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「年雨量」では未来は読めない — “降り方”が壊れる地球の雨

「年雨量」では未来は読めない — “降り方”が壊れる地球の雨

2026年01月11日 00:08

「雨は増えるのに、土地は乾く」——“降り方”が未来を決める

温暖化の話題でよく聞くのは「気温が上がるほど大気は水蒸気を多く抱え、雨は強まる」という筋書きだ。確かに豪雨の激甚化は多くの地域で観測され、ニュースにもなる。けれど私たちの暮らしを左右するのは、年雨量の合計だけではない。


むしろ厄介なのは、**雨の“リズム”**だ。雨季が短くなる。雨と雨の間隔が伸びる。そして、その空白のあとに“まとめて”降る——。この「間欠化(intermittency)」こそが、洪水と干ばつを同時に増やしてしまうメカニズムになり得る。


今回Phys.orgが紹介したのは、米ユタ大学などの研究チームが、約6600万年前から約4800万年前にかけての超温暖期(古第三紀)を手がかりに、「温暖化した地球で雨がどう変わるか」を検証した研究だ。結論は直感的ではない。


「温暖化で湿潤域はもっと湿潤に、乾燥域はもっと乾燥に」という“おなじみの整理”に対して、研究チームは「中緯度でも乾きやすくなる」可能性を提示した。鍵は、雨量の合計ではなく、**降水の時間分布(いつ、どのくらいの頻度で降るか)**にある。



6600万年前の地球を“未来の実験場”として読む

研究が注目した古第三紀は、大気中CO₂が現在の2〜4倍に達していた時期を含むとされ、極端に温暖な地球の「実地テスト」に近い。
また古第三紀の中でも特に有名なのが、約5600万年前のPETM(暁新世–始新世温暖化極大)だ。PETMは短期間に温室効果ガスが増え、地球が急激に温暖化した“ハイパーサーマル”として知られる。NOAAの解説では、PETMで全球平均気温が最大で5〜8°C上昇した可能性が示されている。


さらに別の研究推定では、PETM期の全球平均気温が産業革命前よりかなり高い水準(推定の幅はある)が示されており、「地球が今よりずっと暑い状態で水循環がどう振る舞うか」を考える上で重要な比較材料になる。



何を調べたのか:化石・古土壌・河川堆積物で「降り方」を復元

問題は、数千万年前の雨量計があるはずもないことだ。そこで研究は「プロキシ(proxy)」——地質記録に残る間接証拠——を総動員する。Phys.org記事では、植物化石(葉の形状など)、古土壌の化学、そして河川地形や堆積物が例として挙げられている。雨が“毎日しとしと”なのか、“長い乾燥ののちに一気に増水”なのかで、川が岩を運び削る力も、河床の形も変わる。つまり地形や堆積物は、降水の「強度」や「間欠性」を映す鏡になり得る。


加えてNature Geoscience掲載論文の要旨では、これらの堆積学的プロキシを統合するマルチプロキシ手法を構築し、降水の「季節〜年々の変動(間欠性)」と「降雨率(強度)」に制約を与えたとしている。



見えてきた結論:極は湿り、中緯度内陸は「乾き+豪雨」の組み合わせ

研究が示した大枠はこうだ。


  • 極域は湿潤〜モンスーン的になり得る

  • 一方で、中〜低緯度の大陸内陸は、乾燥傾向だが“強い雨が時々来る”(乾きが続いてからの豪雨)


ここで重要なのは、乾燥が「総雨量の減少」だけで説明されない点だ。要旨では、乾燥化は平均年降水量と切り離され、雨季の短縮や降雨の再来間隔の長期化といった「分布の変化」によって駆動された、とされる。


Phys.org記事も同様に、乾燥は「雨が減るから」だけではなく、短い雨季と長い空白によって生まれ得ると述べている。


そして、従来よく語られてきた「湿潤域はより湿潤に、乾燥域はより乾燥に(wet-gets-wetter / dry-gets-drier)」という見立てからの“ズレ”が指摘される。要旨は、極域の湿潤化と中緯度の乾燥化が、その単純応答からの逸脱を示すとしている。



なぜズレるのか:「平均」では見えない非線形と“しきい値”

さらに興味深いのは、こうした水文気候のシフトが、PETMの約300万年前から始まり、約700万年後まで続いた可能性が示されている点だ。つまり「一回のイベントの余波」ではなく、地球システムがある条件を超えると、雨の振る舞いが**非線形(線形に比例しない)**に変わってしまう——そんな読み取りが可能になる。


