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宇宙の神秘に迫る:世界が協力し捉えたブラックホールジェットの鮮明画像

宇宙の神秘に迫る:世界が協力し捉えたブラックホールジェットの鮮明画像

2025年06月14日 11:07

1. 全球電波網がもたらした“歴史的一枚”

2025年6月13日、Chalmers University of Technologyのプレスリリースとともに公開された1枚の画像が世界の天文学者を沸かせた。コンターが幾重にも重なる false-color の右図は、銀河 J0123+3044 の中心から吹き出す高エネルギー・プラズマジェットを示す。左図は従来のEVN単独観測、右図がMeerKATを追加したものだ。右図ではコア付近の構造が分離し、ジェットの開き角・強度勾配が明瞭に浮かび上がる。phys.orgchalmers.se


2. なぜMeerKATが鍵だったのか

MeerKATは南アフリカ・カルー砂漠に直径13.5 mのアンテナ64基を分散配置する中周波アレイ。干渉計としての集光力は単一100 m鏡に匹敵し、南半球で最も感度が高い。EVNは欧州・アジア・アフリカに渡る20数局を光ファイバで結び、最大基線9,000 km。今回、MeerKATが初めて「本観測モード」でEVNに加わったことで、南北方向の基線が拡張され、u-v平面が劇的に埋まった。結果として感度は約3倍、ビームサイズは30%以上改善したという。sarao.ac.zajive.eu


3. VLBIの仕組み──“地球をレンズにする”技術

VLBI(超長基線干渉計)は、各局が原子時計でタイムスタンプを付けながら同一電波を録音し、のちに相関演算機で重ね合わせる。波長1 cm帯なら1万kmの基線で理論分解能は0.2ミリ秒角。これは東京からロンドンに置いた1円玉を見分けるに等しい。MeerKATの64素子はアレイとしてひとつの巨大局に振る舞うため、データ転送量は膨大だが、南アの光ファイバ網とJIVE(オランダ)のDiFX相関器でリアルタイム処理が可能になった。jive.eu


4. 科学的インパクト──ブラックホール・ジェットの謎に光

J0123+3044 は光が地球へ届くまで約90億年を要する遠方銀河。今回の画像からジェット内部のショックフロントや磁気構造が解析でき、ジェット生成モデル(ブラックホール事象の地平面直結か、降着円盤由来か)を判別する手がかりが得られた。さらに分解能向上でジェット幅の時間変化が追跡可能となり、プラズマ不安定性やエネルギー散逸過程の定量化が期待される。これはEvent Horizon Telescopeが捉えたM87の“リング”研究とも補完関係にある。arxiv.org


5. SKAへの布石

MeerKATはSKA-Midの正式パスファインダーだ。将来はオーストラリアのSKA-Lowも含む数千基が連携し、感度は1桁、分解能は数倍上がる見込み。今回の成功は「SKA-VLBI」実現に向けた予行演習であり、データ転送・標準化・人材交流の課題を一つずつ解消した形だ。スウェーデンがSKA加盟を表明、日本でもVERAやJ-VNが国際VLBI連携を模索しており、アジア太平洋の参加も加速すると見られる。chalmers.se


6. 国境を越えるチームワーク

今回の観測には中国・韓国・イタリア・スペインなど計14か国が参加。オンサイト要員はわずかで、時差3交代のリモート運用が基本。コロナ禍以降に整備されたクラウド基盤と、欧州研究ネットワークGÉANTが高速ストリーミングを支えた。運用コストを抑えつつ世界中の若手がデータ解析に参加できる“分散型研究”のモデルケースとなった。engineeringnews.co.za


7. SNSでの反響――「解像度に鳥肌」「データ公開まだ?」

発表直後、LinkedInでPhys.orgの投稿が拡散され、わずか10時間で4,000を超えるインプレッションを記録。SKA Observatory公式は「VLBIの未来が見えた」とコメントし、研究者や宇宙ファンから祝福の絵文字が並んだ。linkedin.comlinkedin.com


日本語圏でも〈#MeerKAT #VLBI〉がTwitter(X)の科学クラスタで急上昇。「EHTの次はこれか」「データ公開→市民科学で遊びたい」といった投稿が相次ぎ、可視化GIFや自主的な和訳まとめも共有された。実際、JIVEは生データの一部を教育目的で公開予定と表明している。


8. 日本への波及効果

国内ではVERA4局に加え、今春から石垣島65 mがテスト参画。高分解能観測は国際共著論文の急増に直結し、学生の海外インターン応募も増えた。データ処理面では国立天文台CRAYとのGPUハイブリッド相関試験が計画され、産業界も5Gエッジ計算や光通信技術で参入を狙う。学術DXと地域振興の両輪を回す好例として注目される。


9. 今後の展望――“地球+月面基線”へ

欧州宇宙機関(ESA)は2030年代に月面VLBI局を設置し、地球‐月基線を使った10 μas級イメージングを検討中だ。今回の成果はその技術的・協調的課題を浮き彫りにし、同時に実現可能性を示した。ブラックホールだけでなく、重力波源、宇宙論的中性水素線マッピングなど、超高解像度・高感度でしか開けない科学領域が次々に現れるだろう。


10. 結び

MeerKATとEVNの“握手”は、望遠鏡を「国の施設」から「地球規模の共用インフラ」へ進化させた象徴的出来事だ。データは光速で行き交い、解析は世界中のPCで同時進行。人類は初めて、母なる惑星そのものを巨大なレンズに仕立て、宇宙の深奥に挑み始めた――そんな時代の扉が音を立てて開いた瞬間を、私たちはリアルタイムで目撃している。


参考記事

世界的な解像度:電波望遠鏡ネットワークが遠方のブラックホールジェットの画像を捉える
出典: https://phys.org/news/2025-06-global-resolution-radio-telescope-network.html

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