メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

植物の若返り?葉の老化を操る分子スイッチの発見

植物の若返り?葉の老化を操る分子スイッチの発見

2025年11月02日 00:24

1. 何が見つかったのか

2025年10月、Nature Plantsに掲載された論文は、葉の「若さ」から「老い」への転換点を、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)が押すという決定的証拠を示した。新たに同定されたlncRNA CHLORELLA は、核で作られ→細胞質を移動し→葉緑体へ到達、葉緑体のPEP(plastid-encoded RNA polymerase)複合体に結合して光合成関連遺伝子の転写活性を調節する。発現量が高い間は葉緑体が“稼働モード”を保つが、発現が下がると“老化モード”に切り替わるという。dx.doi.org


Phys.orgの解説は、研究のポイントを一般向けに整理し、CHLORELLAが「葉の老化開始タイミング」を制御する分子スイッチであることを強調する。Phys.org


2. 背景:葉緑体は「工場」から「資源源」へ

葉は成長期に光合成でエネルギーを生み、やがて老化が始まると、葉緑体の構成要素そのものが種子や茎・根に再配分される栄養に変わる。これは植物の生存戦略の要だが、その切り替えの号令がどこから来るのかは長年の謎だった。今回の研究は、**核→葉緑体の“順行(anterograde)シグナル”**としてlncRNAが働く実体を示した点で画期的だ。Phys.org


3. どうやって分かったのか:学際的アプローチ

研究チームは、アラビドプシスをモデルに遺伝学的スクリーニングで葉緑体機能と連動するlincRNA群を抽出し、単一分子イメージングでRNAの移動を追跡、質量分析で相互作用タンパク質を同定した。結果、CHLORELLAがPEP複合体に結合し、葉緑体内の転写制御に直接関与することが示された。Phys.org


4. スイッチは誰が押す?——GLK転写因子

GLK(GOLDEN2-LIKE)は、光合成装置の発現を司る“葉緑体番頭”として知られる転写因子だ。今回、GLKがCHLORELLAの発現を上流で駆動しており、成長期には高発現で光合成を維持、老化開始とともにGLK活性が下がり、CHLORELLAが減って葉緑体が“終業モード”になる、という一本線の絵が描けた。GLKの作物改良上の有望性は先行レビューでも指摘されており、本経路は実装可能性の高いターゲットになりうる。dx.doi.org


5. 何ができるようになるのか:応用の射程

  • 収量・品質の向上:成熟期直前まで光合成能力を維持(いわゆる“stay-green”性)できれば、穀類や野菜の同化産物の積み増しが見込める。CHLORELLAやGLKの組織・時期特異的制御は、過度の「青立ち」を避けつつ収量最大化を図る選択肢になる。dx.doi.org

  • 環境耐性の設計:老化はストレスとも密接に絡む。lncRNAを介したクロロプラストの機能転換を調律することで、旱魃や窒素制限下でも適切なタイミングでの資源再配分を実現できる可能性がある。dx.doi.org

  • 基盤データとの統合:葉老化に関わるlncRNA群は過去研究でも俯瞰されており(Arabidopsisで数百種)、CHLORELLAの位置づけをネットワークのハブとして再評価する好機だ。Frontiers


6. 注意点と限界

  • モデル植物バイアス:現時点の主材料はアラビドプシス。作物種で同様の経路が保存されているか、発現調節の副作用はないかの検証が必要。dx.doi.org

  • 収量トレードオフ:老化遅延は成熟遅延と背中合わせ。登熟・病害抵抗性・倒伏など全体設計が欠かせない。レビューでもGLK改変の可能性と同時に、過度な光合成装置活性のリスクが議論されている。nph.onlinelibrary.wiley.com


7. SNSの反応ダイジェスト(10/10–11/1の公開後)

 


  • Nature Plants公式がレター公開を告知。**「核→葉緑体のlncRNAベース順行シグナル」**というキーワードがコミュニティで拡散した。X (formerly Twitter)

  • 韓国メディアの英語記事(Chosun Biz, Dong-A Science など)が相次ぎ紹介し、“K-Plant Science”の存在感を指摘する声も。biz.chosun.com

  • 研究者コミュニティでは、「PEP複合体にlncRNAが結合」というメカニズムに注目が集まり、「作物応用はGLKやプロモーターの時期制御が鍵」といった慎重かつ前向きなコメントが散見された(ResearchGateや学会系SNSでのシェア)。ResearchGate

※主要SNSでは具体的な数値的バズ(大規模トレンド)というより、植物生理・ゲノミクス領域の専門アカウントを中心に議論が進んだ印象だ。引用元は公式ポストや報道・学術SNS上の共有に基づく。X (formerly Twitter)


8. 次に来る研究

  1. 時空間制御:CHLORELLA発現の時期・組織特異的制御(プロモーター工学、スイッチャブルCRISPRa)。

  2. 作物種での検証:イネ・トウモロコシ・トマトなどでの老化時系列トランスクリプトーム+表現型解析。

  3. 育種・バイオデザイン:GLK–CHLORELLA–PEP軸を既存のstay-green遺伝子やホルモン経路と組み合わせた多遺伝子設計。dx.doi.org


研究のキーポイント(箇条書き)

  • 発見:核で作られたlncRNA CHLORELLA が葉緑体へ移動し、PEP複合体に作用して光合成遺伝子を制御。dx.doi.org

  • 制御系:上流のGLKがCHLORELLA発現を維持、低下で葉緑体機能が老化モードへ。dx.doi.org

  • 意義:順行シグナルにRNAが関与する仕組みを実証。作物の光合成期間延長・収量最適化への応用に期待。dx.doi.org

  • 一次・二次情報:Nature Plants(2025年10月10日)、Phys.org(10月31日)。dx.doi.org


参考(出典)

  • Phys.org “Molecular 'switch' that controls aging of plant leaves discovered” (2025年10月31日). Phys.org

  • Nature Plants “The chloroplast-targeted long noncoding RNA CHLORELLA…”(2025年10月10日). dx.doi.org

  • GLKレビュー(光合成・作物形質改善での可能性)。nph.onlinelibrary.wiley.com

  • 韓国メディア報道(英語)。biz.chosun.com

  • 葉老化とlncRNAの俯瞰研究。Frontiers


参考記事

植物の葉の老化を制御する分子「スイッチ」を発見
出典: https://phys.org/news/2025-10-molecular-aging.html

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.