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ドイツで基本電気・ガス料金が値下げへ ――約300万世帯が「ひと息」、日本の家計が学べることは?

ドイツで基本電気・ガス料金が値下げへ ――約300万世帯が「ひと息」、日本の家計が学べることは?

2025年11月16日 17:54

1. なぜ今、ドイツで「電気・ガス値下げ」のニュース?

ドイツでは、ロシア産ガスへの依存を背景に2022年以降エネルギー価格が急騰し、家庭の光熱費が大きな政治・社会問題になりました。政府は価格高騰を抑えるために、ガス貯蔵義務や価格抑制策、税率引き下げなどを導入し、同時に再生可能エネルギーへの転換も加速させてきました。verivox.de


その後、ガスや電力の卸売価格が落ち着いてきた結果、ようやく小売料金にも「値下げ」として反映され始めています。今回の報道は、その中でも**「基本供給(Grundversorgung)」と呼ばれる標準的な契約の料金が下がる**という点がポイントです。tagesspiegel.de+1



2. ドイツの「基本供給(Grundversorgung)」とは?

日本でいう「電力会社・ガス会社を自分で選ばず、地域の大手事業者の標準メニューをそのまま使っている状態」に近いのが、ドイツの**Grundversorgung(基本供給)**です。


  • 特別な契約を結んでいない世帯は、自動的にこの基本供給に入る

  • ある地域で最も多くの家庭に電気・ガスを供給している会社が、その地域の「基本供給事業者」になる

  • ドイツ全体では、約800社の電気・基本供給事業者、約700社のガス・基本供給事業者が存在

  • 電気では約4分の1、ガスでは約5分の1の世帯が、いまだに基本供給のまま契約しているとされていますtagesspiegel.de+1


基本供給は、「必ず誰かが電気やガスを届けてくれる」という安心感を担保する制度ですが、料金水準としてはしばしば“割高” になりがちだと、ドイツの消費者団体や比較サイトは警鐘を鳴らしてきました。verivox.de+1



3. 電気料金はどう安くなる? ― 113社が平均9%の値下げ

今回のdpa(ドイツ通信社)配信記事とTagesspiegelなどの報道によると、比較サイトVerivoxの分析では、電気の基本供給料金について以下のような動きが確認されています。tagesspiegel.de+1


  • 地域の基本供給事業者のうち113社が、年明けに電気料金を平均9%引き下げると告知

  • 年間4,000kWhを使用する標準的な世帯の場合、年間161ユーロ(約2万6,000円)の節約に相当

  • 恩恵を受けるのは、約220万世帯(基本供給で電気を契約している世帯)

  • 一方で、4社は平均1%の値上げを予定しており、すべての家庭が安くなるわけではない



3-1. 具体例:ケルンとマンハイムのケース

記事では、具体的な地域名も挙げられています。tagesspiegel.de+2rheinenergie.com+2


  • ケルン(Köln)のRheinenergie(ラインエネルギー)

    • 2026年1月から、基本供給の電気料金を約12%引き下げ

    • kWhあたりの価格は31.48セントに

    • 卸売価格の低下や、送電網コストへの連邦政府の補助金を理由に「このメリットを遅れなく顧客に還元する」と説明

  • マンハイム(Mannheim)のMVV

    • 基本供給の電気料金を約11%引き下げ

    • 新しい価格は1kWhあたり34.82セント

Verivoxのエネルギー専門家は、「送電網の利用料金に対する国の補助が、多くの家庭に電気料金の引き下げとして表れている」とコメントしています。一方で、送電網の料金が必ずしも全国一律に下がるわけではなく、事業者によっては補助を価格に反映させないケースもあり、恩恵が地域によって偏る可能性も指摘されています。tagesspiegel.de+1



4. ガス料金は? ― 69社が平均7%値下げ、70万世帯が恩恵

ガス料金についても、Verivoxは次のような傾向を示しています。tagesspiegel.de+1


  • 基本供給におけるガス料金について、69社が平均7%の値下げを告知

  • 年間2万kWhを使う一戸建て世帯では、年間約183ユーロ(約3万円)の節約に相当

  • 恩恵を受けるのは、およそ70万世帯

  • 一方で、10社が平均6%の値上げを予定

ガス市場でも、卸売価格の落ち着きが値下げの主因とされています。また、ガス貯蔵にかかる賦課金(Gasspeicherumlage)の廃止が、ネット利用料金の値上がりを概ね相殺し、トータルで見ると「ガス料金を下げやすい環境になっている」と分析されています。tagesspiegel.de+2verivox.de+2


具体例として、Rheinenergieやミュンヘン市営のStadtwerke Münchenが、ガス料金を約8%引き下げる一方で、マンハイムではガス料金が据え置きになるなど、地域差があるのも特徴です。tagesspiegel.de+2rheinenergie.com+2



5. 「値下げ」なのに、なぜ値上げされる家庭もあるのか?

