性教育は“わが子の未来へのパスポート” ――絵本『だいじだいじどーこだ？』40万部突破が示す世界的ニーズ――

性教育は“わが子の未来へのパスポート” ――絵本『だいじだいじどーこだ？』40万部突破が示す世界的ニーズ――

2025年06月14日 13:59

1. なぜ今「幼児向け性教育」なのか

1-1 世界的な潮流

2018年の欧州評議会「子どもの包括的性教育ガイドライン」改訂以降、幼児段階でのボディオートノミー教育が国際標準に。
#MeToo後の性暴力予防の観点から、北欧やカナダでは3歳児クラスから「プライベートゾーン」を扱う教材が導入。
2024年、日本でも性犯罪規定が見直され「不同意性交」が非親告罪化し、保護者の関心が急上昇。asahi.com

1-2 日本での“空白”と絵本の登場

従来の保健体育は小５以降。本格的な教材が不足するなか、医師や保育士が中心となり絵本という形で補完。
『だいじだいじどーこだ？』（2021）は発売４年で43万部、異例のペース。出版社は「読者の４割が外国籍保護者」と分析。oizumishoten.co.jp

2. 絵本『だいじだいじどーこだ？』徹底解剖

章	ねらい	具体的メッセージ	家庭での声かけ例
1 からだを知ろう	解剖学的名称とあだ名の両方を提示	「おまた＝外陰部」	「英語では‘vulva’って言うよ」
2 プライベートパーツ	“水着で隠れる場所”は特別	見る・触るときは必ず同意	「触っていい？ NoならNoでOK」
3 イヤと言う勇気	「NO・GO・TELL」の３ステップ	自己防衛スキル	「困ったらTrusted Adultに言おう」
4 大人へのメッセージ	相談窓口と本棚紹介	保護者向けQ&A	LINE相談・多言語サイトの紹介

ワンポイント
英語・中国語・スペイン語併記のフリーダウンロード補助カードを出版社サイトが提供（QRコード付き）。

3. 外国人家庭が直面する課題と解決策

言語バリア：多言語併記の絵本を選び、難語は家庭語で補う。
文化差：日本の保育園では「お着替えの全裸時間」が一般的。子どもに事前説明し、プライバシー概念の違いを議論する。
情報不足：自治体母子保健センターでは無料の英語パンフあり。

4. 教え方の７ステップ（例：3-5歳）

毎日の生活に組み込む（入浴時に身体部位を指差し確認）
“秘密”と“サプライズ”の違いをゲームで体感
ロールプレイで“NO”を言う練習
感情カードで「モヤモヤ」の名付け
信頼できる大人リストを一緒に作る
メディア視聴の同伴で疑問を即解消
定期的に読み返す――理解はスパイラル式に深まる

5. 日本で買えるおすすめ性教育絵本（多言語対応◎）

『パンツのなかのまほう』（かもがわ出版）
『うみとりくのからだのはなし』（童心社）amazon.co.jp
『おちんちんのえほん』（ポプラ社）
『女の子のからだえほん』（パイインターナショナル）
『サッコ先生と！からだこころ研究所』（リトルモア）

6. 専門家コメント

磯崎園子（Ehon Navi編集長）
「2020年比で性教育絵本の売り上げは約10倍。ヒットの鍵は“かわいさ”と“医学的正確さ”の両立です」asahi.com

遠見才希子（産婦人科医・著者）
「幼児向け性教育はタブーではなくライフスキル教育。“知識＝予防”は世界共通の真理です」

7. 学校・自治体の最新動向

東京都杉並区：2024年から区立保育園で本書を用いた読み聞かせを正式カリキュラムに採用。
岐阜市：ALT（外国語指導助手）と連携し、英語でボディオートノミーワークショップを試行。

8. まとめ

400 k＋部の大ヒットは、日本でも幼児向け性教育が急速に浸透している証左。
国際家庭にとっても有効：多言語フォローが進み、文化的違いを乗り越える道具となる。
次のステップは家庭と学校の“対話の橋渡し”。絵本をきっかけに具体的行動（相談先リスト作成など）へ。
ゴールは「すべての子どもが自分と他者のからだを大切にできる社会」。絵本はその第一歩だ。

参考記事・資料

朝日新聞デジタル「性に関する絵本、40万部超えも『どう教えたら』親の悩みに応える」2025-06-14 asahi.com
大泉書店ニュースリリース「『だいじだいじどーこだ？』40万部突破」2025-04-03 oizumishoten.co.jp
Amazon商品ページ『だいじだいじどーこだ？』(書籍詳細) amazon.co.jp
童心社『うみとりくのからだのはなし』刊行情報 amazon.co.jp

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