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量子テレポーテーション、ついに“別々の光”で成功 — 量子リピーター開発を前進させたドイツチームの成果

量子テレポーテーション、ついに“別々の光”で成功 — 量子リピーター開発を前進させたドイツチームの成果

2025年11月20日 00:14

量子テレポーテーションが「別々の光源」でも成功——量子インターネットへの道が一歩近づいた


2025年11月18日、ドイツ・シュトゥットガルト大学などの研究チームが、離れた場所にある2つの半導体量子ドットから出た光子同士で量子テレポーテーションを実現したと発表しました。論文は Nature Communications 誌に掲載されており、量子インターネットの「心臓部」ともいえる量子リピーターの実現に向けて、大きなハードルを1つ越えた成果です。Phys.org


以下では、この成果がなにを意味するのか、ざっくり図解しつつ、SNSで起こりそうな反応も交えながら解説していきます。



そもそも何がすごいの? 一言でいうと…

  • 従来:同じ場所・同じ装置から出た光ならテレポーテーションはできていた

  • 今回:離れた場所にある2つの量子ドットが出す光のあいだで、

    • 「この光の“状態”をあっちの光にそっくりそのまま写す」=量子テレポーテーションに成功

    • しかも、通信インフラで使いやすいテレコム波長帯に周波数変換して行った

これができると、「遠く離れたノード同士をつなぐ量子リピーター」を半導体ベースで組める可能性が一気に高まります。Phys.org



日常のインターネットは、実はけっこう心もとない

元記事は冒頭で、(かなりストレートに)今のインターネットの危うさを指摘しています。Phys.org

  • ハッキングで銀行口座やIDが盗まれる

  • AIでフィッシング攻撃がどんどん巧妙になる

  • 暗号方式そのものも、将来の量子コンピュータには破られる恐れがある

こうした背景から、量子暗号・量子通信への期待が高まっています。


量子の性質を使うと、

  • 「盗み見すると必ず痕跡が残る」

  • 「完全コピーが禁止されている(量子の“コピー禁止法則”)」

といった特徴を活かして、盗聴耐性の高い通信を実現できるからです。



量子インターネットと量子リピーターの壁

現実的な量子インターネットを作るには、今の光ファイバーのインフラをそのまま使えることがほぼ必須です。Phys.org

  • 通常のインターネット:

    • 光信号はだんだん弱くなるので、**約50kmごとに光増幅器で“音量アップ”**してつないでいる

  • 量子インターネット:

    • 量子状態はコピーできないので、同じやり方で「増幅」できない

そこで登場するのが、**量子リピーター(quantum repeater)**です。


  • 単なる「増幅器」ではなく、

  • 「途中のノードで量子情報を別の光子にテレポートして、リレーのバトンのように送り継いでいく」装置

今回の成果は、この量子リピーターを実現するための、もっとも難しい「バトンの受け渡し」部分に関するブレイクスルーだと言えます。Phys.org



今回の実験をざっくり図解

1. 2つの量子ドットが、それぞれ別の場所にある

  • 量子ドット:

    • ナノメートルサイズの半導体中の“人工原子”のような構造

    • 決まったエネルギーを持つため、条件を整えれば「性格のそろった」光子をポンポン出してくれる光源になるPhys.org+1


今回の実験では、

  • QD1:単一光子源(1個だけ光子を出す)

  • QD2:絡み合った光子ペアを出す源

としてそれぞれ使われています。Nature


2. 「テレポートしたい情報」を1個目の光子に載せる

  • QD1から出た光子に、

    • 偏光(水平/垂直やその重ね合わせ)として量子情報を符号化

  • これが「テレポートされるべき情報を持った光子」です。Nature


3. 2個目と3個目は「絡み合ったペア」

  • QD2からは、連続して2つの光子が出てきます:

    • 先に出る「XX光子」(光子2)

    • 後から出る「X光子」(光子3)

  • この2つは量子もつれ状態になっていて、

    • どちらか一方を測定すると、もう一方の状態も強く制約される関係にあります。Nature


4. 「周波数が違う」という大問題を、周波数変換でねじ伏せる

本当は、別々の量子ドットから出た光は

  • 微妙に色(周波数)が違ったり

  • 時間的なプロファイルが合わなかったり

していて、「まったく同じ光」だとは言えません。
しかし、量子テレポーテーションでは、干渉させる光子同士がほぼ完全に区別できないことが重要な条件です。Phys.org


そこで研究チームは、

  • 偏光を保ったまま周波数を変えられる量子周波数変換器を2台用意し、

  • QD1・QD2から出る光をテレコム波長帯に変換しつつ、色もぴったり一致させる

という芸当をやってのけました。Phys.org


5. ベル測定で「情報だけ」を瞬間移動

  • テレポートしたい光子(QD1の光子1)

  • もつれペアの片方(QD2の光子2)

