香り付きメイクアップ:新たなラグジュアリーの波がビューティー界を席巻 - リップは纏う香水へ

香り付きメイクアップ:新たなラグジュアリーの波がビューティー界を席巻 - リップは纏う香水へ

1. “色だけじゃない”を求める時代

香水の領域だった「香り」は、いまやリップやパウダー、ブロンザーにまで広がり、メイクを“見せる”から“感じる”体験へと変えつつある。HELLO!のリポートは、この流れを「気分を底上げする見えないアクセサリー」と表現する。歴史的にもメイクの香りは長く存在したが、近年はハイブランドが自社の香水DNAをそのままメイクに編み込み、ブランド物語の“嗅覚的な連続性”を作っているのが特徴だ。具体例として、ゲランの「メテオリット」の香り刷新(調香師デルフィーヌ・ジェルクによる再解釈)、バイレードのリップ&リップケアに漂う赤い果実とパウダリーフローラルのハーモニー、そしてルイ・ヴィトンが初のメイクコレクションを発表し、自社の調香マスターが口紅やバームにシグネチャーを与えたことなどが挙げられる。HELLO!


2. ブランド別に見る「香りの設計」

  • ルイ・ヴィトン(La Beauté Louis Vuitton)
     55色のLVルージュは“軽やかな花の香り”、バームは“ラズベリー&ミント”のアロマという設定。調香はジャック・キャヴァリエ=ベルリュード。価格は超ラグジュアリー帯だが、香り・質感・リフィル可能な意匠で体験価値を最大化している。People.com

  • ゲラン
     「メテオリット」は、ウッディ(サンダルウッド等)やムスク、バニラを含むクラシック×モダンの再配合で“粉雪のような”香りをアップデート。テラコッタは太陽を思わせるイランイランやオレンジブロッサムの記憶旅行。HELLO!

  • バイレード
     リップケアはジュシーな赤果実とパウダリーフローラル、バニラクリームの“とろける”構成。香りはジェローム・エピネットが手掛ける。BYREDO

  • セリーヌ
     口紅は“70年代のローズ&ライスパウダー”調。オートパフュメリの世界観をリップでも署名する。セリーヌ

  • プラダ
     代表香水「インフュージョン・ディリス」の肌に溶け込むアイデンティティが、メイクの一部区分でも参照点となっている。Prada

補遺:大衆〜ミドル価格帯でも“香るメイク”の原型は根強い。トゥーフェイスドのココア香パレット、フィジシャンズフォーミュラのモノイ香ブロンザーなど、ノスタルジー系の香りは既に定番化している。ノードストロムTooFaced


3. なぜ香らせるのか——心理と経済

香りは記憶と感情を強力に結びつける。ブランドは“香り=物語”として、ルックの完成度を越えた儀式性(塗る所作の高揚、気分のスイッチ)を提供する。HELLO!の記事でも“香りによる情動記憶の喚起”を強調。これは価格に敏感なSNS世代でも、“五感の贅沢=体験課金”なら納得、というロジックにつながる。HELLO!


4. SNSの本音:うっとり派 vs. 困惑派

  • 憧れと話題性:LV初のメイクは“高すぎる”“でも欲しい”の二極反応。価格批判と同時に“香りまでLV”という没入感を評価する声も拡散した。Indiatimes

  • 香り疲れ・敏感肌の懸念:Redditでは「顔用コスメの強香は苦手」「ゲランの一部アイテムは香りが強いが、粉物は好き」など好悪が割れる。香料へのアレルギー・刺激を気にして“フレグランスフリー”を探すスレも目立つ。Reddit

  • ノスタルジー需要:チョコやトロピカル系の“お菓子の香り”は依然人気で、レビュー欄でも「香りが最高」の声が続く。Ulta Beauty


5. 規制と肌リスク:知っておきたい現実

香料は接触皮膚炎の代表的原因の一つ。皮膚科領域のレビューや学会資料でも、アレルゲンとしての存在感が繰り返し指摘されている。EUは2023年の改正で表示対象アレルゲンを大幅拡充、2026年以降の移行期限も示された。敏感肌や既往のある人はフレグランスフリーが基本戦略だ。American Contact Dermatitis Society


6. “香るメイク”を賢く楽しむ5則

  1. TPO×香調:オフィスは“肌に近い清潔系”(アイリス、ライスパウダー)。夜はフローラルやグルマンでムードを演出。ブランドの香水DNA連動なら全体が調和しやすい。セリーヌ

  2. オンフェイスは薄香で:顔面は嗅覚疲労・刺激が出やすい。香り強めはパウダーよりポイント(リップなど)で試す。アメリカ皮膚科学会

  3. パッチテスト&成分確認:初使用は狭い範囲で。EUのアレルゲン表示拡充により、INCIの読み込みは以前より重要。EUR-Lex

  4. 香水とのレイヤード:同系統の香りで“匂い設計”。例:セリーヌやLVの“同DNA”で統一。セリーヌ

  5. 代替オプション:香りが苦手なら、フレグランスフリー処方を選ぶ。コミュニティ知見も有用。Reddit


7. 今後の展望

各メゾンは“嗅覚の署名”をメイク全体へ拡張中。香りは価格プレミアムの根拠であり、パッケージのリフィル化や職人技との複合で“買う理由”を強化していくはずだ。一方で、表示規制の強化敏感肌ニーズが並行して進むため、**微香・低アレルゲン・香り選択可能(無香版も用意)**といった分岐設計が広がるだろう。ラグジュアリーは“誇示”から“自分だけが分かる幸福”へ——香るメイクはその象徴であり続ける。EUR-Lex


参考記事

香り付きメイクがビューティー界の新たなラグジュアリートレンドである理由
出典: https://www.hellomagazine.com/healthandbeauty/makeup/863551/why-scented-makeup-is-the-new-luxury-trend-in-beauty/