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新鉱物「アマテラス石」発見──岡山県・新見のヒスイから、日本の“太陽神”の名を冠したチタノ珪酸塩

新鉱物「アマテラス石」発見──岡山県・新見のヒスイから、日本の“太陽神”の名を冠したチタノ珪酸塩

2025年08月10日 23:54


はじめに──外国人読者へのコンテクスト

日本では、糸魚川をはじめ各地でヒスイ文化が古くから栄え、2016年には**「日本の国石」にも指定されました。今回の新鉱物は、その象徴たるヒスイから見つかった“日本発”の学術的成果です。発見地は岡山県新見市・大佐山地域**。論文は2025年8月7日に公開、研究チームには東京大学・京都大学・山口大学・JASRI(SPring-8)・リガクなどが名を連ねます。ニュースとしても8月7〜8日に国内主要メディアが報じました。外国人の方が日本文化や地質に触れるうえで、**神話(天照大神)×結晶学(構造の二面性)**というユニークな接点を持つ発見と言えるでしょう。 一般社団法人日本鉱物科学会J-STAGEマイナビニュースITmedia



1. 何が見つかったのか──アマテラス石の正体

  • 鉱物名:アマテラス石(Amaterasuite)

  • 理想化学式:Sr₄Ti₆Si₄O₂₃(OH)Cl

  • 結晶系:直交晶(空間群 Fddd)

  • モース硬度:6

  • 計算密度:約4.0 g/cm³

  • 多色性:平行ニコル(単偏光)下で青〜褐色

  • 産状:ルチル周縁に、針状〜板状結晶が束状に集合(最大150 µm程度)

  • 色調:深い緑色を呈することが報告(試料・文献による)

  • タイプ標本:国立科学博物館(NSM M-52596)に収蔵

  • IMA承認番号:2024-056

  • タイプ産地:岡山県新見市大佐小阪部・大佐山(座標:35°05'38"N 133°33'01"E)
    これらの性質は、査読論文の要旨および鉱物データベースに基づきます。 J-STAGEResearchGatemindat.org



2. なぜ“アマテラス”なのか──命名と日本文化

命名は、日本の石文化への敬意と結晶構造の二面性を映す象徴性から。天照大神には「荒魂(あらみたま)」と「和魂(にぎみたま)」の二面性が語られますが、アマテラス石もユニットセル内でタイプA/Bの二構造要素が共存します。神話と結晶学の“二面性”が重なる、きわめて日本的な命名と言えるでしょう。 一般社団法人日本鉱物科学会J-STAGE



3. どこで、誰が見つけたのか──岡山・新見のヒスイと研究体制

発見地は大佐山地域のヒスイ輝石岩体。産状記載によれば、蛇紋岩との境界付近に埋もれていた約1 m規模のヒスイ塊の中で、前緑泥石岩(prehnite-rich 部分)に関連して記載されました。著者所属は東大(物性研)、京大、山口大学、JASRI、リガクなどで、分析にはSPring-8の放射光粉末X線回折が使われています。 ResearchGate



4. 結晶構造のハイライト──“A/B二面性”という初の実証

アマテラス石の構造はamaterasuite-4Oとして同定され、ユニットセル内にタイプAとタイプBが共存。占有率はA:約85%/B:約15%と見積もられました。理論的に予想されていた構造モチーフの現物による初確認であり、実在する結晶構造の多様性に新例を付け加えた点が最大の学術的意義です。空間群はFddd、格子定数は
a = 5.85558(2) Å、b = 20.43960(8) Å、c = 33.28240(12) Å、V = 3983.43(3) ų(Z = 8)。 J-STAGE



5. 化学組成・物性の要点──ストロンチウムに富むチタノ珪酸塩

実験式(23 O + 2(OH,Cl)基準)は
(Sr₃.₃₂Ba₀.₆₄)Σ₃.₉₆ (Ti₅.₇₃Fe₀.₁₆Nb₀.₀₂)Σ₅.₉₁ Si₄.₁₅ O₂₃ (OH)₀.₉₅ Cl₁.₀₅、
理想式はSr₄Ti₆Si₄O₂₃(OH)Cl。多色性(青→褐)、硬度6、脆性、計算密度4.0 g/cm³といった物性が報告されています。色調は文献・標本により深緑色として記載される例があり、直交晶Fdddに整合します。 J-STAGEmindat.org



6. “国石ヒスイ”の科学──なぜ日本で新鉱物が生まれるのか

ヒスイ(jadeitite)は、プレート沈み込み帯の低温高圧環境で形成され、Srに富む副成分鉱物をしばしば伴います。日本列島はまさに冷たい温度勾配の沈み込み帯に位置し、ヒスイ文化だけでなく鉱物学的にもユニークな母岩相を育んできました。糸魚川(新潟)、若狭(福井)、そして大佐山(岡山)などのヒスイ体では、rengeite、matsubaraite、itoigawaiteなどSr系チタノ珪酸塩の新鉱物が相次いで報告されており、今回のアマテラス石もこの系譜に連なります。 ResearchGate



7. 研究手法と検証──SPring-8×粉末XRDの威力

今回の研究では、放射光粉末X線回折(SPring-8)による精密構造解析が鍵を握りました。多数の大d値ピーク(80本)を用いたRietveld精密化により、格子定数や空間群が確定。A/B二面性の占有率(約85/15%)まで推定されています。大視野での元素分布や微小相の同定には、粉末XRDに加えて電子線マイクロアナライザ(EPMA)・光学的観察などの複合的アプローチが有効で、論文では**ルチル周縁の束状結晶(150 µm級)**というミクロな産状も報告されています。 J-STAGE



