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未来の地球を救う?巨大宇宙傘による気候変動対策が注目集める

未来の地球を救う?巨大宇宙傘による気候変動対策が注目集める

2025年06月13日 01:47

1. サンシェード構想の歴史と仕組み

宇宙サンシェードの原型は2006年のNIAC研究やRoger Angel氏の無数のマイクロレンズ雲案にさかのぼるen.wikipedia.org。理論上は太陽定数を約2 %下げるだけで地球温暖化を“凍結”できるとされ、

  • L1に置くことで太陽・地球の重力と太陽光圧が釣り合い、最小限の推進剤で安定する

  • ソーラーセイル(薄膜)を使えば自律的に姿勢・軌道制御が可能
    といった利点がある。



2. プレカーサーミッションの全容

今回の提案は伊トリノ工科大・Marina Coco准教授らのチームが主導し、総予算1,000万ドルでライドシェア打上げを想定する。12U CubeSat(重量15〜20 kg)に展開型ソーラーセイルを装備し、以下を検証する。

  1. 遮光フィルムの耐久性(紫外線・温度差・微小隕石)

  2. 光帆推進による長期滞留能力

  3. AI自律航法(通信遅延10秒超)

  4. 群制御アルゴリズム(将来は数千機を編隊化)universetoday.com


試験成功後は、数百〜数千機規模へ段階的にスケールアップし、最終的に地球平均気温を最大1.5 ℃押し下げる効果を狙う。



3. 技術的ハードルとブレークスルー

  • 超軽量材料: 厚さ数µmのPI/KaptonフィルムやSiO₂ナノチューブ複合材の量産

  • 光帆展開機構: IKAROSやLightSail 2で実証済みだが、面積2桁拡大が必要

  • 宇宙線・プラズマ劣化: コーティング技術と自己修復ポリマーの開発

  • スペースデブリ: L1は低密度だが、編隊間衝突・光圧による軌道漂移を抑える制御精度

研究者らは「月面資源を使った原料インフラの宇宙内製造」まで視野に入れている。



4. コスト&スケジュール試算

  • プレカーサー:2028年打上げ、運用1年

  • デモンストレーション(100機):2032年

  • 実運用(1,000機超):2040年代前半
    推計総コストは数百億ドル規模とされるが、Starship級の再使用大型ロケットが前提なら1kgあたり運搬費は桁違いに低減すると試算されるspace.com。



5. 科学的メリットとリスク

項目メリットリスク・不確実性
放射収支CO₂削減と独立に即効性遮蔽過多→寒冷化、気候連鎖の破綻
制御性光帆角度で日射量を可変大規模故障時の“終了ショック”
大気影響成層圏化学は無影響太陽定数減少による作物影響

従来議論されてきた成層圏エアロゾル散布に比べ、薬剤拡散や酸性雨の懸念が小さい一方、機械的破損・軌道離脱時のリカバリーが課題となる。



6. ジオエンジニアリングを巡る国際世論

『ニューヨーカー』は「絶望的だが現実味を帯び始めた選択肢」と評し、研究と規制の同時進行を訴えたnewyorker.com。COP交渉の場でも「排出削減を先送りにする逃げ道」との批判が強く、『行わない』自由を誰が保証し、逆に**『行う』責任**を誰が負うのかが焦点だ。



7. 日本国内の議論と影響

日本では気候モデリングや薄膜材料で世界的実績を持つJAXA・東北大・東京大学などが関心を示し、経済産業省のGX戦略でも「宇宙技術によるネガティブエミッション」が言及されている。

  • 再エネ導入率が高まる中、系統安定化の余剰電力を月面資源開発へ回す案

  • 岸田内閣の宇宙安全保障構想におけるデブリ・軌道交通管理との整合性

  • 食糧・農業セクターでは日照不足リスクへの適応技術(スマート農業、LED補光)が急務



8. SNSで広がる賛否

X(旧Twitter)では、「予算たった1,000万ドルで夢が拓ける!」「本番は1,000機飛ばすの⁉︎」といった驚きの声が拡散。科学系インフルエンサー**@Kyukimasa氏の投稿は1時間で数千インプレッションを獲得し、リプ欄では「光帆制御はICAROSで実証済み」「まずは排出削減が先」と技術派と環境正義派**が真っ向衝突したx.comx.com。一方、ゲーム感覚で「地球にパラソル刺すMod来た」と冗談めかす投稿も多く、若年層ほど“SFのリアリティ”として受け止めている傾向が見える。



9. 倫理とガバナンスの論点

  1. グローバル公共財:日の当たり方が変わることで地域ごとの農業収量や水循環に差が出る恐れ

  2. 意思決定:国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)とは別に宇宙条約・責任条約の適用範囲が不明確

  3. 軍事転用:光圧制御技術がブラインド兵器や通信妨害に流用されるリスク

  4. リバーサビリティ:巨大システム停止時に“気温リバウンド”が発生する「Termination Shock」問題

これらを踏まえ、研究者コミュニティは透明性の高い実証段階ロードマップと、市民参加型の多段階合意形成プロセスを提案している。



10. 今後の展望

  • 2025〜27年: 地上実験、材料曝露試験

  • 2028年: プレカーサー打ち上げ、データ公開

  • 2030年代前半: 国際共同デモ機(100機)→L1で部分遮光テスト

  • 2040年代: 商業ロケット低コスト化が進み、本格システム構築の可否を判断
    排出削減と並走しつつも、臨界点回避の保険策としての地位を確立できるかがカギとなる。



まとめ

地球温暖化対策の「切り札」として、L1に巨大な宇宙日傘を展開するPlanetary Sunshade Systemが再び注目を集めている。伊トリノ工科大チームは144 m²のソーラーセイルを備えた12U CubeSatを2028年に打ち上げ、遮光材の耐久性や光帆制御、AI自律航法など核心技術を一挙に検証する計画を発表。総予算は1,000万ドルと比較的低廉だ。成功すれば2040年代に数千機規模へ拡張し、平均気温上昇を最大1.5 ℃抑制できる可能性がある。一方で、気象バランスの攪乱、終了ショック、法的枠組みの欠如などリスクも甚大で、国際合意と透明なガバナンスが不可欠だ。日本国内でもX上で「ゲームチェンジャー」「温暖化の逃げ道」と賛否が割れるなか、科学者は実証と議論の両輪を加速させる必要がある。


参考記事

惑星の日よけは地球を冷やすのに役立つのか?このミッションがその答えを見つけるかもしれません。
出典: https://phys.org/news/2025-06-planetary-sunshade-cool-planet-mission.html

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