Phys.org記事でも、気候がある“しきい値”を超えると降水の挙動が意外な形で変わり得る、という趣旨が語られている。



実務インパクト:「年雨量」中心の設計思想が危うくなる

この研究のメッセージを、生活者向けに言い換えるならこうだ。
“雨が降る年”でも水不足になり得る。


なぜなら、ダムや地下水、農地や森林、都市の排水インフラが必要とするのは、「どれだけ降ったか」だけでなく「いつ降ったか」「次はいつ降るか」だからだ。


  • 長い乾燥 → 土が固くなり浸透しにくい

  • その後の豪雨 → 一気に流出し、洪水・土砂災害・濁水が増える

  • 雨季が短い → 貯水の“貯める期間”が減り、同じ総雨量でも運用が難しくなる


Phys.org記事も、将来は年平均より雨のタイミングと信頼性が重要になる、と明確に述べ、洪水・干ばつ・水管理への含意を強調している。



「モデルは雨の不規則さを過小評価?」という刺さる指摘

研究は、古気候との比較を通じて、現在の気候モデルが“雨の不規則さ”を過小評価している可能性にも触れている。古気候は、現代とは境界条件(大陸配置や氷床など)が違う。だが、だからこそ「モデルが未知の条件に耐えられるか」を試す格好の教材になる。
この示唆は、将来予測を“平均値の地図”として眺めるだけでは取りこぼすリスクを、強く意識させる。



日本目線で読む:梅雨・台風・渇水は「同じ物語」になる

日本はもともと季節性が強い。梅雨があり、台風があり、冬型もある。だから「間欠化」が進むと影響は二重に出る。

  • 梅雨の総雨量が同じでも、雨の日が減って“まとめ降り”が増える

  • 台風の雨が治水容量を超えやすくなる一方、台風が来ない年は渇水が深刻化する

  • 農業では、播種・移植のタイミング、用水の融通、土壌水分の維持が難しくなる

  • 森林・生態系では、乾燥ストレスと豪雨による攪乱が同時に効く(倒木、土壌流亡など)

要するに、「豪雨対策」と「渇水対策」を別々に考えるのではなく、“同じ気候変化の別の顔”として同時設計する必要が出てくる。



SNSの反応(※投稿例:実在の投稿の引用ではなく、議論の典型を再構成)

※このセクションは、記事内容から想定される論点を、SNSでよく見られる言い回しに“再構成”したものです(特定個人の実投稿を示すものではありません)。元論文はNature Geoscienceで公開され、アクセス数やAltmetricが付いており、研究コミュニティ外にも一定の波及があることがうかがえます。


  • 防災・土木クラスタ
    「年雨量が同じでも洪水が増える、って一番厄介。設計雨量や運用ルールを“季節の短縮”込みで見直さないと詰む」

  • 農業クラスタ
    「雨が降るかどうかじゃなく“次がいつか”が問題。乾燥の間隔が伸びると、同じ雨量でも作物が持たない」

  • 気象・研究クラスタ
    「wet-gets-wetterの単純図式に対して、間欠性を軸にした議論が前に出てきたのが大きい。平均値の地図だけ見てると誤読する」

  • 懐疑・反発系
    「何千万年前の話を今に当てはめるのは無理があるのでは?(→境界条件は違うが“モデル検証の材料”になる、という反論が付く)」

  • 生活者の実感系
    「“最近、降る時は一気に降って、降らない時は降らない”って体感そのまま。平均気温より平均雨量が当てにならないの怖い」

  • 拡散されやすい一文系
    「未来の水不足は“雨が減る”からじゃなく“雨の間隔が伸びる”から」


(参考:この研究を紹介する投稿やスレッドでは、記事中の“18°C”などの数値が単独で切り取られて拡散されがちです。PETMは「上昇幅(何°C上がったか)」と「当時の平均気温が産業革命前よりどれだけ高いか」が別概念なので、文脈付きで読むのが安全です。 )



まとめ:問うべきは「どれだけ降るか」から「どう降るか」へ

この研究が突きつけるのは、未来の水リスクの中心が、じわじわした平均値の変化ではなく、降水の間欠性と強度に移っていく可能性だ。
年雨量の増減だけで安心・悲観を語るのではなく、雨季の長さ、降雨間隔、豪雨の集中度——“雨の編集”そのものに目を向ける。


洪水と干ばつの同時多発という、いちばん嫌な組み合わせに備えるために。



参考記事

過去の地球温暖化が未来の降雨に示すもの
出典: https://phys.org/news/2026-01-global-reveals-future-rainfall.html

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