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たった120分で“未来の自分”を可視化する — 富士フイルムNURAが変える予防医療 : 日本の“人間ドック文化”をインドへ

たった120分で“未来の自分”を可視化する — 富士フイルムNURAが変える予防医療 : 日本の“人間ドック文化”をインドへ

2025年11月30日 09:48

1. カメラメーカーだった富士フイルムが、なぜインドでAI健診を?

かつて写真フィルムで世界を席巻した富士フイルムは、いまや売上の約3割をヘルスケアが占める「医療テック企業」という顔を持つようになった。CTやMRI、マンモグラフィーなどの画像診断装置、そしてそれを支える画像処理・AI技術。その集大成のひとつが、インドで展開されているAI健診センター「NURA(ヌーラ)」だ。経済産業省


インドの経済メディアNDTV Profitの特集記事は、NURAを「AIを活用した予防医療の新しいユースケース」として紹介している。NURAの売りは、120分で完了するフルボディの健康チェック。CTや各種検査まで含めた総合健診を約2時間で終え、その場で医師が大画面のタッチパネルを使って結果を説明する——これがNURAの体験の核だ。NDTV Profit


2. 日本の“人間ドック文化”をインドへ——NURA誕生の背景

NURAは2021年、富士フイルムとインドの医療グループ「Dr Kutty’s Healthcare」の合弁事業として、ベンガルールで1号店をスタートした。NDTV Profit


その背景には、2つのギャップがある。

1つ目は**「寿命のギャップ」**だ。WHOの統計では、日本の「健康寿命(要介護にならず健康に生きられる期間)」は世界トップクラスなのに対し、インドはまだ大きな差がある。日本の長寿を支えている要素のひとつが、企業健診や人間ドックに象徴される「予防医療文化」だと指摘されている。Prodwrks - Space for People and Products


2つ目は**「医療アクセスのギャップ」**。インドを含む新興国では、がんの5年生存率が先進国よりも大きく低く、その理由の多くが「発見の遅さ」にある。インドではがん患者の5年生存率が約30%とされ、定期的なスクリーニングの文化も施設も不足していると、経産省の解説は指摘する。経済産業省


「どうすれば日本の予防医療の考え方を、新興国の現場に合わせて展開できるか」。その答えとして富士フイルムが出したひとつの解が、**AIと画像診断をフル活用した“120分の予防医療体験”**だった。


3. 120分の“おもてなし健診”——NURAセンターの中身

NDTVの記事や、実際に受診した人のブログ、レビューを総合すると、NURAの一日はこんな流れだ。NDTV Profit

  • 受付で同意書や簡単な問診を済ませる

  • 和風の要素を取り入れた落ち着いた内装のロビーへ案内される

  • ホテルのコンシェルジュのようなスタッフが1人ずつ付き添い、検査フロアを案内

  • 専用のガウン(和装を意識した“着物風”のものだと紹介されることが多い)に着替える

  • 身長・体重・血圧などの基本測定から、血液検査、CT撮影、マンモグラフィー、子宮頸部検査などへと、ほぼ待ち時間なしで次々と進む

  • 検査終了後、着替えて数分待つと、医師のいる説明スペースへ

  • 大型タッチスクリーンに自分の臓器の画像や体組成データが表示され、医師が1つひとつ解説

  • その日のうちに40〜50ページほどの詳細レポート冊子と、オンラインで閲覧できるPDFが提供される


インド・グルガオンでNURAを利用した日本人駐在員向けブログでは、**「日本の人間ドックよりも動線が整理されていて、1時間半ほどで検査が終わり、その場で詳しい説明まで受けられた」**という感想が書かれている。検査結果をその日のうちに持ち帰れ、WEBからもいつでも見返せる点は、SNSでも“スピード感がすごい”としばしば言及されている。インディアインフォフェア


NDTVの記事でも、一般的な病院の「長い待ち時間」や「殺風景な雰囲気」と対比しながら、NURAが“日本の禅庭園”のような静けさと“ホテルライク”な接客を志向していると紹介されている。診察室ではなく「ゲストとして迎える空間」として設計することで、予防医療をもっと“行きたくなる体験”に変えようとしているのだ。NDTV Profit


4. AIは何をしているのか——“見逃し”を減らすための画像診断

では、NURAにおけるAIの役割は何か。NDTVの記事では、乳がんスクリーニングのケースが紹介されている。従来のマンモグラフィーでは、早期の小さな病変が「問題なし」と解釈され、後のフォローアップで初めてがんと診断されることがある。NDTV Profit


ここでAIが入ると、同じ画像のなかから、わずかな濃度差や形状の乱れを“要注意領域”としてハイライトし、医師に再チェックを促す。富士フイルムは長年の画像処理技術と膨大な医用画像データをもとに、こうした検出アルゴリズムを育ててきたと説明している。Prodwrks - Space for People and Products


