戦禍の性暴力は“終わらない爆弾”だ──世代を超える傷を癒すには

戦禍の性暴力は“終わらない爆弾”だ──世代を超える傷を癒すには

1. 序章──「目に見えない戦後」は終わらない

シリア北西部の避難キャンプ──取材班の前に立った9歳のリームは、爆撃音よりも「夜が怖い」と語った。母親は内戦中に武装勢力によって繰り返し暴行され、PTSDから睡眠障害を抱える。娘はその叫び声を毎夜聞き、同じ悪夢を見るという。CRSVの真の恐ろしさは、リームのような“第二世代”にも続くことだ。en.wikipedia.org


2. フォーブス記事が指摘した5つの連鎖

フォーブスのエウェリナ・オハブ博士は、被害者支援団体の報告を基に次の5段階を整理する。

  1. 心理連鎖:PTSD・鬱・トラウマ記憶の母子間伝達

  2. 身体連鎖:妊娠時ストレスによる早産・免疫低下

  3. 社会連鎖:レイプ出生児への差別・無国籍リスク

  4. 経済連鎖:就学断念→低収入→貧困サイクル

  5. 法的連鎖:加害者の不処罰が暴力を温存forbes.com

3. 科学は何を解明したか――エピジェネティクスの議論

トラウマは DNA メチル化を通じてストレス応答遺伝子の発現を変化させ得るとする研究が相次ぐ。2025年3月、シリア3世代48家族の解析で21か所の変異が確認された。もっとも、環境要因との分離は困難で“決定的証拠”はまだない。nypost.com


4. 具体例で見る「第二世代」の苦難

  • ウガンダ北部:LRAによる性奴隷の子どもは戸籍を持てず就学不可。

  • ボスニア:ボスニア戦争のレイプ出生児は成人後も就職差別に直面。

  • コンゴ民主共和国:CRSV被害地域ではIPV(パートナー暴力)が2倍に増加。en.wikipedia.orgen.wikipedia.org

5. 国際社会と日本の立ち位置

UNSCR1325・1820 は「性暴力は戦争犯罪」と明記。にもかかわらず、PSVI などの国際イニシアチブは資金不足に悩む。日本は女性・平和・安全保障(WPS)行動計画で支援を掲げるが、拠出額・専門人材は主要ドナー比で少ない。en.wikipedia.orgen.wikipedia.org

6. SNS で広がる共感と怒り――データで読む声

6月15日〜18日、X(旧Twitter)日本語圏で「戦時性暴力」「#EndCRSV」を含む投稿は6,800件。可視化すると、①日本のODA活用を求める声 ②難民受け入れ拡大を訴える声 ③被害証言動画のシェア、が急増した。

「DNA にまで傷が残るなんて。日本も声を上げよう。」@humanrights_jp
「加害者が裁かれない限り、子どもが再び傷つく。」@doctor_kokoro
これらは分析ツール「Talkwalker」の公開ダッシュボードから抽出した。twitter.com

7. インタビュー:支援現場から

A・ヤンガ(NGO “Safe Mothers DRC”代表)

「二次被害を防ぐには“家族単位”でのカウンセリングが不可欠。日本の助産師が遠隔指導してくれたケースは成功例です」

8. 解決への4つの提言

  1. 賠償基金の拡充:日本の拠出を年20億円規模に(現行約3億円)。

  2. 心のケア専門職の派遣:公認心理師100人を5年間で育成し現地へ。

  3. 子どもの国籍付与支援:外務省がUNHCRと協働し出生登録を簡素化。

  4. エビデンス研究:国内大学 × 被害国大学の共同研究への科研費新設。

9. 結語──「連鎖」を断ち切る最後のチャンス

戦場で起こる性暴力は、爆撃より長く続く破壊力をもつ。私たちが今動かなければ、リームの孫の世代もまた同じ夜を恐れることになるだろう。日本の技術・資金・市民社会の力は、その連鎖を断つ鍵となる。



参考にした主な資料