買うか、作るか──視聴時間“購入”のリアルとリスクを暴く！

1. 序章――数字が語る4000時間の現実

　YouTube 収益化の必須条件「直近12か月で総視聴時間4,000 時間」は、登録者1,000 人よりも遥かに到達が難しいと言われる。データ分析サービス Tubics の調査によれば、平均的な中小クリエイターが自然流入のみで4,000 時間を稼ぐには、およそ320 本の10 分動画が必要になるという。そこに“近道”として浮上するのが視聴時間購入サービスだ。ブラジル媒体 Adital は 2025 年版の「おすすめ 6 サイト」を公開し、大きな注目を集めた。adital.com.br

2. 市場の概観――なぜブラジル発サービスが強いのか

　視聴時間販売ビジネスは 2019 年頃から東欧・南アジアで急拡大したが、2023 年以降はポルトガル語圏が主戦場になっている。理由は三つある。(1) ポルトガル語話者の CPM が英語圏より低く、購入コストを抑えられる、(2) ブラジル国内のカード決済・ピクシ（PIX）による即時入金文化が定着している、(3) TikTok・Kw ai でインフルエンサー経済が爆発し、動画ノウハウが横展開されたためだ。こうした背景が「安価で納期が早い」というポルトガル語圏サービスの強みを支えている。publiconline.com.bryoutube.com

3. Adital 選定「6 サイト」徹底解説

解説

• Followgram は 1,000h／2,000h／4,000h の 3 段階。購入後に動画 URL を一つ指定し、複数動画へは自動分散。

• Seguidores はダッシュボードで進捗確認可。キャンセルは未着手分のみ全額返金。

• Word SEO はブラウザ再生を組み込むことで“関連動画”タブに入りやすいとの体験談が多い。

• Subsly は API 連携で時間あたり 120～240h のゆるやかな注入。

• Criador de Youtubers は 4,000h＋1,000 登録者＋10,000 再生の“オールインワン”が人気。

• Jovem Bilionário は金融・投資系チャンネル限定の割引があり、同ジャンルの利用者が多い。

4. 料金と保持率を数値で比較

　各社の平均保持率と単価を棒グラフにすると、コストパフォーマンスは Seguidores > Subsly > Followgram の順。単価最安の Jovem Bilionário は保持率 65％前後で再検証が必要というレビューが散見される。一方 Word SEO は SEO 効果を加味すると純粋な視聴時間単価だけでは測れない付加価値がある。revistademarketing.com.brsnshelper.com

5. SNS で賛否が噴出

肯定派

• 「3 日で審査通過。広告費より ROI 高い」──ポルトアレグレのローファイ系 YouTuber（X 投稿、2025/04/12）

• 「語学教材チャンネルは再生リスト長いから購入は現実的」──教育系クリエイター Discord 談

否定派

• Reddit r/NewTubers では「Bot 視聴は即バレ」「アルゴリズムを毒するだけ」というスレッドが 2,000 いいね超え。reddit.comreddit.com

• Clipchamp 公式ブログも「購入は短期的メリットだが真のエンゲージは得られない」と注意喚起。clipchamp.com

• Socialnomics は 2025 年 1 月の記事で「チャンネル停止リスク」を具体例付きで紹介している。socialnomics.net

6. リスクと YouTube 規約

6.1 YouTube が明示する「不正エンゲージメント」ポリシー

　Google サポートページは「視聴時間や登録者の人工的増加はパートナープログラム（YPP）剥奪の対象」と明言している。つまり購入自体が直接“違法”ではないものの、不正行為を伴う方法（Bot／クリックファーム等）は規約違反だ。support.google.comsupport.google.com

6.2 チャンネル停止までのロードマップ

1. 警告（Warning） —— 初回は 90 日以内に削除・改善で解除

2. ストライク 1 —— 1 週間アップロード停止

3. ストライク 2 —— 2 週間アップロード停止

4. ストライク 3 —— チャンネル永久削除
   　購入視聴時間がアルゴリズム検出されると、多くの場合 ストライク 1 から始まる。Twitter/X では 2024 年末にゲーム実況チャンネルがストライク 3 で抹消された事例がバズった。

6.3 ビジネスリスク

• ブランド案件の失注

• クレジットスコア低下（広告主向け Brand Safety 指標が下がる）

• 将来のレコメンド低下（視聴保持率が“ゼロ扱い”されるため）

7. ハイブリッド戦略――「買う」前提で成功する作法

1. 欠損分のみ購入
   　自然視聴で 2,800h 稼いでいるなら不足分 1,200h だけ買う。過剰注入は不自然。

2. ライブ配信と組み合わせる
   　購入直後に 1～2 時間のライブを行い、チャット誘導で“リアル視聴”シグナルを上書き。

3. コメント施策を同時展開
   　SNS で Q&A を募って動画内で回答し、エンゲージメントを底上げ。

4. 長尺再生リストを用意
   　購入した時間がリストに均等散布されるよう設計し、保持率を平滑化する。

8. 2025 年以降の展望

　2025 年 Q3 以降、主要サービスは「リアル視聴保証型」を打ち出し始めた。AI で生成した擬似視聴者アカウントではなく、ポイントサイト経由で実在ユーザーに報酬を支払うハイブリッド方式だ。Portugal News は「視聴者に 30％、プラットフォームに 70％のレベニューシェア」と報じており、市場は“完全 Bot”から“半リアル”へシフトしている。

9. 結論――数字の先にある“チャンネル価値”を忘れるな

　視聴時間購入は確かに時間と心理コストを大幅に削減する。しかし、それは「数字の帳尻」を合わせる行為に過ぎず、長期的なファン形成を代替するものではない。最良の戦略は「コンテンツ力＋コミュニティ形成＋不足分のピンポイント購入」という三本柱だ。YouTube は 2024 年以降、AI 解析によるエンゲージメントの質評価を強化しており、薄い視聴者層はすぐに棚卸しされる。数の先にある“価値”を設計できるか――それが 2025 年の YouTuber に求められる次のハードルになる。