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コウモリの脳が示す驚異の神経コンパス:月と星に頼らない新発見

コウモリの脳が示す驚異の神経コンパス:月と星に頼らない新発見

2025年10月18日 00:05

「北はいつも北」——孤島が照らした脳のコンパス

2025年10月16日、科学メディアPhys.orgは、野外で飛ぶコウモリの脳から頭方位細胞(head-direction cells)の信号を直接読み出し、“グローバルな神経コンパス”が作動していることを伝えた。舞台はタンザニア本土から約40km沖のラザム島(Latham Island)。研究チームはコウモリに世界最小級の神経ロガー+GPSを装着し、自由飛行させながら単一ニューロンの発火を記録した(論文は Science 掲載)フィジ.org。


何が“グローバル”なのか

従来、頭方位細胞は室内迷路など限定空間での研究が主流で、環境が変わると方位表現が回転するのか、それとも絶対方位に固定されるのかは議論が分かれていた。本研究では、島の西岸から南岸へ移動しても、北は常に北、南は常に南を指す一貫した方位コードが確認された。さらに、飛行速度や高度の変化でも崩れない頑強さが示されたフィジ.org。


「月や星」は不要——校正は学習で

興味深いのは天体依存性の否定だ。月の出前後や雲の有無にかかわらず、神経コンパスは安定。一方で初夜は不安定で、3夜目には安定化するという学習過程が観測された。これは地磁気ではなく、視覚などのランドマークを取り込みながら環境に適応していくメカニズムを示唆するフィジ.org。


この“ランドマーク統合”という見立ては、過去に提案されてきた3Dコンパスやナビ脳研究の系譜にも位置づけられる(2014年のコウモリ3Dコンパス研究など)newswise.com。


野外ニューロン記録という技術的飛躍

研究代表のナフーム・ウラノフスキー(ワイツマン研究所)は、数年がかりの島探しと現地ラボの設営を経てフィールド実験を実現させた。神経ロガーは高精度GPSと高度計を備え、数百ニューロン同時記録を可能にする。これにより「哺乳類で野外における単一ニューロン記録」という里程標が打ち立てられたECWis。ワイツマン研究所の公式リリースも、“実験室から自然へ”という研究姿勢を強調しているwis-wander.weizmann.ac.il。


さらに、本研究は
バットトンネル
や群れ社会性の神経符号化など、同ラボの長年の蓄積の上に成立している点も見逃せないweizmann-usa.org。


ヒトの“道迷い”への示唆

頭方位細胞はナビゲーションの最小単位で、場所細胞やグリッド細胞とともに空間認知の中核をなす。ヒトでも神経コンパス様の信号が示唆されており、アルツハイマー病での道迷いとの関連や、自律走行ロボットの航法モデル改良に直結する可能性があるフィジ.org。


今回の“グローバルで頑強な方位コード”は、動的環境でも破綻しにくいナビゲーション・アルゴリズムの設計指針になりうる。とりわけ、天候や夜間照度が変動する状況で、ランドマーク学習+自己運動統合によって地図を安定化させる発想は、実装価値が高い。



SNSの反応:科学コミュニティと一般層の“手触り”

 


  • X(旧Twitter)では、記事リンクを共有しながら「月や星に頼らないナビ脳」という見出しへの驚きが広がった。マルセイユからの投稿ではフィールド記録の快挙を称賛する声が見られるX (formerly Twitter)。

  • LinkedInではPhys.orgの投稿やワイツマン研究所の投稿に対し、**“実世界での単一ニューロン記録の難度”や“ロボティクス応用”**を論じるプロフェッショナルのコメントが散見されたLinkedIn。

  • 専門メディアの背景解説では、頭方位細胞の“島全域での一貫性”と天体非依存性が**“現実世界で使えるコンパス”**である意義として強調されているthetransmitter.org。

補足:上記SNS投稿は執筆時点(日本時間 2025年10月18日)の公開情報を基に参照。可視範囲やアルゴリズムの影響で言及量は変動する可能性がある。



研究の核心データ(ポイント解説)

  • 場所:タンザニア沖ラザム島(孤立・低木で見通し良好)フィジ.org

  • 被験個体:エジプトオオコウモリ(野生個体を順化→自由飛行)フィジ.org

  • 計測:単一ニューロン同時記録+GPS+高度。400超のニューロンから方位符号を同定フィジ.org

  • 主結果:

    • 島全域で一定の方位指示(地形が変わっても回転しない)フィジ.org

    • 月出前後・雲有無でも安定(天体非依存)フィジ.org

    • 初夜は不安定→数夜で学習的安定化(ランドマーク統合が有力)フィジ.org

  • 査読:Science掲載(DOI: 10.1126/science.adw6202)サイエンスオーガニゼーション


なぜ重要か:4つの含意

  1. 生態実装の検証:室内での知見を現実世界で再実証。ナビ脳のモデルがスケールとノイズに耐えることを示した。フィジ.org

  2. 学習と安定性:短期学習で方位表現が整合化。ランドマークとの多感覚統合の重要性を裏づけ。フィジ.org

  3. 臨床:方向感覚障害やアルツハイマーにおける空間 disorientationの理解・バイオマーカー探索に資する。フィジ.org

  4. 工学:星や地磁気に依らない“ランドマーク駆動・方位安定化”という発想は、GPS弱い環境のロボット航法やARナビの誤差抑制に直結。



研究の裏側:フィールド脳科学のリアル

計画はしばしば天候や海況に翻弄される。例えばサイクロンFreddyの影響で初動が遅れた記述や、機材と動物の安全確保のエピソードは、フィールド研究の物理的制約を物語るフィジ.org。研究者本人へのインタビュー記事では、ロガー回収のために海へ飛び込むような逸話も紹介され、執念と現場力がブレークスルーを支えたことが伝わるthetransmitter.org。



これからの課題

  • “グローバル”の限界:島規模から都市規模、さらには大陸横断へ拡張したとき、方位表現はどこまで保たれるか。

  • 感覚加重の推定:視覚・嗅覚・聴覚(反響定位以外も含む)の重みづけ学習のダイナミクスを定量化する必要。

  • 種差比較:ヒト、げっ歯類、鳥類との比較神経生理で普遍性と例外を見極める。

  • AI連携:自己位置推定(SLAM)や地図学習への神経モデル移植と、実環境データによる双方向検証。


参考記事

コウモリの脳は、月や星に依存しないグローバルな神経コンパスを明らかにする
出典: https://phys.org/news/2025-10-brains-reveal-global-neural-compass.html

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