この2つを、**ベル状態測定(Bell state measurement)**という特別な測定装置に通します。Nature


この測定で得られる結果に応じて、

  • QD2側に残っていた光子3(もつれペアのもう一方)が、

  • 「光子1がもともと持っていた量子状態」を引き継いだ状態になる

これが「量子テレポーテーション」です。物質そのものではなく、状態だけがコピー不可な形で“引っ越し”するイメージです。Nature



実験条件と成果:まだ10m、それでも大きな一歩

今回の実験では、

  • 2つの量子ドットは約10m離れた光ファイバーで接続されていました。Phys.org

一見すると「え、たった10m?」と思うかもしれませんが、

  • 以前の研究で、このグループは36kmの都市部光ファイバーでも量子もつれが壊れないことを示しており、Phys.org

  • 今回は**「離れた光源同士のテレポーテーション」がきちんと動くかどうか**を確かめるための実証実験という位置づけです。

テレポーテーションの「忠実度」(どれくらい元の状態に忠実か)も、

  • 古典的な限界を大きく上回る約0.72という値が報告されています。Nature

これは、「まだ100点ではないが、本物の量子テレポーテーションと言えるレベルに達している」ことを意味します。



研究者たちの手応え

シュトゥットガルト大学のミヒラー教授は、

「異なる量子ドットから出た光子間で量子情報をやり取りできたことは、長距離をつなぐうえでの重要な一歩だ」

と語っています。Phys.org


また、実験を主導したストローベル氏は、

「ここまでくるのに長い年月がかかった。この結果は、基礎研究が実用技術へと歩みだした証拠だ」

とコメントしており、研究チームの積み上げがようやく形になったという達成感がにじみます。Phys.org



ここからは「SNSでありそうな反応」まとめ(フィクション)

※以下は、実際の投稿ではなく、ニュースが流れたときにSNSで出てきそうな声をイメージしたフィクションです。

ワクワク派

「量子テレポーテーション、ついに『別々の光源』で成功ってマジ? 量子インターネット、ガチで来るじゃん。」

「半導体量子ドットでここまでできるの、シンプルにエモい。将来、量子VPNとか普通に使ってそう。」

「テレコム波長に変換してるの、めちゃ実務的で良い。研究なのにインフラ目線入ってるの好き。」


セキュリティガチ勢

「量子リピーターが本当に実用化したら、今の公開鍵暗号の上に“量子レイヤー”を載せる時代になりそう。」

「量子コンピュータが暗号を破る未来より、量子通信で守る未来の方が先に来てほしい。」


SF誤解派

「人体テレポーテーションまであと何年?🤔」

「そのうち“フルダイブ型量子ネット”とか出てきそう(絶対出てこない)。」


冷静な研究者・エンジニア目線

「忠実度0.72をさらに引き上げて、ノード数増やして、フィールド実験して……って考えると、商用化まではまだ長いマラソン。」

「でも“別々の半導体光源”同士をつなげるのは避けて通れないステップ。今回の論文はその意味でかなり重要。」



私たちの生活にどう関わる?

この種の研究はすぐに「明日からスマホが変わる」タイプの話ではありませんが、長い目で見るとかなり生活に効いてきます。Nature


1. 金融・行政の通信

  • 国家間や大企業間の超長距離の機密通信

  • 中央銀行や証券取引所の接続など、

    • 「1ビットでも漏れたらアウト」の通信に量子チャネルが使われる可能性


2. 量子コンピュータ同士の「量子ネットワーク」

  • 物理的には別々の場所にある量子コンピュータを、

    • 量子テレポーテーションやもつれ分配で結びつけて、

    • 分散量子計算を行う研究が進んでいます。Nature

今回の成果は、「そのネットワークをつなぐ光源側の問題」に対する答えの1つになり得ます。


3. 量子センサーと宇宙インフラ

  • 衛星に搭載した量子センサーからの情報を、

  • 地上の量子ネットワークにそのまま流し込むといった構想もあり、

  • 将来的には、「宇宙+量子インターネット」が組み合わさったインフラが議論されています。MDPI


テレポーテーション=ワープではない、という大事な話

ニュースのたびに誤解されがちなのが、

「物体が丸ごと瞬間移動するわけではない」

という点です。


  • テレポートされるのは情報(量子状態)だけ

  • しかも、古典的な通信チャネル(普通の情報伝送)も必ず必要で、

  • 「光の速さの壁」を破っているわけではありません。

これは「ノーコミュニケーション定理」と呼ばれる、
量子もつれを使っても超光速通信はできないとする定理によって保証されています。ウィキペディア


つまり、

  • SFでよくある「人間丸ごとワープ」は、少なくとも今の物理では別物

  • 今回の成果はあくまで、

    • 安全で強力な“次世代インターネット”を作るための技術的ステップ

として理解するのがよさそうです。



今後の課題:成功率アップと距離のスケールアップ

研究チームは、今後の課題として次のような点を挙げています。Phys.org

  1. テレポーテーション成功率のさらなる向上

    • 量子ドットの性質の微妙な揺らぎが、光子の“揃い具合”を乱してしまう

    • 半導体プロセスの改善で、より均一な量子ドットを作る必要

  2. より長距離での実証

    • 都市内数十kmレベルのフィールド実験

    • そこから、都市間〜国際間のリンクへ

  3. 実用的な量子リピーターへの統合

    • メモリ、誤り訂正、ネットワーク制御などと組み合わせて、

    • 「箱としての量子ルーター/量子リピーター」を作れるかどうか

今はまだ、「1つ1つのパーツがようやく実験室で動くようになってきた段階」といえますが、今回の成果はそのパーツ群の中でもかなり難度の高い部品が動いたという意味で、量子インターネットロードマップ上の重要なマイルストーンになりそうです。



参考記事

遠く離れた2つの光源からの光子間で量子テレポーテーションが達成される
出典: https://phys.org/news/2025-11-quantum-teleportation-photons-distant-sources.html

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