才能を殺させない――SKY-HI率いる「BMSG」が誹謗中傷に法的措置、発信者情報の開示命令も取得

2025年07月15日 20:38

2024年から続いていたBMSG所属アーティストへの誹謗中傷。その内容は、SNSや匿名掲示板での人格攻撃や虚偽の風評拡散、容姿・歌唱力に対する執拗な批判など、看過できないものでした。

BMSGは、芸能活動において最も重要である“心”を守るため、これらの誹謗中傷に対し法的措置を取ることを決定。2025年6月には東京地裁より正式な発信者情報の開示命令が下され、悪質な投稿者の特定が可能になりました。

SKY-HI（本名：日高光啓）は、AAAのメンバーとして活動したのち、ソロアーティスト・プロデューサーとしても成功を収めた人物。彼は「アーティストが自らの可能性を信じて挑戦できる場」を作るため、2020年にBMSGを設立。

BMSGの設立理念には、才能ある若者たちが社会の偏見やストレスによって可能性を潰されないように、という強い想いが込められており、今回の法的対応もその延長線上にあります。

BMSGによれば、誹謗中傷の内容は、特定アーティストに対する人格攻撃、性的中傷、事実無根のゴシップ、さらには家族への中傷にまで及んでいました。これにより、数人のアーティストが一時的に活動の継続が困難になるほど精神的に追い詰められていたとのこと。

被害を受けたアーティストの一人は、「ファンの前に立つ自信を失いかけた」と証言。ネット上の言葉が現実世界にどれほど大きな影響を与えるかを如実に示す事例です。

BMSGは、専門弁護士チームと連携し、以下の法的対応を実施：

このプロセスには半年以上を要しましたが、着実に進められ、複数の投稿者の特定が目前となっています。今後は損害賠償請求訴訟を視野に入れているとしています。

BMSGは公式サイトで声明を発表し、以下のように述べています。

「私たちは、才能あるアーティストたちの未来を守るため、そして健全なエンターテインメント業界を築くため、法的措置という選択をしました。表現の自由を守るためにも、悪質な攻撃には毅然とした対応が必要です。」

SKY-HIも、自身のSNSで次のように発信しています。

「才能は無限の可能性を秘めています。それを殺すような言葉には、もう黙ってはいられません。」

海外でも誹謗中傷に対する法的措置は一般的になってきています。特に韓国では、K-POPアイドルの自殺事件をきっかけに、誹謗中傷への厳罰化が進められました。

欧米では、有名人に対する誹謗中傷が名誉毀損として高額の賠償命令につながることもあります。日本でも同様に、ネット空間での責任追及が強まっており、今回のBMSGの動きはその先駆けといえるでしょう。

今回の措置に対し、ファンからは「アーティストを守る姿勢が素晴らしい」「勇気を与えられた」といった声が多数寄せられています。一方で、メディアの中には「言論の自由とのバランスをどう取るか」という論点を提起する声もありました。

このように、SNS時代の「表現と保護」を巡る議論は、エンタメ業界全体の構造を揺さぶりつつあります。

BMSGの動きは、単なる“管理”ではなく“共存・共闘”の姿勢を示しています。アーティストの精神的安全が守られてこそ、創造的な活動が持続可能になる。今後、他の芸能事務所やメディア企業にも同様の動きが広がることが期待されます。

また、ファン側も自らの言動の影響を意識し、より健全な応援文化を築くことが求められています。

まとめ

BMSGの法的措置は、誹謗中傷に悩まされるアーティストたちにとって大きな希望となる動きでした。ネット社会における表現の自由と責任を見直す契機ともなり、今後の日本のエンタメ業界のあり方を再考する一助になるでしょう。

BMSGが誹謗中傷に法的措置「才能を殺さないために」｜モデルプレス（2025年7月11日）
　所属アーティストへの誹謗中傷に対し、発信者情報開示命令を取得した経緯を報道。
SKY-HI、SNSでの声明全文｜SKY-HI公式X（2025年7月11日）
　「アーティストの才能を殺さないために」という本人の強いメッセージを掲載。
誹謗中傷の法的対応はどこまでできるか｜弁護士ドットコムニュース（2024年11月）
　芸能人への誹謗中傷に対する法律と訴訟手続きの具体的解説。
日本における発信者情報開示制度の概要｜総務省（2024年4月）
　制度の構造と開示請求の流れについて政府の公式資料。
韓国芸能界の自殺問題と誹謗中傷対策｜BBC JAPAN（2023年10月）
　K-POPアーティストの誹謗中傷被害と韓国社会の法制度改革。
アーティストと誹謗中傷―心のケアをどう守るか｜NHKクローズアップ現代（2023年5月）
　メンタルヘルスとエンタメ業界の課題を分析。