8. 文化と科学が交差する──“天照”の物語性

太陽の女神である天照大神の名を冠した背景には、日本最古級の史書**『古事記』『日本書紀』に連なる神話世界と、国石ヒスイという文化資産への敬意があります。結晶構造の二面性と、天照大神の荒魂/和魂の二面性が呼応するという命名の物語性**は、科学コミュニケーションの観点からも優れた例で、国際的な読者にも記憶に残るでしょう。 一般社団法人日本鉱物科学会



9. 地球科学への意義──沈み込み帯の“ストロンチウム・チタン化学”

アマテラス石は、Srに富むチタノ珪酸塩として、ヒスイ体の流体-岩石反応や元素分配を解くうえで重要な手掛かりを与えます。とくに、Zrの有無やTiの配置に注目して比較される既知相(例:matsubaraite、rengeite ほか)との部分構造(partial structure)の近縁性は、沈み込み帯における微量元素の固定相や移動相の境界条件を絞り込みます。A/B二面性という構造学的ユニークさは、固溶・秩序無秩序や**サイト選択性(Sr優先)**の理解にも寄与し、合成物質学へのフィードバックも期待されます。 ResearchGate



10. 旅好きのための小さなガイド──新見というフィールド

新見市は岡山県北西部、中国山地の里山とカルスト地形で知られます。タイプ産地は大佐山エリア。現地は保護・安全面の配慮が必要で、無断採取は厳禁。観光としては鍾乳洞(井倉洞など)、ローカル食(千屋牛)、日本酒なども魅力です。科学リテラシーの観点では、博物館・大学の公開資料や論文を介して標本・データに触れるのが最良の方法。タイプ標本は国立科学博物館に収蔵済みで、公開・貸出しの情報は同館の標本資料室告知を確認するとよいでしょう(収蔵番号:NSM M-52596)。 ResearchGate




11. 主要データのまとめ(技術リファレンス)

  • 化学式:Sr₄Ti₆Si₄O₂₃(OH)Cl(理想)

  • 結晶系/空間群:直交晶/Fddd

  • 格子定数:a = 5.85558 Å、b = 20.43960 Å、c = 33.28240 Å、V = 3983.43 ų、Z = 8

  • 硬度/密度:6/4.0 g/cm³(計算)

  • 光学特性:単偏光で青〜褐色の多色性

  • 色調:深緑(記載例)

  • 産状:ルチル周縁の針〜板状束(〜150 µm)

  • タイプ産地:岡山県新見市・大佐山(35°05'38"N 133°33'01"E)

  • 標本:国立科学博物館(NSM M-52596)

  • IMA番号:2024-056

  • 命名:天照大神(日本神話)にちなんで

  • 初出:JMPS(2025年8月7日公開)
    以上は査読論文・学会公表・DBの統合要約。個別根拠は本文の各所に明記。 J-STAGE一般社団法人日本鉱物科学会ResearchGatemindat.org



12. 今後の見通し──構造科学・材料科学への波及

  • 結晶構造の多様性:A/B二面性の“現物”証拠は、秩序・無秩序や相転移を議論する上で重要な参照点となる。

  • Sr/Tiサイト選択性:合成チタノ珪酸塩でも見られるSrのサイト選好が、天然物でも確認された意義は大。地球深部の元素分配モデルにも示唆。

  • 比較鉱物学:matsubaraite/rengeiteなど“親戚筋”との連続体・部分構造比較で、沈み込み帯の化学ポテンシャルをより精密に制約できる。

  • 計測法の標準化:SPring-8等の高輝度放射光が、微量相・複合相の非破壊的・高分解解析に不可欠であることを再確認。 ResearchGate



よくある質問(Quick FAQ)

Q1. “ヒスイ”は国際的に“jade”と同じ?
A. 日本のヒスイ(jadeitite)は輝石系(jadeite 主体)。英語では“jade”が総称で、ネフライト(角閃石系)を含む場合がある点に注意。


Q2. アマテラス石はどこで手に入る?
A. タイプ産地の現地採集は非推奨・不法採取は厳禁。今後は標本商や博物館展示を通じた観察機会が増える可能性。鉱物DBにも写真・記載が蓄積中。 mindat.org


Q3. 産学のどんな機関が関与?
A. 東京大学・京都大学・山口大学・JASRI(SPring-8)・リガクなど。SPring-8の粉末XRDが解析を後押し。 J-STAGE


Q4. いつ正式公開された?
A. 論文は2025年8月7日に公開。報道は7〜8日にかけて配信。 J-STAGEマイナビニュースITmedia




参考記事・出典一覧

  • 論文(JMPS, J-STAGE / Open Access):“Amaterasuite, Sr₄Ti₆Si₄O₂₃(OH)Cl, a new mineral from jadeitite, a representative stone of Japan”(2025年8月7日公開)

  • DOI(Crossref)

  • 研究概要(ResearchGate・本文閲覧可):“Amaterasuite, Sr₄Ti₆Si₄O₂₃(OH)Cl, a new mineral from jadeitite, a representative stone of Japan”

  • 学会発表(日本鉱物科学会・お知らせ):「日本の国石・ヒスイから新鉱物を発見,アマテラス石と命名」

  • データベース(Mindat)

  • プレス(東京大学 物性研究所)

  • 報道(ITmedia NEWS)

  • 報道(マイナビTECH+)



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