費・人件費・配送費がそのまま損失

スタンド花は生花という性質上、返品・再販売が難しく、制作のための花材は基本的に回収できません。
納品が完了しているほど損失が確定しやすく、さらに回収作業や写真撮影など、現場のオペレーション負荷も発生します。



5-2. 参加したファン:善意で払ったお金が消える、炎上に巻き込まれる

「1口いくら」で参加したファンは、主催者に送金していることが多く、主催者が詐欺である場合、ファン側も金銭被害に遭う可能性があります。
また、未払いが表面化すると「参加者も共犯?」「ファン界隈の民度」といった無関係な中傷にさらされ、コミュニティが荒れやすい。



5-3. 会場・運営:受け入れフロー全体への不信

スタンド花は会場側のルール(サイズ、納品時間、回収、立て札表記、危険物の禁止など)で運用されています。
未払いが多発すると、会場が「スタンド花自体を厳格化/制限」する方向に動く可能性があり、結果的に“真面目なファン”の楽しみが削られます。



5-4. アーティスト:応援文化の萎縮

アーティスト本人が詐欺に関与していないのは当然としても、「推しの現場で詐欺が起きた」という印象は残ります。
応援の象徴だったスタンド花が“疑いの対象”になれば、文化は萎縮します。これは長期的に誰も得しません。



6. 実務的な対策(生花店・制作側)――「受注の安全設計」を作る

ここからは、特定の事業者を責めるのではなく、構造的に再発しにくくするための実務策を整理します。



6-1. 「法人名義=安全」をやめる:後払い条件の再設計

請求書払いを完全にやめる必要はありませんが、少なくとも以下のような段階を設けるだけでリスクは下がります。


  • 初回取引は原則「前払い(カード/振込)」のみ

  • 例外的に後払いを認める場合は、登記情報と担当者在籍確認(会社代表番号への折り返し、公式ドメインメール)

  • 一定額以上は着手金(例:50%)+残金前払い

  • イベント系スポット取引は「与信が取りにくい」と割り切る


今回のように「無関係企業の社名を使う」ケースでは、担当者確認と連絡先の整合性が極めて重要になります。 ENCOUNT



6-2. “怪しい注文”の典型サインを共有する

推し活の熱量に紛れるため見えにくいですが、一般取引の観点では次が赤信号です。


  • 法人名義なのに、連絡先が携帯+フリーメール(Gmail等)

  • 住所が曖昧/地図で確認できない/表札や部屋番号がない

  • 支払い遅延が発生しても“丁寧な言い訳”が続く

  • 高額・大量注文が急に来る(回収不能になった時の損失が跳ね上がる) ENCOUNT


現場で「この違和感、推し活だから普通かな?」と感じた時ほど、チェックリストで機械的に判定するのが有効です。



6-3. 証拠の標準化:やり取り・納品・回収を“裁判仕様”で残す

未払い型の案件は、後で警察相談や民事回収に進む可能性があります。
そのとき効くのは「感情」ではなく「時系列と証拠」です。


  • 見積書、注文書(フォーム送信内容)、請求書、納品書

  • 連絡ログ(メール、SNS DM、電話の日時メモ)

  • 会場への納品証跡(写真、搬入記録)

  • 立て札内容、設置写真(いつ・どこで撮ったか)


報道でも、複数社が警察に被害届を提出したとされています。 ENCOUNT
提出可否は状況によりますが、まず“出せる状態”に整えておくことが大事です。



7. 実務的な対策(ファン・参加者側)――「主催者の透明性」を標準にする

ファン側は「花屋との取引の当事者」ではないことも多い一方、お金を出し合う以上、リスク管理は無関係ではありません。



7-1. 主催者(取りまとめ役)に求める最低限の透明性

以下が提示できない主催は、参加を見送る判断材料になります。

  • 花屋の見積・請求のスクショ(個人情報は伏せる)

  • 支払い方式(誰がいつ払うか、前払いか後払いか)

  • 収支報告(入金総額、制作費、差額の扱い)

  • 連絡窓口の固定(途中でアカウントが変わる等は警戒)



7-2. 参加者が自衛できる「やらないルール」

  • 個人間送金を急かす主催には乗らない

  • “本日中”など期限が短すぎる募集は慎重に

  • 振込先が頻繁に変わる場合は危険

  • 参加名簿をむやみに提出しない(個人情報の二次悪用リスク)


推し活は熱量が高いほど判断が早くなりがちです。だからこそ「参加前に確認する項目」を固定しておくと、衝動にブレーキがかかります。



8. 会場・運営ができること――“受け入れ”の条件をアップデートする

会場側は「花の代金支払い」まで把握しにくい立場ですが、詐欺の温床になりにくい運用は設計できます。


  • 受け入れ時に発注者の実在性を担保する仕組み

    • 例:会場が指定する登録フォームに、主催者の本人確認・連絡先を登録

  • 花屋(納品業者)の登録制

    • 過去実績や連絡体制がある業者に限定(小規模会場ほど効果が大きい)

  • トラブル報告の窓口を明確化

    • 花屋が「未払いが疑われる注文」を共有できる導線


ただし、過度に厳格化すると“正しいファン”が締め出される副作用もあります。
重要なのは「禁止」ではなく「本人確認と透明性を上げる」方向です。



9. 海外の読者・海外ファンへ――日本で“安全に”応援するためのチェックポイント

「日本の推し活に参加したい」「現地で花を出してみたい」という海外ファンも増えています。ここでは文化の説明と、実務上の注意をセットでまとめます。



9-1. 日本では“共同出資”が一般的。その分、主催者リスクがある

共同出資は合理的ですが、主催者に資金が集まるため、海外送金や言語の壁があるほど参加者は不利になります。
参加するなら、実績があるコミュニティ(過去の収支報告、会場ルール理解、花屋との取引履歴)を優先してください。



9-2. 公式ルールを最優先に

日本の会場は、サイズや回収時間、装飾の禁止事項などを細かく指定することがあります。
ルール違反は会場側の負担になり、最悪の場合は次回以降の受け入れ制限に繋がります。



9-3. 不審・被害の相談先(日本国内)

消費者トラブル全般は「188(消費者ホットライン)」で最寄りの窓口案内を受けられる、とされています。 内閣府+2政府オンライン+2
また、緊急性は低いが警察に相談したい場合の窓口として「#9110」が政府広報等で案内されています。 政府オンライン
(事件性や状況により適切な窓口は変わります。まずは“記録を残す”ことが重要です)



10. これは“推し活文化”を守るための防犯でもある

報道では、被害に遭った生花店が「推し活でこんなことをする人がいるなんて」と落胆した様子が伝えられています。 ENCOUNT


スタンド花は、本来は祝福と応援の象徴です。だからこそ、詐欺が横行すると「花を出す文化」そのものが疑われ、真面目なファンも、誠実な生花店も、そしてアーティストも損をします。

解決の鍵は、誰かを吊し上げることではなく、**取引の安全設計(前払い・本人確認・証拠化)**と、**コミュニティの透明性(収支報告・主催者の説明責任)**を標準にすることです。


推し活は熱量の文化です。
その熱量を“悪用されない仕組み”へアップデートできたとき、スタンド花は再び「誇れる応援の形」に戻れるはずです。


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