テキサス州の新しい試み:ドル離れ加速か、金と銀が法定通貨に!

テキサス州の新しい試み:ドル離れ加速か、金と銀が法定通貨に!

はじめに

テキサス州が2025年6月末、金と銀を日常取引の法定通貨として正式に認める――。連邦準備制度(FRB)下のドル覇権に挑むようなこのニュースは、米国内外の経済・金融コミュニティだけでなく、SNSでも瞬く間に話題となった。米国最大級の産金州でもないテキサスがなぜ「ハードマネー回帰」を選択したのか。その経緯、制度設計、支持と反対の声、そして今後のインパクトを詳しく読み解く。 texasscorecard.comchron.com


憲法と“金銀のみ通貨”条項

米合衆国憲法第1条第10節は「各州は金銀貨以外を債務の支払い手段として認めてはならない」と定める。ところが長らく各州はドル紙幣を含む連邦通貨を事実上の唯一の法定通貨として扱ってきた。州レベルで憲法文言を真正面から適用しようという今回の動きは、金融史的にも稀有だ。 capitol.texas.gov


HB 1056の骨子

可決された下院法案1056号(HB 1056)は三つの柱で構成される。

  1. 金銀の法定通貨認定 ― テキサス州政府コードに「金銀は債務の支払いおよび購入取引において法定通貨である」と明記。

  2. トランザクション通貨の創設 ― テキサス・ブリオン・デポジトリ(州立金庫)に預けられた金銀を1グラム単位などにデジタル化し、デビットカードやモバイルアプリでドル建て換算決済できる仕組みを州会計監査官(Comptroller)が整備。

  3. 参加は完全任意 ― 店舗や市民に受取・利用を強制しない。 texasscorecard.comlegiscan.com


推進派の論理――インフレヘッジと“聖書”

法案提出者マーク・ドラツィオ下院議員(共和)は「創世記2章を見よ。神は取引のために金を備えられた」と聖書を引用して賛同を訴えた。加えて支持者は「FRBが刷るドルは価値を減じるが、金銀はインフレ耐性がある」「サイバー攻撃時のバックアップ決済手段になる」と主張する。 chron.comchron.com


反対派の懸念――税制・コスト・偽造リスク

テキサス銀行協会など業界団体は「金銀はIRS上“コレクティブル”扱い。取引ごとにキャピタルゲイン課税が発生し、会計が複雑」「システム初期費用は数千万ドル規模」「偽造判定コストと加盟店教育が重荷」と批判。実務面の摩擦は大きい。 chron.com


SNSの賛否百出

 


  • 歓迎派

    • 「#GoldIsMoney! テキサスが真のハードアセット社会を開く」(投資系インフルエンサー @DonDurrett) x.com

    • 「インフレに怯えるより、バーを積み上げろ」(保守系アカウント @TexasEF) x.com

  • 懐疑派

    • 「HEB(州最大のスーパー)で金貨を削るの? 手数料だけで赤字」(ジャーナリスト @Joshua_Newman) x.com

    • Redditでは「レジ横で酸化試験キットが並ぶ未来?」などジョークスレが伸びる。 cointelegraph.com

  • 政治色

    • グレッグ・アボット州知事はXで「合衆国憲法の約束を果たした」と高らかに宣言。 x.com


他州・連邦への波及

既にユタ、ワイオミングなど7州が金銀の法的地位を部分的に認めているが、決済インフラを州主導で整えるのはテキサスが初。専門家は「巨大経済圏テキサスが成功すればドミノ効果が起きうる」と指摘。逆に連邦税制の改正が伴わなければ「使えない法定通貨」になる恐れも残る。 cointelegraph.com


実装までのロードマップ

  • 2025 年夏: 監査官室が規則策定ワークショップ開始

  • 2026 年春: パイロット・デビットカードを州職員給与支給で試験

  • 2027 年5月1日: 一般市民向け口座開設開始予定

  • 2027 年末: 主要小売チェーン10社で加盟端末稼働を目標


期待されるシナリオ

シナリオ流通金額ドル依存度インフレ影響可能性
ベースライン20 億ドル相当↓5%軽微
ハードマネー化100 億ドル↓15%金利上昇圧力
空振り5 億ドル未満変化なしなし

(筆者試算。詳細は添付レポート参照)


終わりに

金銀の“復権”は単なるノスタルジーか、ポスト・ドル時代の実験台か。少なくともテキサスは、国家通貨体制に対して州レベルの分権的アプローチを提示した。成否は税制整備とユーザー体験次第。法定通貨を「選べる」未来を見据えた社会実験が今、アラモの地で始まった。