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AI時代の電力戦争:Appleがヨーロッパで650MWを確保した理由 - 中国でもさらなる展開へ

AI時代の電力戦争:Appleがヨーロッパで650MWを確保した理由 - 中国でもさらなる展開へ

2025年10月17日 00:28

リード:650MWの「次の一手」は、ユーザーの充電まで射程に

Appleがヨーロッパで合計650MWの再エネを積み増した。内訳は太陽光・風力の混成で、ギリシャ110MW、ラトビア110MW、スペイン131MW、ポーランド40MW、ルーマニア99MW、そしてイタリアでは129MW規模のソーラー&ウィンド複合ポートフォリオの一部という布陣だ。今回の電源は、データセンターやオペレーションの電力に加え、ユーザーが製品を使うときに消費する電力(Scope3の「製品使用」)をクリーン電力で“マッチング”していく枠組みを強化するためのものだ。Appleは2030年までに「世界中の顧客による製品使用電力を100%クリーン電力でマッチ」する方針を明言しており、欧州の650MWはその具体的なステップとなる。 TechCrunch


背景:なぜ「製品使用時」を狙うのか

同社の排出構造では、ユーザーが各国の電力網でデバイスを充電・利用する「製品使用時」が大きな割合を占める。今回の動きを報じたTechCrunchも、このカテゴリーがApple全体のカーボンフットプリントのおよそ3分の1を占めると整理している。Appleはこの分野に対して、世界各地で新規の風力・太陽光を開発・調達し、その発電量で顧客の使用電力量を“クリーンに置き換える”戦略を進める。Appleの公式資料では、製品使用時の排出はGHGプロトコルのScope3カテゴリ11に該当し、2030年に向けて世界で推定5GW規模の新規再エネを立ち上げる計画が示されている。 TechCrunch


欧州分散調達の妙:日射は乏しくても、最適地は点在する

「欧州は日射が弱い」という先入観に反し、南欧・東欧には高い発電ポテンシャルがある。Appleが今回選んだ国々は、送電網接続や系統混雑、許認可のスピード、地元デベロッパーのパイプラインなど、非価格要因も総合して“最適地”として浮かび上がるエリアだ。TechCrunchは、欧州の太陽光案件が18カ月程度で建設可能なスピード感と、フェーズごとに分割送電(段階的COD)できる柔軟性を強調。AI対応で電力の確保競争が激化するなか、この「立ち上がりの速さ」は大手テックにとって決定的だ。 TechCrunch


中国:サプライヤー主導の10億元クリーンエネ基金

同時に、中国でも新たな資本スキームが動き始めた。サプライヤーが主導する10億元(約1.5億ドル)のクリーンエネルギー基金は、2030年までに100万MWhのクリーン電力を中国の系統に追加する計画だ。Appleの中国向けリリースは、同国における製造の9割超が既に再エネで賄われていることを伝えている。これはオンサイト自家発、PPA(電力購入契約)、グリーン証書などの組み合わせによるもので、サプライチェーン全体の脱炭素を底上げする構造だ。 Apple (中国大陆) - 官方网站


2030年の大目標に向けた地図

Appleは2020年に「サプライチェーンと製品を2030年までにカーボンニュートラル化」する方針を公表し、以降はサプライヤー100%再エネ化のコミットメントを年々拡大してきた。2025年4月の最新アップデートでは、サプライチェーンで稼働中の再エネが17.8GWに達し、2024年だけで2,218万tのCO2e回避効果があったとする。欧州での650MW上積みと中国基金の始動は、サプライチェーン(Scope3上流)と製品使用(Scope3下流)の両端を同時に締めていく「ダブルエンデッド」なアプローチだ。 Apple


競合の足音:GW級を連発するビッグテック

再エネPPAの主役はAppleだけではない。Metaは2025年に入ってからだけでも太陽光を中心に累計2GW超を積み増し、Microsoftも1.5GW規模の契約を加えていると報じられている。AI時代の電力需要は指数関数的に膨らみ、各社は「安価・迅速・分散」の再エネ+蓄電の組み合わせでリスク分散を図る。今回の650MWは、絶対量としてはGW級の“爆速調達”に一歩及ばないが、地理分散と用途(製品使用時のマッチング)に重点を置く点で差別化される。 TechCrunch


情報発信の“静けさ”:米国本社サイトには未掲載?

今回の告知は、Appleの欧州各国ニュースルームに掲載された一方、米国のプレスサイト本体のフィードには現れていない——とTechCrunchは指摘する。過去にも地域別の再エネ案件は本体フィードに現れていたが、米国内の政治的空気や対再エネ姿勢との摩擦を避ける配慮かもしれない、と同稿は示唆する。企業広報が“地域戦術”を取ることで、政策・世論リスクを低減しつつ実務を前進させる、という読みだ。 TechCrunch


SNSの反応:称賛、疑念、そして現実論

 


発表直後、TechCrunchのX投稿が拡散し、クリーンテック系アカウントや一般ユーザーの間で「大手が前に進めば、他社も追随する」という歓迎ムードが広がった。一方で、「AI・データセンター需要に比べれば650MWは小粒」「“顧客の充電”をどう検証するのか」といった現実論・懐疑論も見られる。エネルギー系のRedditコミュニティでは、系統の柔軟性や蓄電の不足を指摘するコメントも上がり、再エネだけで24/7を満たすための蓄電・送電投資の必然性があらためて議論された。総じて、前向きだが“次は蓄電と需要家側の柔軟性だ”というメッセージが多い。 Twitter


何がユーザーにもたらされるか

ユーザー個々の電気料金が直ちに下がるわけではない。だが、Appleが新規の再エネを市場に追加し続けることは、長期的に地域電源ミックスをクリーン化し、製品使用時の排出を体系的に縮小する効果を持つ。Appleは「製品使用電力のマッチング」という新しい概念を制度設計レベルで文書化しており、RECsや時間一致型のクレジット、地域一致のポリシーなど、次世代のカーボン会計の進化も見据えている。企業が“使う分だけ建てる(Bring-Your-Own-Power)”時代に、顧客側の排出にまで踏み込む取り組みは、他業界にも波及するだろう。 Apple


ボトルネックは何か:許認可・系統・貯蔵

欧州では再エネ案件の許認可リードタイムや系統接続容量の不足が慢性化している。TechCrunchが指摘するように、太陽光は着工から18カ月程度で立ち上がるが、それでも系統混雑や部材供給の逼迫で遅延することは多い。これを吸収するのが大規模蓄電システム(BESS)で、価格低下が続く蓄電の導入が24/7化の鍵を握る。Apple、Meta、Microsoftがいずれも“再エネ+蓄電”のパッケージ化へ舵を切るのはこのためだ。 TechCrunch


結論:ローカルで作り、グローバルに減らす

650MWは、GW級の見出しに慣れた人には控えめに映るかもしれない。しかし今回の特徴は、①国を跨いだ分散最適、②製品使用時の電力マッチングという新潮流、③サプライチェーン側の基金による“地産地消型”の資金循環、の三点だ。2030年に向け、Appleは「グローバル目標×ローカル実装」の設計思想で、サプライチェーンと顧客利用の両端から排出を圧縮していく。競合との“電源争奪戦”が激しさを増すなかでも、地域ごとに意味のあるMWを積み上げる、この静かな加速は長い目で見て効いてくる。 Apple


参考記事

アップル、ヨーロッパで650メガワットの再生可能エネルギーを追加、中国でもさらに拡大予定
出典: https://techcrunch.com/2025/10/15/apple-adds-650-megawatts-of-renewables-in-europe-with-more-coming-in-china/

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