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2015年を境に何が起きた? 世界の山火事“非連続”増加の真相:焼失面積は減、被害は激増

2015年を境に何が起きた? 世界の山火事“非連続”増加の真相:焼失面積は減、被害は激増

2025年10月04日 00:11

「世界は“燃えやすく”なった」──1980年代の4.4倍に増えた“人にとって最悪”の山火事、その背景とこれから

10月2日(現地時間)に公開されたScience掲載の新研究は、1980年以降の「社会に甚大な被害を与えた山火事」を世界規模で洗い出し、その頻度が1980年代の約4.4倍に増えていると結論づけた。焦点は焼失面積ではない。保険・災害データをもとに、人命・経済にとって“最悪”の火災だけを200件抽出し、年代別の増え方と気候・社会要因を突き止めたのだ。直近10年間(2014–2023年)に全体の43%が集中し、2021年は13件と突出。欧州地中海沿岸や米国西部など、乾燥とフェーン的気象が重なる地域での多発が際立つという【Phys.org】。この研究はAP通信の配信を通じて各国メディアに広く報じられ、議論の輪は瞬く間にSNSにも広がった【AP News】。


「焼けた面積」ではなく「人間への打撃」を測る意味

山火事研究では、通常「焼失面積」が注目されがちだ。しかし今回のチームは、GDPに対する損失割合や死者数といった“人間側の被害”を軸にランキング化。再保険大手Munich Reの損失データとベルギーのEM-DAT(国際災害データベース)を組み合わせ、40年以上の記録を整備した【Phys.org】。


その結果、2018年のカリフォルニア・パラダイス、2023年のハワイ・ラハイナ、そして2025年のロサンゼルスの一連の火災など、死亡者が10人以上に達した火災の発生頻度は約3倍に増えていた【Phys.org】。


この「人間への打撃」を基準にする視点は、近年言及が増える“ワイルドファイヤ・パラドックス”とも噛み合う。すなわち、世界全体の総焼失面積は2000年代以降むしろ減っている一方、火災に曝される人口・資産は増え続けているという逆説だ【UC Irvine News】。人が野生地に近接して居住する**WUI(野生地—都市境界)**が拡大し、燃えやすい建材・可燃性植生の管理が追いつかないまま、気候変動で“火災天候(Fire Weather)”が強まっている。


2015年を境に急増──“火災天候”を押し上げる気候変動

研究チームは、高温・乾燥・強風が重なる「極端な火災天候」の増加を確認し、その主要因として人為起源の気候変動を指摘する。もし気候変動がなければ壊滅級の火災は起き続けるにせよ、“賽の目を偏らせている”のが温暖化だ、と筆頭著者は説明する【Phys.org】。同趣旨の知見は複数の先行研究でも積み上がっており、たとえば1.5℃と2℃の違いだけでも、世界の火災放射強度(FRP)の増加は広範に及ぶとの推定がある【Nature】。


さらに、2015年ごろを境に「壊滅級火災」のカウントが跳ね上がった。背景には、温暖化に伴う極端現象の頻発・長期化があるとみられる【Phys.org】。一方で、データの地理的偏り(保険普及の高い地域ほど損失が記録されやすい)という限界も研究チームは明記している【Vox】。


地域別の相貌:地中海と西米国、そして都市部の脆弱性

**欧州地中海沿岸(ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル)と米国西部(特にカリフォルニア)**で、壊滅級の山火事の件数が群を抜く。季節風や乾燥“スイッチ”が入りやすい気候特性に、温暖化が上乗せされ、可燃物(燃料)と人間活動が密な領域で損失が膨らみやすい構造だ【Phys.org】。英紙は、極端な火災天候の“上位0.1%”の条件下に、過去の壊滅級火災の約半数が集中していたと紹介し、予測モデルがロサンゼルスやチリの高リスクを事前に示していたことにも触れる【ザ・ガーディアン】。