さらに、富士フイルムの技術紹介によると、NURAでは**超低線量CTとAI画像処理(例:REILI、PixelShineなど)**を組み合わせ、被ばくを抑えつつ肺・肝臓・腎臓・心臓など多臓器の状態を一度に把握できるようにしている。AIはあくまで「最初の目利き役」であり、最終的な診断は専門医が行う——この「AIは医師のアシスタント」という立て付けは、NDTVの記事でも強調されている。Prodwrks - Space for People and Products


5. 値段とビジネスモデル——“1日50ルピーの投資”という位置づけ

NURAの価格は、インドの一般的な所得水準を踏まえて設計されている。NDTVによれば、フルボディ健診のパッケージは、おおよそ1日あたり50ルピー(年間換算で約18,000ルピー=200ドル前後)というイメージで説明されている。NDTV Profit


インドのスタートアップ・メディアのインタビューでは、NURAの創業者である森田雅治氏が「“公平さ・利用しやすさ・手の届く価格”をスローガンにしている」と語り、あまりに高額になれば予防医療として機能しないと指摘している。Prodwrks - Space for People and Products


現在、NURAはインド国内ではベンガルール、グルガオン、ムンバイ、ハイデラバード、カリカットなどでセンターを展開し、さらにチェンナイやプネーなど他都市への進出も計画されている。Prodwrks - Space for People and Products


世界展開も進んでおり、モンゴルやベトナム、ドバイ、南アフリカ、タイ、フィリピン、マレーシアなどへと広がりつつある。富士フイルムは、2030年までにNURAのノウハウを活用したセンターを世界で100拠点にするという目標を掲げている。Fujifilm


2024年12月にインド・ケーララ州に開設された「NURA Global Innovation Center」は、単なる健診センターではなく、医師や技師のトレーニング拠点、各地のNURAから送られてくる画像の遠隔読影センターとして機能し、AI開発のための画像データもここで集約されている。Fujifilm


さらに、ベンガルールのNURAは開業4周年時点で2万人以上をスクリーニングし、1,500件以上の「命に関わり得るリスク」を早期に捉えたと報告している。こうした数字は、SNS上でも「実際に救われたケースがあるらしい」という形で話題になることが多い。linkedin.com


6. データとブロックチェーン——“医療データを資産にする”構想

NURAを語るうえでもう一つ重要なのが、「デジタル・トラスト・プラットフォーム(DTPF)」という取り組みだ。富士フイルムは、日本とインドをまたぐプロジェクトのなかで、ブロックチェーンを使った医療データ共有の仕組みを試験運用している。富士フイルムホールディングス


ポイントは、受診者の同意のもとに匿名化した健診データを研究チームと安全に共有し、その分析結果をふたたび受診者自身へフィードバックする構造になっていることだ。将来的には、蓄積された健診データから疾患リスクを予測し、個人が自分の医療データを「自分の資産」として扱える世界を目指していると説明されている。富士フイルムホールディングス


これは、データ活用の面では魅力的である一方、**「自分の健康情報がどこまで使われるのか」「AIの学習にどのように用いられるのか」**といった不安を生みやすい領域でもある。後述するSNSの反応でも、この点を気にする声は少なくない。


7. SNSで見えてくるNURAの“評判”

NURAに対する評価は、公式サイトやプレスリリースだけでなく、SNSや口コミサイトを見ると、もっと生々しい姿が見えてくる。


7-1. 好意的な声——「2時間でここまで分かるとは」

インド各地の在留邦人向けブログや情報サイトでは、NURAで健康診断を受けた体験記が複数公開されている。そこでは、

  • 予約から問診票までオンラインで完結すること

  • 当日は食事制限がほとんどなく、ほとんど待ち時間ゼロで検査が進むこと

  • 検査後すぐに医師から丁寧な説明を受けられること

  • 40〜50ページのカラー図入りレポートがその場で手渡されること

などが高く評価されている。中には「毎年ここで受けることに決めた」という声もある。インディアインフォフェア


インドの口コミサイト Justdial でも、グルガオンのNURAは**5点満点中4.1(約190件の評価)**というスコアで、ユーザーの好意的なコメントとして

  • スタッフがフレンドリーで親切

  • クリニックの雰囲気がよく、リラックスできる

  • プロセスがよく設計されていてスムーズ

といった点が挙げられている。ジャストダイアル


7-2. ギフトとしての健康診断——「母の日・父の日にNURAを」

InstagramのNURA公式アカウントでは、母の日や父の日キャンペーンとして、「大切な人へのプレゼントに、健康という約束を贈ろう」といったメッセージで割引を案内する投稿が目立つ。実際、コメント欄では「父に受けさせたい」「夫婦で行きたい」といった反応が多く、健康診断そのものをギフトにするというアイデアが徐々に浸透していることがうかがえる。instagram.com


X(旧Twitter)やLinkedInでも、「会社の福利厚生でNURAを使った」「社員にNURAを受けさせるべきでは」という声が散見され、個人だけでなく企業ユースでも関心が高まりつつある。X (formerly Twitter)


