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ネット疲れに“赤ずきん”? — グリム童話がレジリエンスを回復させたという研究 : 速すぎる情報の時代に、遅い物語

ネット疲れに“赤ずきん”? — グリム童話がレジリエンスを回復させたという研究 : 速すぎる情報の時代に、遅い物語

2025年08月21日 00:13

はじめに——“速い世界”に“遅い物語”を

スマホを開くたび、タイムラインは尽きることがない。小さな高揚とモヤモヤの反復——それが一日の終わりには、確かな疲労として沈殿する。では、その疲れを洗い流すものは何か。最新の研究は、意外な「古さ」に光を当てた。グリム童話を一編読むことで、ネット閲覧のネガティブな心理影響が和らぐ可能性があるというのだ。2025年8月19日にPhys.orgが紹介したこの研究は、デジタル疲労時代の“ミニ・インターベンション”に童話を提案している。 Phys.org


研究の中身——2×2のランダム化比較試験

研究は大学院生412人を対象に、①「ネット閲覧あり/なし」×②「グリム童話読書あり/なし」の4群にランダム割付した実験デザイン。介入直後に、レジリエンスと人生観(ポジティブ vs ネガティブ)を質問票で測定した。分析は5000回のブートストラップによる調整型媒介分析も含むという、探索的でありつつも頑健性を担保した枠組みだ。 PubMed


主要結果

  • ネット閲覧後に童話を読んだ群は、読まない群と比べて人生観の平均値が 3.01 → 5.46へ大幅上昇し(P<.001)、レジリエンスも有意に高かった。

  • レジリエンスが人生観への効果を媒介する経路も示唆。

  • 紹介記事は物語の例として『赤ずきん』『ヘンゼルとグレーテル』を挙げている。 PubMed

言い換えれば、スクロールのあとに短い“物語の休憩”を1本挟むだけで、心理的な回復力と前向きさが戻る可能性がある、という示唆だ。


なぜ童話なのか——三つの仮説

  1. 物語の「構造的ゆっくりさ」
    童話は短く完結し、原因—結果—救済の弧が明確だ。断片化したフィードとは異なり、**“完了感”**が得られ、自己効力感を回復させる。

  2. 象徴と言語の節約
    森、道、パンくず、赤いずきん——普遍的なメタファが、過負荷な言語処理を抑えつつ情動を整理する。結果として認知負荷のデトックスが起きる。

  3. 共同体記憶への接続
    世代を超えて語り継がれた物語に触れることは、自己の時間軸を長期に引き直す。瞬間的な“いいね”の波に溺れがちな注意の焦点を、長い時間感覚へと戻す。

(これらは理論的説明であり、実証は今後の課題だ。)


どのくらいの即効性?——“ポストスクロール”5〜10分の読書

研究の介入は、ネット閲覧直後に一編の童話を読むというシンプルなもの。時間コストは数分。EurekAlert!の配信でも、グリムの古典がネット閲覧の悪影響を和らげる「実践的アプローチ」として紹介されている。つまり難しいアプリも課金も不要、**“今ここでできる”**対処だ。 EurekAlert!


限界と注意点——「効く人/効きにくい人」もいる

  • 対象が院生(若年成人)に限定:年齢・文化・読書習慣の違いで効果は異なるかもしれない。

  • 即時効果中心:数時間〜数日の持続性、連用した場合の長期効果は未検証。

  • 物語の種類差:グリム以外の昔話、現代小説、詩、ノンフィクション等との比較試験が必要。

  • 測定は自己申告:主観尺度に依存。客観指標(睡眠、心拍変動、行動ログ)との併用が望ましい。

  • それでも、ランダム化比較試験で効果の方向が一貫した点は意味が大きい。 PubMed


SNSの反応——バズではないが「気づき」を呼ぶ小波

 


この話題は専門メディアとプレス配信を中心に拡散。JMIR PublicationsのX(旧Twitter)公式は8月6日に論文公開を案内し、8月19日にはニュース配信(Newswise経由)を投稿。いずれも大規模バズではないが、「院生限定の結果だよね」「物語なら何でも?」といった慎重な指摘や、「スクロールの後に短編を挟む実践、やってみたい」といった実行意図の共有が見られた。報道面ではScienceBlogやEurekAlert!が取り上げ、実験の412人というスケールや効果サイズの要点を簡潔に伝えている。 X (formerly Twitter)ScienceBlog.comEurekAlert!

反応の特徴:
・誇張より実験デザインへの関心(サンプル、ランダム化、測度)
・ライフハック的な応用(「寝る前に一編読む」「SNSタスクの後に読む」)
・一般化可能性への懸念(年齢・文化差、長期効果)


実装ガイド——“物語でリセット”を生活に組み込む

  1. トリガーを決める:
    「SNS連続15分」や「ニュース3本読了」の直後に、童話一編を読むと決めておく。

  2. 所要3〜7分の短編:
    『赤ずきん』『ヘンゼルとグレーテル』『ブレーメンの音楽隊』など短い話を用意。パブリックドメインの信頼サイトをブックマーク。

  3. 通知より“儀式”:
    お茶を淹れる、姿勢を正す、深呼吸1回——開始の所作を固定して、読書に切り替える合図に。

  4. 夜は紙、日中は音声:
    ブルーライトや視覚疲労を避けるため、就寝前は紙、昼の合間は音声朗読も相性がよい。

  5. 効果ログ:
    読書前後の気分・集中度を1〜5でメモ。自分に効く物語を見つけていく。


物語の選び方——“救済の弧”と“余白”

  • 救済の弧:試練→援助→帰還という回復の弧がある話は、自己効力感を再起動しやすい。

  • 象徴の明瞭さ:森・道・家・パンくずなど象徴語彙が少数で強い話。

  • 余白:描写が過不足なく、想像で補える余白があること。短時間でも“没入—完了”が起きやすい。


関連研究と位置づけ

ウェアラブルやマインドフルネスなど、テック寄り介入の研究は多いが、今回の示唆は**“低テク×高物語濃度”というユニークさにある。デジタル毒をデジタルで解毒**しがちな潮流に、アナログな物語という対案を示した点が面白い。報道各紙(Phys.org、EurekAlert!、ScienceBlog)も、その実用性と意外性を強調している。 Phys.orgEurekAlert!ScienceBlog.com


まとめ——タイムラインの“向こう側”へ

スクロールの海に抗う最短の方法は、ページをめくることかもしれない。古い物語のゆっくりさが、速い世界で削られた心の余白を取り戻す。まずは一編——スマホの次に、童話を。



参考記事

グリム童話がインターネット閲覧の悪影響を和らげる可能性
出典: https://phys.org/news/2025-08-grimm-classics-counter-negative-effects.html

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