なぜ損害が膨らむのか:3つのドライバー

  1. 気候変動:高温・乾燥・強風の頻度と持続時間を増やし、火勢が制御不能に陥る閾値をまたぎやすくする【Phys.org】。

  2. 居住地の前線化(WUI拡大):住宅・インフラが可燃性植生に接することで、小規模火災でも人的・経済的損失が跳ね上がる【Phys.org】。

  3. 燃料管理の遅れ:長年の撲滅的消火と気候変動で、**細かな可燃物(細枝・落葉)**が積み上がり、火の勢いを増幅【AP News】。

経済面でも影響は深刻で、2015–2024年の世界の山火事関連損失は約1,360億ドルに達したとの集計もある。再保険料や住宅保険の料率上昇、引受撤退など、保険システム全体への圧力が増している【Vox】。


反証的に見える事実──「燃える面積」は減ったのに、なぜ“被害”は増える?

衛星統計では、サバンナ火入れの減少などの要因で2002–2021年の世界の総焼失面積は約26%減。一方で人間の曝露は40%増という“逆説”が明らかになっている【UC Irvine News】。つまり、どこが燃えるかが決定的に重要で、居住地・観光地・経済拠点に近いほど、同じ面積でも損失は指数関数的に膨らむ。今回の“人間基準のランキング”は、このパラドックスを説明しうる枠組みだ。


SNSの反応:拡散する危機感、交錯する論点

 


  • ジャーナリストのDavid Wallace-WellsはXで記事を紹介し、読者からは「面積より人命と経済で測るべき」という賛同が目立った【X (formerly Twitter)】。

  • 地方紙・放送局の公式アカウントも次々と配信。Reading EagleやABC24 Memphisなどの投稿は、地域の火災経験を踏まえた防災実務への関心を誘発した【X (formerly Twitter)】。

  • Redditのr/climate・r/climatechangeでは、「2015年以降の跳ね上がり」「極端気象との結びつき」に議論が集中。保険データ偏りへの懸念も挙がったが、総じて“被害の質”に焦点を当てた評価が多かった【Reddit】。

  • 一部では「総焼失面積は減っているのに」という反応も。これに対しユーザーらは、曝露増とWUI拡大の文脈で説明するスレッドを共有し、理解の更新が見られた【UC Irvine News】。


どう備えるか:適応と緩和の二正面作戦

  1. “家を燃えにくくする”建築・都市規制
    不燃材、エンバー対策の通気口、屋根と軒の火花対策、最低限のディフェンシブル・スペース(可燃物を遠ざける帯)などを義務化し、面的に実装する【Vox】。

  2. 早期警戒と避難の実効化
    モバイル・サイレン・衛星データの統合警報、**“レッドフラッグ”**な気象日に合わせた退避計画の事前運用。ラハイナ火災の教訓から、多重化された警報手段が欠かせない【PMC】。

  3. 燃料管理のアップデート
    計画火入れや機械的間伐を、文化・生態系に配慮しつつ継続。都市近郊の“微燃料”(落葉・枯れ枝)の定期除去は、最小コストで大きな効果を生む。

  4. 保険・金融の“リスク共有”を再設計
    料率是正だけでなく、移転支援・家屋改修補助など、保険料を減災投資と連動させる。公的再保険や地域プールも選択肢だ【Vox】。

  5. 温室効果ガス排出の削減(緩和)
    Science論文は、極端な火災天候の増加に温暖化の寄与が不可避であることを改めて裏づけた。**1.5℃と2℃**の差でもリスク地図は大きく変わる【Phys.org】。


研究の意義とこれから

今回の研究は、“焼けた面積”から“社会的打撃”へと評価軸をシフトさせ、政策優先順位の付け方に実践的な材料を提供した。統計の偏りは残るものの、2015年以降の非連続的な増勢と極端天候への強い依存は、独立メディア・学術・行政の各ソースが相互に補強している【Phys.org】。


次のステップは、この“人にとっての最悪”を地域の土地利用・住宅政策・インフラ投資と照合し、可視化→予算化→実装のサイクルに落とし込むことだ。もはや「火事をゼロにする」時代ではない。燃えても壊滅しない社会へ、設計思想を切り替えるときに来ている。



参考記事

研究によると、世界は1980年代に比べて現在、はるかに多くの破壊的な火災に見舞われていることが示されています。
出典: https://phys.org/news/2025-10-world-ablaze-1980s.html

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