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クマムシの驚異的なDNA保護タンパク質が宇宙での人類の未来を変える!?mRNA×放射線治療が変わる日

クマムシの驚異的なDNA保護タンパク質が宇宙での人類の未来を変える!?mRNA×放射線治療が変わる日

2025年11月01日 00:14

“地球最強生物”と呼ばれる水熊(クマムシ)は、真空、極低温、乾燥、そして強烈な放射線にも耐える。その切り札候補が、DNAを物理・化学の両面から守るとされるタンパク質「Dsup(Damage suppressor)」だ。最近の総説・ニュースは、Dsupが人や作物、さらには宇宙探査へも波及するポテンシャルを改めて照らし出した【Phys.org(2025/10/30)】。特に、マウスでmRNAを使ってDsupを一時的に発現させ、放射線損傷を有意に抑えた一連の報告が注目を集めている【MIT News(2025/2/26); ScienceNews(2025/3/25)】。この小さな生物の分子トリックは、どこまで人類のレジリエンスを高めうるのか。最新知見と論点を整理する。 phys.orgnews.mit.edu



Dsupとは何か——“DNAに寄り添う雲”

2016年の発見以来、Dsupは「DNAに貼りつき、ヒドロキシラジカル由来の損傷を減らす」というモデルで説明されてきた。決定打となったのは2019年のeLife論文で、Dsupがクロマチン基本単位のヌクレオソームに結合し、“保護の雲”を形成してDNA切断を抑えることが示された【eLife 2019】。Dsupは折りたたみが少ない「天然変性タンパク質」で、柔らかく伸び縮みしながらDNA全体にまとわりつく性質が、バリア兼クッションとして働くと考えられている【eLife 2019; 2024年の構造研究】。さらに2025年には、酵母でDsupを発現すると酸化ストレス下の寿命が延びるという結果も報告された【Nature Communications 2025】。 PMC



何が「最新」なのか——マウス体内での一時的発現

話題を呼んだのは、mRNAを用いてマウスの特定組織に一時的にDsupを発現させ、放射線照射後のDNA損傷マーカーを低減できたという結果だ。脂質ナノ粒子でmRNAを送り込み、放射線治療でダメージを受けやすい粘膜上皮などを狙って保護するコンセプトである【MIT News 2025; The Scientist 2025; NIH Research Matters 2025】。長期のゲノム改変ではなく一過性の「薬理的発現」による点が臨床応用を現実的にしている。 news.mit.edu



応用の地平——医療・宇宙・農業・データ

  • がん医療:放射線治療や一部の化学療法は正常組織にもDNA損傷を与える。Dsupが「腫瘍は狙い撃ちしつつ、周辺の健常細胞は守る」選択性を付与できれば、副作用軽減と線量最適化の両立が期待される【MIT News 2025; Iowa大ニュース 2025】。 news.mit.edu

  • 循環器・脳血管:虚血再灌流(心筋梗塞や脳卒中)では酸化ストレスがDNAを傷つける。細胞モデルでDsupが低酸素・再酸素化ストレスに対し保護効果を示した報告も出ている【Int. J. Mol. Sci. 2025】。 MDPI

  • 宇宙生物学:長期滞在の最大リスクである宇宙線への耐性向上に、DsupまたはDsupに学んだ模倣分子が寄与する可能性がある【Phys.org 2025】。 phys.org

  • 農業:イネやタバコにDsupを導入すると耐放射線性が上がる実験結果がある。宇宙農業や高線量環境での栽培に示唆的だ【Phys.org 2025】。 phys.org

  • データ保存:DNAを情報媒体に用い、それをDsupで守るというSFのような発想も。研究段階だが、極限環境でのデータ保存という文脈で議論されている【Phys.org 2025】。 phys.org


まだ越えるべきハードル——“万能シールド”ではない

Dsupの保護機構は単一ではない。DNAへの密着、物理遮蔽、修復促進の複合効果が示唆される一方、すべての細胞で常に良い作用とは限らない。神経細胞モデルでDsupが逆にDNA損傷と神経毒性を高めたとの報告もあり、細胞種・発現量・滞在時間の設計は慎重であるべきだ【Mol. Cell. Neurosci. 2023】。また、DsupとヒトHMGNタンパク質との“似て非なる”ヌクレオソーム結合様式が2025年に詳細化され、核内制御ネットワークへの影響評価が課題として浮上している【Genes & Development 2025】。 サイエンスダイレクト



SNSの反応まとめ(2025年2〜10月の関連投稿より)

  • 期待派:「宇宙飛行士用の“分子バイザー”だ」「放射線治療のゲームチェンジャー」といった前向きなトーンが多数。特にmRNAによる一時的発現という設計を評価する声が目立つ(Xの#tardigrade/#WaterBears周辺のスレッドより)。 X (formerly Twitter)

  • 慎重派:Redditでは「臨床はまだ前臨床→安全性→投与部位最適化と段階が長い」「神経系など組織依存性に注意」といった冷静な指摘が上位に【Redditスレの議論例】。 Reddit

  • 誤解へのカウンター:X上では“人類がクマムシ化する?”などの誇張に対し、遺伝子組換えで人間全身を恒常的にDsup化する話ではなく、局所・一時的発現が中心だとする解説ポストが共有されている(関連キーワード検索結果)。 X (formerly Twitter)

※SNSの個別投稿は流動的で、具体的な結論よりも“期待と慎重のせめぎ合い”がトレンドという印象だ。




研究ロードマップを現実的に描く

  1. 標的化:どの組織で、いつ、どれだけ発現させるか(mRNA/ナノ粒子の送達最適化)。

  2. 安全性:腫瘍への影響、長期の発がんリスク、免疫反応と自己免疫、神経毒性の可能性。

  3. 効果の定量化:臨床に近い線量・分割照射条件での保護効果。

  4. 代替手段:Dsup“様”の短鎖ペプチドや低分子模倣体で、核内の自然な制御を撹乱せずに保護効果だけを抽出できるか。
    これらは既存の文献レビューや一次研究でも繰り返し示される論点だ【eLife 2019; Genes & Dev. 2025; The Scientist 2025】。 PMCgenesdev.cshlp.org



宇宙と地上の“共通課題”に挑む技術

宇宙線への耐性、がん治療の副作用抑制、作物のレジリエンス。いずれもDNA損傷の管理が鍵だ。Dsupは万能薬ではないが、“DNAを守る”という一点で多分野を橋渡しする稀有な存在である。水熊の分子戦略から学ぶ次の一歩は、「安全な一過性の核内シールド」をどうデザインするか——この設計課題に研究の眼が集まっている【Phys.org 2025; Nature Communications 2025】。 phys.org



参考(主要ソース)

  • Phys.org:水熊のDsup概説と応用展望(2025/10/30) phys.org

  • MIT News:mRNAでマウス組織にDsupを発現、放射線損傷を抑制(2025/2/26) news.mit.edu

  • ScienceNews:同研究の解説(2025/3/25) Science News

  • eLife(2019):ヌクレオソーム結合と“保護の雲”モデルの基礎研究 PMC

  • Genes & Development(2025):HMGN様モチーフによるヌクレオソーム認識の構造基盤 genesdev.cshlp.org

  • Mol. Cell. Neurosci.(2023):神経細胞での望ましくない効果の報告 サイエンスダイレクト



参考記事

クマムシは1つのDNA保護タンパク質で宇宙放射線に耐えることができます。その仕組みを学ぶことで、人間の耐性も向上する可能性があります。
出典: https://phys.org/news/2025-10-survive-cosmic-dna-protein-boost.html

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