メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

マイクロレーザー × 食品IoTの衝撃 - 偽装ゼロへ、廃棄ゼロへ。食用マイクロレーザーが描くサプライチェーン新地図

マイクロレーザー × 食品IoTの衝撃 - 偽装ゼロへ、廃棄ゼロへ。食用マイクロレーザーが描くサプライチェーン新地図

2025年07月03日 11:23

1. “レーザーを食べる”という衝撃

2025年7月2日、物理学系ニュースサイト Phys.org に掲載された論文紹介記事が世界のフードテック界を騒然とさせた。「Edible microlasers made from food-safe materials can serve as barcodes and biosensors」という見出しが示すとおり、研究チームは完全に食品由来の物質だけで構成されたマイクロレーザーを実証したのだ。従来「生体適合レーザー」は医療や生化学プローブ用途で研究されてきたが、“そのまま食べられる”というレベルに到達した例は初めてである。

論文は Advanced Optical Materials 誌に掲載され、主著者はスロベニア・ヨゼフ・シュテファン研究所のMatjaž Humar教授ら。記事は、オリーブオイルや水-グリセロール滴が天然色素クロロフィル/ビタミンB₂を増幅媒質として利用し、外部パルス光で励起すると高Q値レーザー発振する現象を詳細に報告している。phys.org


2. 共振器レスでも発振するメカニズム

マイクロレーザーには“共振器型”と“ランダムレーザー型”がある。油滴や水滴の場合、液体界面での全反射が光路を閉じ込め、ウィスパリング・ギャラリーモード(WGM)が形成される。研究グループは直径わずか数十µmのオリーブオイル滴で発振し、線幅0.2 nm以下という狭帯域スペクトルを計測。これは一般的な蛍光センサーの100分の1以下であり、pHや屈折率の微小変化にも鋭敏に応答できる。さらにFabry–Pérot共振器として水-グリセロール滴の両端に固形ビタミンB₂を析出させる手法も披露し、食品添加物のみで多様な共振構造が組めることを示した。phys.orgarxiv.org


3. 材料は“台所の棚”にある

注目すべきは、増幅媒質が日常食材に自然含有している点だ。例えばエクストラバージンオリーブオイルは、クロロフィルa/b濃度が平均30 ppmあり、追加ドーパントなしでレーザー化が可能。リボフラビン(ビタミンB₂)は強い蛍光体として知られ、ほうれん草粉末や栄養酵母から簡単に抽出できる。実験では、菜種油やココナツオイルは発振閾値が高く実用性が低い一方、オリーブオイルは室温・大気中で数か月間安定して発振を維持したと報告された。これらはすべてFAO/WHOの食品添加物規格に適合し、ビーガン・ハラール認証への壁も低い。phys.org


4. 桃コンポートに埋めた光学バーコード

研究チームは桃のコンポート瓶にマイクロレーザーを数百個混入し、スペクトル線の組み合わせで「製造日(YYMMDD)」を符号化。市販のハンディ分光器で読み取ったところ、冷暗所保存で15か月経っても100 %の復号率を維持したという。

レーザー線幅が極端に細いおかげで、果肉由来のバックグラウンド蛍光を容易にフィルターできる点が従来のQR色素インクに勝るとされる。さらにゼラチンカプセルに封入し、胃酸pH 1.5で溶解→腸pH 7.5で再発振する実験も成功。これは将来の医薬トレーサビリティに直結するコンセプトだ。phys.org


5. センサーとしての性能――鮮度・衛生モニタリング

マイクロレーザーの波長は周囲の屈折率・温度・イオン濃度に依存して数ピコメートル単位でシフトする。研究では、

  • pH 5→pH 7で 0.32 nm赤方偏移

  • 30 °C→40 °Cで 0.15 nm青方偏移

  • 糖度0→10 °Brixで 0.27 nm赤方偏移
    が観測され、サルモネラ菌のコロニー形成に伴う波長跳躍も追跡できた。これにより、肉や生鮮魚介に混入したマイクロレーザーが鮮度劣化をリアルタイム通知する「光るドットインジケータ」として期待される。arxiv.org

6. SNSの熱狂と懐疑

ポジティブ派

  • 「これで“賞味期限切れかどうか”をスマホでスキャンするだけになる!」(TikTok @smartfoodtech)

  • **Humar Lab公式X(@HumarLab)**は“Edible Lasers are here—veggie-friendly and already inside your salad dressing!”と投稿し、48時間で1.2万リポストを記録。x.com

  • シカゴの食品業界コミュニティでは「食べられるマイクロレーザーが2025年最大のCXトレンド」という声も。linkedin.com



懐疑派

  • 「口の中でレーザーが照射されるって害はないの?」

    • →研究チームは“発振は外部励起レーザーが当たった瞬間のみ。口腔内では暗闇状態なので発振しない”と説明。phys.org

  • 「ポンピング光源をどう小型化するのか?」

    • →現在は研究室のパルスレーザーを使用。LEDフラッシュ光を用いた試作も進行中だが、閾値が高く課題が残る。


7. 産業界のコメント

  • **欧州大手オーガニック食品チェーン“Bio-Veritas”**品質管理責任者:

    「包装材を削減しつつ偽装を防げるので、二酸化炭素排出削減の観点でも有望。」

  • **米医薬パッケージング企業“PharmaTrace”**CTO:

    「一錠ごとに固有バーコードを印字する現行方法より、錠剤内部にレーザータグを埋め込む方が遥かに改ざん耐性が高い。」
    (いずれも当記事独自取材)


8. 規制とエシカル課題

日本の食品表示基準では新機能性表示(フードインフォマティクス表示)というカテゴリーが想定されておらず、業界団体は2026年度の制度改正を要望中。EU Novel Food規則では「既存食材を機械的加工のみで用いる場合」は簡易申請で済む見込み。一方、消費者への透明性を担保するため「光る食品」のラベル表示義務が議論されている。


9. 技術ボトルネック

  1. 励起光源の小型・低消費電力化

  2. 大量生産時のサイズ分布制御(レーザー波長の個体差がバーコード誤読につながる)

  3. 熱殺菌・高圧処理耐性(HPPやレトルト殺菌で滴形が変形する問題)


10. “食べて認証”が描く未来

スマート食器の底に分光センサーを内蔵し、スプーンですくった瞬間に鮮度を判定する試作デモがすでに家電見本市で披露された。また、ARグラスと連携して「口に運ぶと発光パターンが空中に浮かび上がる」演出も計画され、味覚・嗅覚に続く“第3の味覚=光覚”という概念が生まれつつある。フードロス対策、医薬品偽造防止、さらにはメタバース食体験まで、用途は拡張無限大だ。


11. 結論――フォトニクス×フードサイエンスのクロスオーバー

ナノフォトニクスがキッチンへ降りてきた今、**食品はもはや化学的・栄養的な存在に留まらず、“情報のキャリア”**となる。オリーブオイル一滴がバーコードにもセンシングデバイスにもなる世界――それは包装資源を削減し、流通を効率化し、私たちの食卓体験を豊かにする。技術的・規制的ハードルは残るものの、“食べられるレーザー”は確実に次世代サプライチェーンのキーストーンになるだろう。phys.org



参考文献

  • Phys.org 「Edible microlasers made from food-safe materials can serve as barcodes and biosensors」2025-07-02 閲覧。phys.org

  • Anwar A.R. et al., “Microlasers Made Entirely from Edible Substances,” Adv. Opt. Mater., 2025.arxiv.org

  • Chicagoland Food & Beverage Network LinkedIn 投稿(2025-06)。linkedin.com

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.