メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

AIより地味にヤバい:「脳は計算している」仮説が工学に刺さる—ニューロモルフィック×物理シミュレーション

AIより地味にヤバい:「脳は計算している」仮説が工学に刺さる—ニューロモルフィック×物理シミュレーション

2026年01月09日 00:02

「脳型コンピュータは数学が苦手」の常識が揺らぐ

ニューロモルフィック(neuromorphic)コンピュータは、脳の神経回路をヒントにした計算機だ。超低消費電力で、並列・非同期に情報を処理できる一方、「厳密な数値計算」――とりわけ物理シミュレーションの中核をなす偏微分方程式(PDE)には向かない、と長く考えられてきた。ところが2026年1月7日、Sandia国立研究所の発表をもとにした記事がPhys.orgに掲載され、その前提に風穴を開ける研究が紹介された。脳型計算機が、PDEを意外なほど上手く解けるというのだ。 Phys.org


研究の主役は「有限要素法(FEM)」と「スパイキングニューラルネットワーク(SNN)」の結婚である。FEMは、流体、電磁場、構造力学などを記述するPDEを離散化し、巨大な(しかし疎な)連立一次方程式 Ax=bAx=bAx=b を解くことで近似解を得る“定番中の定番”の手法だ。天気予報から材料設計まで、現代の科学技術はFEM抜きには語れない。 News Releases


NeuroFEM:数値解析を「学習」ではなく「直訳」する

今回の研究(Nature Machine Intelligence掲載、オープンアクセス)は、FEMの疎行列 AAA の構造をそのままSNNの結線へ写像し、スパイク(発火)の時間関係で解へ収束させるアルゴリズム「NeuroFEM」を示した。ポイントは“ニューラルネットに学習させて解かせる”のではないこと。FEMで既に確立された数学を、ニューロモルフィックに「ネイティブな」形へ翻訳する発想だ。 Nature


論文の要約によれば、Poisson方程式という基本PDEで意味のある精度と、並列性の高いニューロモルフィック・ハードウェア上で「理想に近いスケーリング」を示したという。実機はIntelの研究用ニューロモルフィック・チップ Loihi 2。さらに2D/3Dの不規則メッシュや、線形弾性など他のPDEへ拡張できることも示されている。 Nature


仕組みをもう少し噛み砕く:メッシュの各節点が“小さな神経集団”になる

NeuroFEMでは、FEMメッシュの各ノードに対して、8〜16個程度のニューロン集団を割り当てる(ここはハイパーパラメータ)。疎行列 AAA の非ゼロ要素が、ノード間シナプス重みとして反映される。右辺 bbb は各ニューロンに加えるバイアスとして与えられ、ノイズ入力も加えることで非同期でバランスした発火状態を作る。スパイク列はそのまま数値ではないため、低域フィルタ的な読み出し(readout)を通じて各ノードの解の推定値を再構成する。 Nature


興味深いのは「そのまま写すと解に定常バイアスが残る」という問題に対して、各ニューロンに局所残差を積分する状態変数を足し、分散型のスパイキングPI(比例+積分)制御として定常誤差を消した点だ。これにより、全体を見渡す“中央司令塔”なしに、局所情報だけで誤差を詰めていく。 Nature


さらに、ネットワークを一度構築してしまえば、右辺(外力やソース項)を変えるだけで別問題に素早く追従でき、追加の学習は不要だとも述べられている。これは現場のセンサー入力に合わせて“常時解き続ける”ような使い方――論文中では「ニューロモルフィック・ツイン」的な方向性――に繋がる示唆になっている。 Nature


なぜ「脳型」がPDEに効くのか:省電力とスケールの論点

Sandiaのニュースリリースは、PDEが天気予報や材料挙動など現実世界のモデリングに不可欠である一方、従来は膨大な計算資源を要してきたと指摘する。その上で、ニューロモルフィックは脳のように情報を処理するため、同種の問題をより省電力にこなす可能性がある、と位置づける。 News Releases


発言も踏み込んでいる。Theilman氏は、知能らしい振る舞いを示す計算システムが登場してきたが「脳とは全然似ておらず、必要資源が(率直に言って)ばかげている」と述べる。 News Releases


Aimone氏も、テニスの打球のような運動制御は“非常に洗練された計算”であり、脳はそれを極めて安価にこなしている、という直観を示す。 Phys.org


ここで論点になるのが、PDEソルバのような計算が「大量の局所計算」「疎な通信」「非同期並列」と相性がよいことだ。実際、論文の本文は、脳が持つ疎・分散・非同期という制約が、現代の高性能数値計算が直面する制約と“妙に整合している”と述べ、FEM由来の疎結合がニューロモルフィック利点を引き出し得ると主張する。 Nature


ただし万能ではない:精度・実装・評価の“次の宿題”

一方で、現時点で「従来スパコンの完全な置き換え」が約束されたわけではない。論文中でも、残差の絶対値は設定次第で変動し、古典ソルバ(例:SciPyのspsolve)より劣る場合があること、そしてパラメータ選択が性能観測に影響しうることが示唆され、さらなる数値的性質の調査が促されている。 Nature


とはいえ、FEMという“信頼の置ける数学”をブラックボックス学習に頼らず移植した点は重い。応用数学・計算神経科学・ハードウェア設計が同じテーブルにつくことで、「省電力で回るシミュレーション」という新しい道具立てが整う可能性がある。Sandia側も、より高度な応用数学手法に対応する“ニューロモルフィック版”があるのか、と次の問いを投げかけている。 Phys.org



SNS(公開範囲で確認できた)反応まとめ

※ここでは、実際に外部から確認できた“投稿・シグナル”だけを素材に、反応の傾向を整理します(未確認のX投稿などは捏造しません)。

  1. 研究者本人が「実用に寄せた」点を強調(LinkedIn)
    Aimone氏のLinkedIn投稿では、NeuroFEMが疎線形システムの“主要ワークホース”を低消費電力ニューロモルフィックで扱えること、数値ソルバとしての比較可能性、ユーザーがSNNを“習得しなくても”使える設計思想、運動野モデル由来の脳らしい疎性・局所性・非同期性などが語られ、反応(Like)も付いていることが確認できる。 LinkedIn

  2. コード公開への“即応”(GitHub)
    Sandia Labs名義でNeuroFEMのリポジトリが公開され、少なくともスターやフォークが付いていることが確認できる。研究コミュニティでは「再現性の入口があるか」が初動の温度感を左右しやすく、ここは好材料だ。 GitHub

  3. キュレーション系ニュースレターにも拾われる(Medium)
    AIニュースレター形式の記事で、Nature Machine Intelligence掲載論文として本研究がリストアップされている。専門外の読者にも“目に入る導線”ができた形だ。 Medium

  4. “話題量”の指標:Altmetricやシェア数
    Nature側のページにはAltmetricスコア(例:67)が表示され、オンライン上で一定の注目を集めていることが読み取れる。Phys.org側でもシェア数が表示されている。 Nature


参考記事

自然に着想を得たコンピューターは数学が驚くほど得意である
出典: https://phys.org/news/2026-01-nature-good-math.html

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.