今回の統計を見ると、「値下げを行う事業者の数の方が多い」のは事実ですが、それでも一部の家庭には**「値上げのお知らせ」が届く**ことになります。理由はいくつか考えられます。


  1. 地域ごとのネット利用料の差

    • 送電・送ガスのネット利用料は地域によって大きく違い、その変化が料金に直結します。

    • ある地域では大幅に下がる一方、別の地域では上昇し、そのまま小売価格に反映されることもあります。DIE WELT

  2. 調達タイミングの違い

    • 各社は、将来の需要を見越して複数年にわたり燃料を調達しています。

    • すでに高値で買ってしまった分のコストが残っている会社は、値下げ余地が少なく、むしろ値上げせざるを得ないケースもあり得ます。

  3. 経営戦略・収益確保の違い

    • Grundversorgungはもともと「一番安い」プランではなく、事業者によっては他の割安なオンラインプランとの価格差を維持するために、基本供給はあまり下げない方針を取ることもあります。verivox.de+1



6. Grundversorgungは「安心」だが「割高」になりがち

Verivoxなどの比較サイトは、以前から**「基本供給にとどまり続ける世帯は、しばしば“損”をしている」**と指摘してきました。

  • 2025年前半だけで、ドイツの家庭は電気・ガス代で合計約30億ユーロ(約4,800億円)多く支払っていたとする試算もあります。これは、基本供給からより安いプランに切り替えれば節約できたはずのお金だとされています。verivox.de+1

  • 別の分析では、より安い契約に乗り換えることで、1世帯あたり年間1,600ユーロ以上の節約が可能な場合もあると指摘されています。morgenpost.de

これは、日本でいう「電力・ガス自由化後も、何もせずに大手電力会社の旧来メニュー(従量電灯など)のままでいると、実は新電力や別プランより高い」という状況に似ています。



7. ドイツの値下げの背景:エネルギー危機からの“反動”

今回の値下げは、単に「景気が良くなったから」ではなく、エネルギー危機の反動という側面が強いと言えます。

  1. ガス価格の急騰とその後の落ち着き

    • 2022年には、ロシアからのパイプライン供給縮小を受けて、欧州のガス価格が歴史的な高値をつけました。

    • その後、LNG(液化天然ガス)輸入の拡大や節電・節ガス、暖冬などの影響で需給が改善し、2023〜2025年にかけて卸売価格は下落傾向にあります。verivox.de+1

  2. 政府の負担軽減策

    • 一定期間、ガスの消費税(付加価値税)を19%から7%へ引き下げるなど、政府は複数の支援策を実施。

    • 送電網・ガス網の利用料に対する国の補助金、ガス貯蔵賦課金の廃止なども、最終料金を押し下げる方向に働いています。verivox.de+2energie-und-management.de+2

  3. 企業側の競争圧力

    • 比較サイトの普及により、消費者が料金を比較しやすくなり、あまりに高い価格を維持していると、他社に乗り換えられてしまうリスクが高まりました。

    • 特に、エネルギー危機で悪化したイメージを回復するため、**「値下げで信頼を取り戻したい」**という企業側の狙いも見え隠れします。verivox.de+1



8. 日本のエネルギー料金とどこが似ていて、どこが違う?

8-1. 似ている点

  • 自由化後も「何もしない人」は高い契約のまま

    • 日本でも、電力・ガス自由化後に新電力へ乗り換えず、旧来の大手電力会社のメニューにとどまる家庭が多く存在します。

    • ドイツのGrundversorgungも同様に、「何もしないと自動的にそこにいる」契約であり、料金は必ずしも最安ではありません。

  • ネット利用料・燃料費調整などの仕組み

    • 日本も燃料費調整や再エネ賦課金、送電網利用料などが複雑に絡み合って料金が決まる点は、ドイツと共通しています。



8-2. 違う点

  • 制度としての「基本供給」の位置づけ

    • ドイツでは、法律で「誰もが最低限のエネルギーを受け取れるようにする」ために基本供給事業者が定められています。

    • 日本では同様の法的枠組みはありませんが、実質的に地域独占だった大手電力・ガス会社がその役割を担ってきた歴史があります。

  • 再エネ比率と政策の強度

    • ドイツは再生可能エネルギーの比率が高く、再エネ政策の影響を料金が強く受けます。

    • 日本は再エネの導入拡大を進めつつも、原子力の扱いや火力への依存度が依然として高く、その分、燃料市場の影響を受けやすい構造になっています。



9. 日本の読者が学べる「契約の見直しポイント」

ドイツの事例は、「国が値下げしてくれるのを待つだけ」ではなく、個人の契約選びで家計を守る重要性を教えてくれます。日本の家庭ができるチェックポイントを、ドイツの状況と重ねながら整理してみましょう。



9-1. 「標準プラン」のまま放置していないか?

