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海の王者に残る遺伝のバグ?解けないホホジロザメDNAの謎 - 氷期を生き延びた頂点捕食者に起きた不可解な分岐

海の王者に残る遺伝のバグ?解けないホホジロザメDNAの謎 - 氷期を生き延びた頂点捕食者に起きた不可解な分岐

2025年08月12日 08:29

“二重の遺伝子物語”がさらに奇妙に

ホホジロザメほど有名な海の捕食者はいないが、その遺伝史は世界で最も不可解な謎の一つだ。新たな総説記事を出したIFLScienceは、長年の通説を試験的に崩す最新研究を紹介しつつ、「結論は『わからない』」という研究者の言葉で締めくくっている。問題の核心は、核DNAは地域を超えてよく似ているのに、ミトコンドリアDNA(mtDNA)だけが地域ごとに大きく異なるという“二重の物語”だ。 


氷期が生んだボトルネック、そして三つの集団へ

研究チームは、核ゲノムと母系遺伝子座を含む大規模データを用い、まず過去の個体群動態を復元した。その結果、最終氷期末の約1万年前、ホホジロザメはインド太平洋南部の“海の囲い込み”に近い状態で単一のよく混ざった集団に縮退しており、約7,000年前から分化が再開して現在の三つの遺伝集団(南半球、北大西洋、北太平洋)になったことが示された。総個体数は世界でおよそ2万匹に過ぎない。 Florida Museum


この復元は、氷河が海水を閉じ込め海面が約40メートル低下していた地質学的事実とも整合する。氷が融け、アザラシなどの獲物が豊富な北方へと資源が回復したことで、ホホジロザメは再拡大したと推定される。 Florida Museum


20年続いた“雌は帰巣・雄は回遊”仮説の再検証

2001年に端を発する古典的研究は、「雌は毎年ほぼ同じ繁殖地へ戻る(フィロパトリー)ためmtDNAが地域で分かれ、雄は広域回遊で核DNAを均質化する」という説明を提示し、以降の通説となった。ところが今回、核側に“帰巣の痕跡”が全く見つからず、さらにmtDNAの分化速度を組み込んだシミュレーションでも、この説明では観測された差異の大きさに届かないことが示された。つまり、この仮説単独では現象を説明できない。 Florida Museum


“残酷なまでに致死的”な選択? なお続く袋小路

では何がmtDNAだけを強く分けたのか。小集団で起きやすい遺伝的浮動は、核には現れずミトコンドリアだけに選択的に働くことはないため却下。自然選択は候補に残るが、小さな個体群でmtDNAだけにこれほど大差を生むには「残酷なまでに致死的(brutally lethal)」な選択が必要だ、と研究チームは述べる。現時点で確証はなく、“正直な答えは、わからない”——これが最新の科学的結論だ。 Florida Museum


基礎知識:核DNAとmtDNAは何が違う?

核DNAは両親から受け継がれ、形態や行動など“全身の設計図”の大部分を担う。一方、mtDNAは多くの動物で母系遺伝し、細胞のエネルギー代謝と密接に関わる。水温・運動様式・餌資源といった環境要因に対して、mtDNAの変異が微妙に適応的に働く可能性は古くから議論されてきたが、今回のホホジロザメの“核は均質、ミトコンドリアは極端に不均質”という組み合わせは、依然として説明が難しい。 PNAS


研究の一次情報はPNASへ

この研究の査読論文はPNASに掲載され、雌偏った分散(フィロパトリー)仮説をゲノムスケールで直接検証した。さらに、米フロリダ自然史博物館の研究ニュースは、氷期ボトルネックからの回復過程と、通説の否定・保留というポイントをコンパクトにまとめている。より詳細を知りたい読者は両方を参照してほしい。 PNASFlorida Museum


なぜ“謎”が重要なのか

頂点捕食者の遺伝構造は、生態系全体の安定性や回復力の指標になりうる。**個体群が少ない(約2万)**という事実は、気候変動や獲物の再配置が与える影響を増幅し得ることを示す。今回の結果は、**採集設計(どこで・いつ・雌雄どちらから採るか)**や、エネルギー代謝遺伝子の機能解析、温度階梯での選択圧推定など、次の実験・観測の方向を具体的に照らした。 Florida Museum


メディアとSNSの反応

この“不思議な結論”は各メディアに素早く拡散した。ScienceAlertやDiscover、Interesting Engineeringなどが要点を紹介し、「通説が試験で否定された」点と“we have no idea”というコメントが見出しになった。 ScienceAlertDiscover MagazineInteresting Engineering


研究母体のフロリダ自然史博物館は、X(旧Twitter)で**「核とミトコンドリアDNAの奇妙な差に研究者も当惑」**と投稿。FacebookやThreadsでも同主旨の告知が流れ、コメント欄では「教科書を書き換える案件なのでは」「標本数をもっと増やせば見えるものがあるはず」といった科学寄りの意見から、「温暖化や人為圧と関係?」といった連想まで幅広い反応が寄せられた。 X (formerly Twitter)Facebookスレッズ

 



一方で、IFLScienceのオリジナル記事は、氷期からの回復史と3集団の現在分布、通説の再検証を分かりやすく整理。読者コメントでは「“未知”を正直に認める科学の姿勢が良い」といった声も見られた。 IFLScience


次の一手:検証すべき仮説たち

  • 環境選択仮説の精査:mtDNAが関わる代謝経路(複合体I〜V)の非同義置換と水温・遊泳様式の相関を、集団ゲノミクスで再評価。 PNAS

  • 雌雄・年齢構成の時系列サンプリング:帰巣が核側に痕跡を残さない理由の候補を潰すため、成魚・未成魚を分けた解析設計へ。 Florida Museum

  • 広域標本の拡充:北太平洋・北大西洋・南半球の境界域(混在が起きうる回廊)での重点採集。 Florida Museum


結び──“わからない”は出発点

科学は、ときに最も魅力的な答えとして“わからない”を差し出す。ホホジロザメの“二重の遺伝子物語”は、通説の検証が謎の深化を招いた好例だ。次の一手は、機能・環境・歴史をつなぐ実証だろう。解けない謎ほど、研究は前に進む。 PNASFlorida Museum

参考記事

「全くわからない」:数十年にわたるホホジロザメの謎がさらに奇妙に - IFLScience
出典: https://www.iflscience.com/we-have-no-idea-decades-old-mystery-about-great-white-sharks-just-got-even-stranger-80352

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