ワッケン・オープン・エア2025:世界最大のメタル沼 - Guns N’ Roses3時間42分、撤収6時間

ワッケン・オープン・エア2025:世界最大のメタル沼 - Guns N’ Roses3時間42分、撤収6時間

Photo: Christian Charisius / dpa via AP © 2023 The Associated Press. All rights reserved. 


 濃い霧のような水蒸気がステージ前に漂い、スピーカーの低音が泥の海を震わせる──8月3日深夜、34回目を迎えたWacken Open Air(以下W:O:A 2025)が「Rain or Shine」の掛け声と共に幕を閉じた。延べ85,000人のメタルヘッズは4日間で102 テラバイトものモバイルデータを放出し、轟音と共に記憶に残る“泥フェス”を作り上げたが、エピローグは試練の大渋滞だった。



■ 泥にまみれた“ラスト・モッシュ”

 降り続いた雨がキャンプサイトを水田のように変え、最終日は早朝から55台のトラクターが車両を牽引。警察はわずか24時間で違法駐車140件を摘発し、火災による一時閉鎖が発生した国道430号では帰宅を急ぐヘッズが立ち往生した。SAT.1 REGIONALの現地レポートによれば、無料で出動した地元農家のトラクターは30台以上。ボランティアの農家たちは「これもメタル文化の一部」と笑い合いながら泥にタイヤを沈め、参加者を“聖地”から解放したという。SAT.1 REGIONAL



■ SNSに噴き出した怒りと諦観

 会場外では、SNSが“第2ステージ”となった。Reddit /r/wacken には〈「夢のフェスは完全な悪夢だった。テントが沈み、命の危険すら感じた」〉〈「インスタの苦情コメントを運営にブロックされた」〉など批判のスレッドが連日トップを占拠。ある投稿者は泥にまみれた写真を添え「足が壊死しそうだ」と吐露し、別のユーザーは「水と泥と牛糞のカクテル」と皮肉った。Reddit


 Facebook上でも「Nie wieder Wacken(もう二度とワッケンは行かない)」という長文投稿が拡散。約800 kmをかけて来場したキャンパーが〈「約束された電源なし、場所移動三度、スタッフからは“自己責任”の一言」〉と不満を並べ立てると、メタルコミュニティは〈「畑に舗装道路を求めるな」〉と反論、コメント欄は炎上状態となった。fr.de



■ 伝説級のステージと「最長3時間42分」

 それでも現地に残ったファンは、Guns N’ Roses が3時間超のロングセットでフェス最長記録を樹立し、「Paradise City」の大合唱で泥臭い夜を締めくくったと胸を張る。ほかにも Papa Roach、Machine Head、Saltatio Mortis、Apocalyptica、BAP、そして“Metal Queen” Doro Pesch がゲスト出演するなど、ラインナップは豪華。運営は最終夜のドローンショウで早くも2026年の出演陣──Def Leppard、Powerwolf、In Flames、Savatage、Sepultura ら──を発表し、会場限定チケット1万枚を即日完売させた。



■ インフラ課題と今後の布石

 Vodafoneによると、今年のデータ通信量は前年比20%増。通信は耐えた一方、排水と動線の脆弱さは露呈した。Redditでは土木技術者を名乗る参加者が「地盤改良より開催時期を6月にずらす方が現実的」と提案する一方、長年のリピーターは「泥こそがワッケンの洗礼」と反論し、議論は平行線をたどる。Reddit


 運営側は会場外周に新たな暗渠(あんきょ)工事を検討中との非公式情報もあるが、現時点ではチケット価格が333→349ユーロへ値上げされること以外、公式な改善策は示されていない。ファンは「値上げ分を排水工事に投資してくれ」とハッシュタグ #DrainTheHolyGround でプレッシャーをかけている。



■ “ヘドバン”と“粘土質”が共存する場所

 結局のところ、W:O:A は「不便を楽しむ覚悟」が試される祭典だ。離脱組の悲鳴と、残留組の歓喜。泥の深さとギターリフの厚みが比例するかのように、賛否はまだ乾かない。2026年、Def Leppard の「Pour Some Sugar on Me」が泥の雨に混ざるとき、ワッケンは再び世界最大の“メタルの沼”となるだろう。