Googleの新機能「Ask Photos」再登場！“写真にも会話を”──Googleが描く次世代検索の未来図

1. “停止から21日”で戻ってきたAsk Photos

5月末に鳴り物入りで限定公開されたAsk Photosは、わずか数日で「遅すぎる」「結果が的外れ」「アプリが固まる」といった苦情がX（旧Twitter）やRedditを中心に噴出し、6月3日にロールアウト停止が宣言された。Googleフォト担当PMのJamie Aspinall氏はXで「latency, quality and UX が基準に達していない」と率直に認め、「小規模ユーザーに絞って改修する」と投稿していたtheverge.comengadget.com。

まさにその“約束の二週間”から一週間遅れた6月26日、再始動が告げられた。キーワードは「Speed」。今回のアップデートでは…

• クラシック検索との“二段構え”—まず従来のキーワード検索が0.3秒前後で結果を出し、バックグラウンドでGeminiが走る

• Geminiモデルの軽量最適化—推論用TPU/EdgeTPU両対応の量子化バージョンを投入

• UIフィードバックの可視化—進行中の複雑検索はアニメーションで残り秒数を明示

といった改善が挙げられる。Googleは公式ブログで「ビーチ・犬など単純語なら“Right Now”で返す」と胸を張るtheverge.com。

2. Geminiがアルバムの“文脈”を読むとは？

Geminiの特徴はマルチモーダル理解にある。写真の被写体・位置情報・EXIFタイムラインだけでなく、

• 同行者の顔→Googleフォトの人物クラスタ

• 写真内テキスト→OCR＋LLMで内容把握

• 撮影前後に受信したGmail・Googleカレンダー情報

を突き合わせ、「去年秋に行った兄の結婚式で撮った、父が涙ぐんでいる場面」など高度に“場面性”を持った検索が可能になる。ただし、こうしたクロスデータ解析こそプライバシー論争の火種だ。

3. SNSのリアルボイス：熱狂と困惑、そして懸念

今回の再開を受け、Xには「ロード時間が体感5倍速くなった！」「旅行写真の整理が一瞬」といったポジティブ投稿が並ぶ一方で、「Pixel 9 XLでもGemini検索に切り替わらず旧検索に戻る」など技術的トラブル報告も散見される。Reddit /r/GooglePixelではテスターが

“メールの『Try it』を押すとクラッシュして利用規約に同意できない” —TurningTablesAgain氏reddit.com
“Gemini検索はクラシックよりヒット精度が低い気が…” —bfplayer氏reddit.com

と悲鳴を上げ、/r/privacyでは「AIが全アルバムを解析するなんて背筋が凍る」とのスレッドが熱を帯びた。

4. パフォーマンス比較：Ver.β→Ver.β2

TechCrunchが独自計測したシンプルクエリの平均応答時間は1.8秒から0.35秒に短縮され、複雑クエリは13秒→7秒に改善したと報告しているtechcrunch.com。ただし後者は「裏で再検索が走るためユーザーに体感されにくい」とも。

5. プライバシーと透明性──“勝負所”はここだ

Dig.watchなど複数メディアは、再公開に際しても「メタデータ共有範囲やオプトアウト設定が分かりにくい」と指摘するdig.watch。Googleは設定画面に「Gemini features in Photos」を設置し、ワンタップで無効化可能と説明するが、その位置は「設定 ▸ プライバシー ▸ フォト設定 ▸ Gemini機能」と深い。EU AI Act施行を控え、デフォルトONのまま拡大すれば再び炎上は必至だろう。

6. Ask Photosは“写真アシスタント”のトップランナーになれるか

Appleは2025年秋のiOS 19で「Spotlight Memories」を計画、SamsungもOne UI 8で「Galaxy Photo Guide」を準備するとの噂がある。Gemini搭載Ask Photosが“初動躓き”を巻き返すには、

1. 誤検出率の削減：被写体認識エラーは信用失墜に直結

2. エッジ推論の徹底：クラウド送信不要なオンデバイス処理を増やす

3. 透明なログ開示：検索履歴と解析データを可視化するダッシュボード提供

など“Trust by Design”の実装が鍵だ。

7. まとめ：速さを取り戻したAsk Photos、その次の課題

再開後のAsk Photosは確かに速い。だが、ユーザーは「速い検索機を使う自分の写真が、どこで解析されどう保存されるか」を同時に気にしている。Geminiという強力な頭脳を手にしたGoogleが、倫理とUXの両立を実現できるか──その試金石となるアップデートと言えそうだ。