  • 自分の電気・ガス契約が、

    • 「新電力の割安プラン」

    • それとも「大手電力会社の昔からの従量プラン」のままなのか

  • 検針票やマイページを確認し、「プラン名」を一度チェックしてみましょう。



9-2. 年間使用量から「ざっくり損得」を試算する

ドイツの報道は、年間4,000kWh、2万kWhといった標準消費量で影響額を示していました。tagesspiegel.de+1

日本でも、自宅の

  • 年間電気使用量(kWh)

  • 年間ガス使用量(m³やMJ)

を確認したうえで、料金比較サイトやシミュレーターに入力すると、どれくらい節約できるかが具体的に見えてきます。



9-3. 解約条件・違約金の有無

ドイツの基本供給契約は、2週間前の通知でいつでも解約可能という柔軟さがあります。tagesspiegel.de+1

日本の場合も、

  • 最低利用期間

  • 解約違約金

  • ポイント付与や特典

などを確認し、「いつでも乗り換えやすい状態か」をチェックすることが大切です。



9-4. 省エネとセットで考える

料金単価が下がっても、使用量が増えれば支払い金額は変わらないか、むしろ増えます。

  • ドイツはエネルギー危機以降、「省エネは国民的課題」という意識が高まり、暖房温度の引き下げや断熱強化などが進みました。verivox.de

  • 日本でも、断熱リフォームや高効率エアコン、LED照明などと組み合わせて「単価×使用量」の両方から光熱費を見直すことが重要です。



10. エネルギー危機後の「次のステージ」とは?

今回のドイツのニュースは、単なる一時的な値下げではなく、エネルギー危機後の新しいステージに入ったサインとも言えます。


  1. 「高いまま固定」から、「上下に動く時代」へ

    • 卸売価格や政策によって、料金が上がることもあれば下がることもある、変動の大きな時代です。

    • ドイツでは、危機のピーク時より下がったとはいえ、長期的には「以前より高い水準」にとどまる可能性も指摘されています。verivox.de+1

  2. 消費者に求められる「情報リテラシー」

    • 比較サイトで自分に合ったプランを探す

    • 政策や税制の変更をニュースで追う

    • 省エネや設備投資について情報を集める

  3. 日本でも他人事ではない

    • 化石燃料価格の変動や円安、気候変動による需要の変化など、日本の電気・ガス料金も外部要因に強く左右されます。

    • ドイツの値下げニュースは、「日本でも契約の見直しと省エネをセットで考えるべき時代に入った」という“鏡”のように見ることもできます。



11. まとめ

  • ドイツでは、基本供給(Grundversorgung)の電気・ガス料金が2026年1月から広範囲に値下げされ、

    • 電気は113社が平均9%値下げし、約220万世帯が恩恵を受ける

    • ガスは69社が平均7%値下げし、約70万世帯が恩恵を受けると見込まれています。tagesspiegel.de+1

  • 背景には、ガス・電気の卸売価格の落ち着き、ネット利用料への政府補助、ガス貯蔵賦課金の廃止などがあり、エネルギー危機後の「反動」とも言える状況です。verivox.de+1

  • ただし、地域差や会社の戦略により、値上げになる家庭も存在し、Grundversorgung自体は依然として割高になりやすいという構造的な問題も残っています。verivox.de+1

  • 日本でも、自由化後の電気・ガス市場で「何もしないと割高なプランのまま」という点は共通しており、

    • 現在の契約内容の確認

    • 年間使用量にもとづく比較

    • 解約条件・違約金の確認

    • 省エネと料金見直しのセット検討
      が、家計防衛の基本となります。


ドイツのニュースをきっかけに、「うちの電気・ガス、今どんな契約だっけ?」と一度見直してみることが、日本の家庭にとっても大きな節約への第一歩になりそうです。



参考記事

エネルギー価格:多くの人にとって、基本供給の電気とガスが安くなる
出典: https://www.tagesspiegel.de/wirtschaft/energiepreise-strom-und-gas-in-grundversorgung-werden-fur-viele-gunstiger-14852228.html

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