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デリーの空気質が危険水域に到達 ― “ガス室みたいだ”という声も:年末のデリーを覆うスモッグの現実

デリーの空気質が危険水域に到達 ― “ガス室みたいだ”という声も:年末のデリーを覆うスモッグの現実

2025年12月29日 10:46

「金曜から一気に悪化」――年末のデリーで何が起きたのか

年末のデリーが、また灰色に沈んだ。12月27日(土)、デリーの空気質は急激に悪化し、24時間平均のAir Quality Index(AQI)は午後4時時点で385。区分は「Very Poor(非常に悪い)」だが、数字は「Severe(深刻)」の入口に迫る。前日の332から一段跳ね上がり、さらに木曜の同時刻は234(Poor)だったことを思えば、落差は大きい。週の半ばに一度「持ち直した」ように見えた空気が、金曜から再び悪化へ転じた格好だ。 NDTV Profit


とりわけ衝撃的なのは、観測点の“赤信号”の多さである。市内の40カ所の観測局のうち20カ所がAQI400超を記録。Shadipur、Vivek Vihar、Ashok Nagar、Bawana、Chandni Chowk、DTU、Dwarka、ITO、Mundkaなどが「Severe」に入った。つまり、同じ都市の中でも「場所によって吸う空気の危険度が違う」状態が、半分の観測点で可視化されたことになる。 NDTV Profit


AQIは0〜50が「Good」、401〜500が「Severe」とされる。数字が上がるほど健康リスクが高まり、特に呼吸器・循環器に不安がある人や子ども、高齢者への影響が懸念される。 NDTV Profit



“犯人探し”は単純ではない――DSSが示す汚染の内訳

では、今回の悪化は何が引き金になったのか。報道で引用されたDecision Support System(DSS)の推計では、12月27日の汚染負荷への寄与が最も大きいのは車両由来(16.2%)。次いで工業(8.5%)、家庭部門(4%)、**バイオマス燃焼(1.6%)**が続く。 NDTV Profit


注目すべきは「デリー市内だけで完結しない」点だ。NCR(首都圏)側からの寄与として、ハリヤナ州のJhajjarが17.5%、Sonipatが5.8%、Rohtakが**5.6%**とされる。風向や大気の停滞次第で、都市境界は意味を失う。デリーの汚染は“地域現象”というより“広域の大気イベント”として立ち上がってくる。 NDTV Profit



濃霧・弱風・湿度100%――「拡散できない空」

冬の北インドでは、低い風速、気温の逆転層、霧が重なると、汚染物質が地表付近に閉じ込められやすい。27日も最高気温22.2℃、最低7.8℃で、相対湿度は朝70%から夕方に**100%**まで上昇。さらに気象当局は翌日にかけて「浅い〜濃い霧」を見込み、予測として「当面はVery Poorが続く可能性」を示していた。 NDTV Profit


“排出が増えた”ことに加えて、“拡散できない空”が重なった時、AQIは跳ねやすい。



SNSの反応:「外に出たくない」より深い、怒りと諦め

空気が悪化すると、最初に可視化されるのは“空”ではなく“生活”だ。SNS上では、マスク・目の痛み・喉の違和感、子どもの外遊び制限、通勤の苦しさなど、身体感覚と日常の制約が一斉に語られ始める。


象徴的だったのは、11月に拡散した「空気清浄機が真っ黒になる」動画だ。デリー在住の女性が、煤のような汚れを落としながら「デリーでは空気清浄機にも“セラピー”が必要」と冗談めかす。コメント欄には「屋内にいても有害」「植物を増やしたい」といった声が並び、笑いの形を借りた危機感が広がった。 The Indian Express


一方で、怒りは行政批判だけに向かわない。Redditなどでは「なぜ社会が十分に怒らないのか」「毎年こうなると分かっていたのに」という“慣れ”への憤りも見える。空気汚染が季節の風物詩として消費されること自体が、精神的な摩耗を生む。 Reddit



「ガス室みたいだ」――医師の言葉が刺さる理由

12月15日には、濃いスモッグが交通にも影響し、欠航・遅延、列車の遅れ、呼吸器症状の患者増加が報じられた。医師が口にした「今のデリーはガス室のようだ」という言葉は、強い表現であるがゆえに、拡散しやすい。だがその強さは、単なる煽りではなく「空気が“健康の前提”を壊す」ことへの直感的な翻訳でもある。 ABC News


この報道では、当局が建設活動の制限やディーゼル発電機の抑制、散水車の投入、学校や職場の在宅対応などを行ったことも触れられている。短期の“封じ込め”は確かに必要だ。しかし、同時に「それでも毎年起きる」ことが、SNS上の諦めや皮肉を増幅させる。 ABC News



対症療法のGRAPと、構造転換の議論

デリーではAQIに応じて段階的に規制を強めるGRAP(Graded Response Action Plan)が運用されてきた。12月には、AQI悪化を受けて厳しい段階の措置が入り、風が強まって改善した局面では、当局が「規制の“破壊的な性格”」を理由に緩和へ動いたとも報じられている。 Hindustan Times


ただ、空気が悪化→規制→一時改善→緩和→再悪化、という“呼吸”を繰り返す限り、生活者の体感は「永遠に同じ場所を回っている」になりやすい。そこで近年強まっているのが、長期・構造対策への要求だ。


国際交通分野の研究機関ICCTは、デリーの汚染が冬だけの問題にとどまらず、NO₂やオゾンなど別の汚染課題も顕在化していると指摘し、短期措置やクラウドシーディングのような“その場しのぎ”だけでは限界があると論じる。さらに、EV普及率や排出規制の実効性、商用車の実走行排出の課題など、交通政策の抜本転換を提案している。 クリーン輸送国際評議会



「今日できる防御」と「来年も同じ話にしない」ために

SNSでは、N95マスク、屋内の換気タイミング、空気清浄機のフィルター管理、子どもの屋外活動の調整など、“今日の対策”が共有される。これは現実的で、切実だ。 ABC News


しかし同時に、空気汚染は個人の工夫だけで解けない。DSSが示すように車両、工業、家庭、広域流入が絡み合うなら、必要なのは都市・州境を超えた実装と、排出源ごとの“効く政策”である。年末のデリーを覆う灰色は、健康の問題であると同時に、政策の持続力、そして社会の我慢の総量が問われているサインでもある。 NDTV Profit


デリーの空が青く戻るたびに、人々は少しだけ忘れ、また思い出す。その反復を断ち切るのか、それとも“慣れ”に回収されるのか。27日のAQI385は、単なる数字ではなく、その分岐点を示している。 NDTV Profit


参考記事

デリーの空気質が「深刻」に近づく、20の観測所でAQIがレッドゾーンを記録
出典: https://www.ndtvprofit.com/nation/delhi-air-quality-slips-nears-severe-as-20-stations-record-aqi-in-red-zone

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