7-3. ネガティブ・懸念の声——価格、AI、データ

一方で、批判や懸念の声も少なからず存在する。


まず価格の問題。都市部の中間〜富裕層にとっては年2万円程度の出費は「投資」として許容範囲でも、インド全体で見れば依然として高額だ。「これでは結局、健康意識の高い都市の人だけのサービスではないか」という指摘は、SNSでも時折見られる。Prodwrks - Space for People and Products


次にAIへの不信感。

  • 「小さな影まで“疑わしい”と表示され、不安をあおられるのでは」

  • 「AIが間違えた場合の責任はどこにあるのか」

といった声がインド国内外のAI医療に関する議論と同様に、NURAに対しても投げかけられている。ただ、NURA側は「最終的な判断を下すのは医師であり、AIは補助にとどまる」と繰り返し説明している。NDTV Profit


最後にデータの扱い。DTPFのようなデータ共有の仕組みは魅力的である一方、「自分の医療データが企業や第三者にどこまで使われるのかがわかりにくい」という不安も根強い。ここは、今後どれだけ透明性のある説明と選択肢を用意できるかが鍵になりそうだ。富士フイルムホールディングス


8. NURAが突きつける3つの問い

NDTVの記事とSNSの反応を合わせて眺めると、NURAは単なる「新しい健診パッケージ」ではなく、次の3つの問いを私たちに投げかけているように見える。


① 予防医療はどこまで“体験”で変えられるのか

NURAは、「病院に行く」から「ホテルに行く」に近い体験を志向している。静かな空間、スムーズな導線、わかりやすいビジュアルのレポート。これらは単なる“付加価値”ではなく、「めんどうだから健診は後回し」という心理的ハードルを下げる仕掛けでもある。


SNSで多くの人が「思っていたよりも楽だった」「エンタメとまでは言わないが、嫌な気分にはならない」と語るのは、この“体験設計”がうまく機能している証拠だろう。NDTV Profit


② AIは“見逃し防止装置”としてどこまで信頼できるのか

AIは、CTやマンモグラフィーの画像から、人間の目ではとらえづらいパターンを拾い上げることができる。その一方で、**偽陽性(問題ないのに「怪しい」と判定するミス)**をどこまで抑えられるか、データの偏りによるバイアスをどう管理するか、といった課題もある。


NURAは「AIは医師の補助」という立て付けを守り、最終判断は専門医に委ねることでリスクを下げようとしている。しかし、AIが役割を増やせば増やすほど、「どこまでAIを信じるか」という問いは避けられなくなる。NDTV Profit


③ 医療データは“誰のもの”なのか

DTPFのような仕組みは、医療データを社会全体の資源として活用するうえで非常に重要だ。一方で、**「自分の健康情報が、どの範囲まで、どの目的で使われるか」**が分からないと、人々は安心してデータ提供に踏み出せない。


NURAのような事例は、「本人にメリットが返ってくるデータ活用」のモデルケースになり得るが、そのためには透明性の高い説明と、利用者が自分で選択できる仕組みが不可欠だ。富士フイルムホールディングス


9. 日本にとってのNURA——“輸出される健康診断文化”の行方

NURAは、日本の企業が自国で培った健康診断文化と画像診断技術を、新興国の現場に合わせて再構成した好例だといえる。

  • 法制度で年次健診を義務化するのではなく、D2Cモデルで「行きたくなる健診」をつくる

  • 高額な人間ドックではなく、中間層にも手が届く価格帯での提供を目指す

  • AIとデジタルをフル活用しながらも、最終的な説明は人間の医師が行う

こうした設計思想は、日本国内の人間ドックや企業健診をアップデートするうえでも、示唆に富んでいる。

日本でも、検査結果の説明が紙のレポートで数週間後に届くのは珍しくない。NURAのように、その場で画像を見ながら、行動変容につながる解説をするスタイルは、日本の医療現場にとっても参考になるだろう。NDTV Profit


10. おわりに——「120分の健診」が変えるもの

NDTVの特集とSNSの反応を眺めると、NURAはまだ“万能薬”ではない。価格やアクセス、AIへの信頼、データの扱いなど、解くべき課題は多い。それでも、

  • 「2時間でここまで分かるなら、毎年やってもいいかもしれない」

  • 「両親にプレゼントしたいと思った」

という声が出てきている時点で、予防医療の“めんどうさ”を一段ほぐしたことは間違いない。NDTV Profit


AIが人間の代わりに病気を見つけるのではなく、人間が自分の体と向き合う時間を増やすための道具として機能する——NURAの挑戦は、その可能性を社会に問いかけている。


今後NURAが世界100拠点へと広がる過程で、私たちの「健康との付き合い方」はどこまで変わるのか。その行方を追うことは、単に1つの企業のビジネスモデルを見る以上に、「AI時代の医療と社会」の未来を考えることにつながっていくだろう。



参考記事

富士フイルムのNuraはAIを活用した予防スクリーニングで医療を変革できるか?
出典: https://www.ndtvprofit.com/technology/can-fujifilms-nura-transform-healthcare-with-ai-enabled-preventive-screening

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