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“電力で負けるAI競争”が始まった - データセンター戦争の主戦場は送電網だ : データセンターが電力会社になる日

“電力で負けるAI競争”が始まった - データセンター戦争の主戦場は送電網だ : データセンターが電力会社になる日

2025年08月16日 00:16

いま、AIのボトルネックは「電力」だ——中国の余裕と米国の焦燥

生成AIの“第2の波”は、モデルの賢さではなく、電力網の強さで国と企業の競争力を分け始めている。中国の送電・発電インフラを視察した米国のAI・データセンター関係者が「米国の電力網は明らかに見劣りする」と語った——そんな論点を突きつけたのが、8月14日のFortune報道だ。記事の要旨は、米国では新設データセンターの電源接続が滞り、モデル訓練や推論の増加に送電網が追いつかない一方、中国は送配電や電源立地の面で機動的に増強できているという現実である。補足として、複数の業界紙も「中国の供給力が数歩先んじる」との見方を報じている。Tom's Hardware


実際、近年のデータセンター投資は想像以上の規模だ。McKinseyは2025〜2030年の世界のデータセンター新増設投資を6.7兆ドル規模と見積もる。訓練も推論も桁違いに電力を食うAIに対応するには、送配電設備の増強・系統接続の迅速化・変圧器など長納期機器の手当てが同時並行で必要になる。だが米国では、そのどれもがボトルネック化しつつある。Tom's Hardware


米国:足りないのは発電所だけじゃない

足元で最も深刻なのは、変圧器(とりわけ大型の電力用・配電用)の供給逼迫だ。エネルギー消費の急増で需要が膨らむ一方、製造リードタイムは長く、調達の先行きに不確実性が残る。Wood Mackenzieは2025年の米国で電力用・配電用変圧器の不足率がそれぞれ30%、10%に達する可能性を指摘した。供給制約は新規データセンター接続の遅延に直結する。Reuters


料金面の圧力も広がる。AIデータセンターの電力需要が地域の系統を押し上げ、一般家庭の電気代上昇を招いているとの指摘は、APや業界メディアでも相次ぐ。各州は「データセンターには相応のインフラ負担を求めるべきだ」と、特別料金や自前調達の義務化を模索し始めた。すでにオレゴンでは規制当局に対し新たな料金設計の策定を命じる法律が成立している。AP NewsTom's HardwareDaily Journal of Commerce


「そもそも、データセンターはどれだけ電力を食うのか?」という問いに対しても、見方は割れる。Deloitteは2025年の世界のデータセンター消費は全電力の約2%に過ぎないとする一方、急増するAI需要を踏まえると米国での電力消費に占める比率は2028年までに6.7〜12%へ達する恐れがある、との推計もある。数字のブレ自体が、AI時代の需給見通しの難しさを物語っている。DeloitteBloom Energy


中国:系統・許認可・立地の“総合力”

中国側の強みは単一の要素ではなく、「電源(発電)×送電(UHVを含む長距離幹線)×需要地の系統連系×許認可のスピード」の総合力だ。大規模再エネの導入を高圧直流や超高圧交流の幹線で広域融通し、負荷の大きい拠点への接続を短期に捌く体制を持つ。AI向けデータセンターは出力100〜300MW級の“新工場”だが、その電源接続を迅速に実現する手段を官民で整えてきた。米国の系統接続待ち(キュー)の長期化と対照的である、というのが現場を見た関係者の実感だ。これが「中国がAIインフラ競争で先行しかねない」との危機感につながる。Tom's Hardwareゴールドマン・サックス


SNSはどう反応したか:賛否、景気、そして健康被害

この論点はSNSでも熱を帯びた。Redditの技術系・未来志向コミュニティでは、米国の規制・許認可プロセスが最大の遅延要因だとして「緊急の制度改革が必要」とする声が出る一方、「巨大データセンターのバックアップ発電機やNOx排出は周辺住民に外部不経済を押し付ける」と、立地規制や汚染対策の強化を求める意見が並んだ。以下は代表的な論点である(要旨)。Reddit

