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古代マヤ都市の興隆と衰退の謎に迫る:干ばつ、争い、巨大インフラ - 古代マヤの都市盛衰モデル

古代マヤ都市の興隆と衰退の謎に迫る:干ばつ、争い、巨大インフラ - 古代マヤの都市盛衰モデル

2025年10月18日 00:15

導入──「なぜ都市に集まり、なぜ離れたのか」

都市はいつの時代も、人を引き寄せもすれば、手放しもする。最新の研究は、古典期マヤ(概ね西暦250〜900年)の都市盛衰を、単一要因ではなく複数要因の同時進行として数量化した。鍵は「気候」「紛争」「規模の経済(大規模インフラの効果)」、そして都市生活の便益と負担の差である。 Phys.org


研究の要点──人口生態学モデルで“多要因”を束ねる

PNASに掲載された論文は、2012年以降に集積された人口・紛争・農業インフラの考古データに、高分解能の気候復元と計算モデリングの進展を統合。人口生態学の概念で、都市への「集住(アグリゲーション)」と地方への「分散(ディスパーサル)」を記述した。結果、都市の拡大は乾燥化ショックと集団間紛争の増加に対し、灌漑・畦・棚田などの農業インフラを共同で整備することで得られる規模の経済が誘因になった、と説明される。 Phys.org


興味深いのは、都市離脱が“気候悪化の最中”ではなく、むしろ改善局面で進んだ点だ。都市近郊の環境は長期の集約農業で劣化し、都市の限界費用が上がった一方、改善した気候は**地方の暮らしやすさ(自律性の回復)**を高め、便益<負担になった時点で「脱都市化」が生じた──という逆説的な結論である。 Phys.org


“崩壊”より“最適化移動”という見立て

本研究は、従来バラバラに議論されてきた環境ストレス説、戦争・治安説、経済要因説を単一の動的枠組みで包摂した点に価値がある。「都市の誕生・拡大・縮退」は、外生ショック(乾燥化、紛争頻度)と内生プロセス(インフラ整備→規模の経済→格差とパトロン‐クライアント関係の強化→都市周辺の環境劣化)の相互作用で説明できる。言い換えれば、“崩壊”というドラマティックな物語を最適化行動に置き換えるのである。 Phys.org


方法とデータの裏付け

・データ統合:人口変動、紛争指標、農業インフラ投資の考古学データ(2012年以降の集積)+最新の高分解能気候復元を統合。
・モデル化:人口生態学の簡潔なモデルを用い、都市と地方の相対的な期待効用(便益−負担)の変化で人口移動を説明。
・出典:Weston C. McCool ほか「Modeling the rise and demise of Classic Maya cities: Climate, conflict, and economies of scale」(PNAS, 2025)。 Phys.org


この結果は、乾燥が争いを増幅しうることを示した先行研究群とも整合的だが(例:ケネットらの気候‐紛争連関)、新作は**「改善局面での脱都市化」**を明示的に示した点が新しい。 Nature


具体像──“規模の経済”は両刃の剣

古代マヤの都市では、灌漑・畦・貯水池・水路といった農業インフラが共同体規模の生産性を押し上げ、集住を正当化した。他方、その持続的な集約利用は都市近郊の生態系劣化を招き、やがて限界効率が低下。地方の環境条件が上向けば、“都市の魅力”は相対的に落ちる。この内生的なコスト上昇が、改善する気候と組み合わさって人口の分散を誘った、というのが本研究の描く筋道だ。 Phys.org


SNSの反応──“崩壊という語への違和感”と“現代都市への示唆”

研究の公開後、PNAS公式のSNSが研究を紹介し拡散。**「共同の灌漑・防衛プロジェクトが都市を育てた」**という要約がシェアされ、考古・歴史クラスタのみならず都市政策や気候分野からも関心が集まった。 Facebook


議論の論点①:用語
Redditの歴史系コミュニティでは以前から、「マヤは消えたのではない」という視点が繰り返し示され、“collapse(崩壊)”という表現への違和感が共有されてきた。今回の研究は“脱都市化”という語感でその違和感を裏打ちする、と受け止める声が多い。 Reddit


議論の論点②:現代への示唆
都市計画や気候コミュニティでは、「都市は便益>負担の間だけ存続する」という単純な定理のわかりやすさが話題に。改善した外部条件が、むしろ“離れる自由”を後押ししうるという逆説は、ポスト干ばつ期の地方回帰やメガシティのスプロール是正に重ねられた。研究ニュースを扱うFuturityも、複数要因の重なりを強調して紹介している。 Futurity


議論の論点③:計量化の意義
「環境ストレス」「戦争」「経済」を同一モデルで束ねた点への評価が高い一方、ローカルな差異(例:カラクムル、ティカル、カラコル等の個別履歴)をどこまで吸収できるか、パラメータの解釈をめぐる慎重論もみられる。専門家のレビューや関連分野の研究(農業生産性や人口推計の更新)を合わせ読むべきだ、という冷静な声も。 サイエンスダイレクト


“神話”を超える学び──現代都市へのチェックリスト

  1. ショックの種類:悪化(干ばつ・治安)だけでなく、改善も人口移動を引き起こす。

  2. インフラの寿命:規模の経済は逓減する。維持費や外部性(環境負荷)を価格に反映できるか。

  3. 自律性の価値:都市の「便利さ」と地方の「自由度」を同じものさしで評価せよ。

  4. 多要因設計:気候・治安・経済・社会不平等を同時最適で扱うこと。


論文と公式リリース

  • 論文:Weston C. McCool ほか「Modeling the rise and demise of Classic Maya cities: Climate, conflict, and economies of scale」PNAS(122巻42号, 2025)。目次・概要。 PNAS

  • 解説(UCSB The Current):研究の背景と要旨。 The Current

  • 一般向け記事(Phys.org):研究のポイントと引用。 Phys.org


参考記事

古代マヤ都市が興隆し衰退した理由
出典: https://phys.org/news/2025-10-classic-maya-cities-rose-fell.html

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