「薬もチップも250%関税」—トランプの“爆弾”で世界市場が揺れた夜 : 来週の発表に注目集まる

2025年08月07日 00:33

1. 予告された「次の一手」

8月5日、トランプ大統領はCNBCに出演し、「薬にもチップにも来週あたり関税を掛ける」と踏み込んだ。医薬品関税は当初は小規模だが12〜18か月で150%、最終的に250%へ拡大する段階的スケジュールを明示。半導体は「別カテゴリー」としつつ詳細は伏せたまま、同様に高率関税を示唆した。

2. 背景：関税は万能ツールか

第二期政権入り後のトランプ氏は、4月の包括的10%関税に続き、国別・品目別の“追加爆撃”を連発してきた。医薬と半導体は、それぞれ医療費高騰とAI半導体不足という国内世論の不満が集中する象徴的分野であり、ホワイトハウスの支持率を稼ぐ格好の標的になった。

3. 医薬品セクターへの衝撃

発表翌日、欧州の製薬株を中心に株価が一斉に下落。STOXXヘルスケア指数は2%安、バイエルは一時6.5%安を付けた。ガーディアン
メルク、イーライリリーなどは「多国籍に分散した供給網の即時回帰は現実的でない」とコメント。業界団体BIOは「医療コストを逆に押し上げ、患者負担を増やす」と批判した。

4. 半導体：AIバブルに冷や水

半導体関税はAIクラウド投資のコスト構造を直撃する。マイクロソフトやOpenAI、メタ、アマゾンなどは先端GPUの確保に巨額を投じており、「数十億ドル規模の追加コスト」を覚悟する必要が出てきた。

5. TSMCと“3000億ドル”発言の波紋

トランプ氏はインタビュー内で「TSMCがアリゾナに3000億ドルを投じる」と語ったが、実際の投資計画は1650億ドル規模とされる。数値の食い違いは市場に混乱を招き、台湾側もコメントを控えた。

6. 法的根拠と対抗措置

今回の品目別関税は貿易拡大法232条の国家安全保障条項を根拠とする。232調査は約9か月で完了し、最短で8月14日にも発動可能だ。これに対し、スイスは時計・チョコレートなどへの39%関税を巡り、大統領自らワシントン入りして譲歩案を模索中だ。Reuters

7. 新興国・同盟国の反応

インドは「農家を守る」と強硬姿勢を崩さず、EUは「WTOルール違反の可能性」を示唆。ブラジル経済省関係者は「一次産品に集中する我が国への直接打撃は限定的」と語るが、半導体製造受託企業への投資計画は凍結の動きもある。

8. SNSの熱狂と分断

*X（旧Twitter）*では「#PharmaTariffs」「#ChipWar」が瞬時に世界トレンド入り。

支持派（保守系インフルエンサー）：「薬価ぼったくりに終止符を」「米国製造業の夜明けだ」
懸念派（医療従事者や患者団体）：「高齢者の薬代が跳ね上がる」「ジェネリック供給も危うい」
RedditのPrepperIntel板には「250%で医療崩壊が迫る」といった危機感むき出しの投稿が続々。Reddit

9. 市場・専門家の見立て

エコノミストは「短期的な関税収入は増えても、為替高とコスト転嫁でインフレを再燃させる恐れ」と指摘。医薬品原価の約7割が海外依存という構造上、企業の価格転嫁は避けがたい。半導体では中国回避の再シフトが想定されるが、代替調達先（韓国・台湾）も同関税対象ならコスト増を免れない。

10. 今後のシナリオ

11. 結語

トランプ流の「ショック療法」は短期的には市場に動揺をもたらすが、中長期的にはサプライチェーンの再構築と産業政策の見直しを各国に迫る。医薬品と半導体という生命線を握る2大セクターで始まった関税ドミノが、世界経済のルールを書き換える序章となるのか――次週の正式発表が試金石となる。

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