  • 「国家安全保障の観点から、AIインフラは自前で発電も含め整備すべき。民生と軍需の境界は曖昧になりつつある」(要旨)Reddit

  • 「近隣の住宅地では夜間騒音やバックアップ発電時のディーゼル臭が問題。地域社会の合意が置き去りだ」(要旨)San Francisco Chronicle

  • 「電気代が上がるのに、地元の雇用はそれほど増えない。外部費用を誰が負担するのか不透明」(要旨)AP News


SNSの“温度感”は、単なる「中国すごい/米国だめだ」ではない。系統の近代化は必要だが、その費用の負担・環境影響・地域受容性をどう設計するかという、クラシックな公共政策の論点に回帰しているのだ。


企業の打ち手:自前電源、需要家側リソース、場所選び

クラウド大手は、接続遅延と料金上昇を織り込んだ新戦略に動き始めている。第一に、オンサイト・ニアサイトの自前電源である。ガスエンジンや燃料電池、蓄電池を組み合わせ、送電網の混雑や停電に左右されない“アイランド運転”能力を確保する動きは増えている。学術誌の総説も、今後は「自家発電を備えるデータセンター」が一般化すると見立てる。engineering.org.cn


第二に、需要家側リソース(DR)と柔軟性の活用だ。ピーク時に計算負荷を落とし、夜間や再エネ余剰時間にバッチ処理を回す。価格に応じて推論タスクを地理的に移す「トラフィック・シフティング」も有効だ。ゴールドマン・サックスは、スマートなデマンドマネジメントが「AIエネルギー危機」の緩和に寄与するとし、制度設計次第で設備投資のペイバックが改善し得ると指摘する。ゴールドマン・サックス


第三に、立地の最適化である。送電網の余力がある地域、変圧器の供給見通しが良い地域、再エネ電源にアクセスしやすい地域へ分散する。ただし、立地を分散すればネットワーク遅延やオペレーションの複雑性は高まるため、CDNのような“エッジ/リージョン設計”が一段と重要になる。


政策の選択肢:許認可改革と“系統のUX”改善

国・州・自治体の政策としては、(1)系統接続プロセスの標準化・ワンストップ化、(2)送配電投資の長期計画と費用負担の透明化、(3)価格シグナルの高度化(ロケーション別料金、時間帯別拡充)、(4)長納期機器(変圧器・開閉器など)の国内供給網強化、(5)環境外部性を織り込んだ立地ルール、が当面の優先課題だ。すでに複数の州で「インフラ費用を誰が負担するか」の見直しが始まったが、住民負担の抑制と投資インセンティブの両立には、制度の微妙なバランスが要る。AP NewsDaily Journal of Commerce


「AIが食べるのは電力だけじゃない」

データセンター投資はマクロ経済にも影響を与えつつある。2025年は米国の成長率に対し、データセンター設備投資が目に見える寄与をし始めたという分析もある一方、電力・通信・水資源・人材など、関連インフラのひっ迫が別のコスト上昇を招くリスクもある。「データセンターが経済を食べる」という表現は誇張に聞こえるが、少なくともインフラ投資と制度設計の“待ったなし感”は現実だ。フォーチュン


日本への含意:いま決めるべき3つ

  1. 系統接続の高速化と透明化:系統側の制約を早期に可視化し、再エネ・常時バックアップ・蓄電組み合わせで大口需要の接続を短期に捌く仕組みが鍵。

  2. エッジ分散×需要柔軟性:夜間や春秋の余剰電力を“AIの谷時間”として活用する料金設計と、アプリ側のスケジューリング最適化が競争力を左右する。

  3. 技術中立な自前電源ポリシー:脱炭素目標と両立しつつ、燃料電池・小型モジュール炉(SMR)・地熱など多様な選択肢を排除しない。


要するに、AIの勝敗は“モデルの賢さ”と同じくらい“電力の巧さ”で決まる。中国が示すのは、供給力と系統の柔軟性を総合的に上げることでAI投資の立ち上がりを加速できる、という事実だ。米国と日本にとっては、許認可・接続・価格設計という“地味なUX”の改善こそが、次の競争力の源泉になる。


参考記事

AIの専門家たちが中国から帰国し驚愕:アメリカの電力網はあまりにも脆弱で、競争はすでに終わっている可能性がある
出典: https://fortune.com/2025/08/14/data-centers-china-grid-us-infrastructure/

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