恋と消費のあいだ――メン地下アイドル・ホスト・メンコンに“リアコ”する若い女性たちの現在地

2025年06月22日 21:12

1. 用語を整理しよう

リアコ：「リアルに恋している」の略。女性ファンが男性アイドルやホストに本気の恋愛感情を抱きつつファンであり続ける状態を指す。男性オタクの場合は“ガチ恋”と呼ばれることが多い。zexy.netdomani.shogakukan.co.jp
色恋営業：顧客に「交際できるかも」と思わせる言動で高額消費を誘導する手法。2025年改正風営法で違法リスクが明文化された。note.comgladiator.jp
メン地下アイドル（メン地下）：インディーズで活動する男性地下アイドル。握手・チェキ撮影など距離の近さが売り。fam-security.com
ホストクラブ：男性キャストが酒と会話を提供する接待飲食業。「売掛」や「シャンパンコール」で多額請求が問題化。bloomberg.co.jp
メンズコンカフェ（メンコン）：男性版コンセプトカフェ。カフェを装いながら実質ホスト化しつつある店舗も増え、暴行・高額請求被害が報告されている。ktv.jp

恋愛感情を利用した勧誘＝色恋営業の禁止
料金の虚偽説明・無断オーダーの禁止
違反時は公安委員会が営業停止命令、再違反で許可取消し可
ホストのみならずガールズ／ボーイズバー、コンカフェまで網羅する内容で、“抜け道”探しのいたちごっこに一石を投じる狙いがある。bloomberg.co.jpwindsgyosei.com

項目	ホストクラブ	メン地下アイドル	メンコン
主な収益源	シャンパン・ボトル	チェキ、ポイント商法	高額ドリンク、席料
接触度	隣席接客・同伴	物販チェキ・私物サイン	店舗による
色恋営業度	★★★★★	★★★★☆	★★★★☆
未成年リスク	低い（入店18歳以上）	高い（高校生ファン多数）	中～高

（筆者作成。各種報道と業界関係者ヒアリングをもとに整理）

韓国コンテンツ振興院によればK-POP関連市場は2003年の4,000万ドルから2018年には50億ドルへ急拡大。フォトカード獲得を目的に同一アルバムを大量購入する現象が定着している。medium.com

上海や広州の“陪酒バー”では女性が男性スタッフに数万元を使うケースも報告され、SNSで恋人気分を演出する営業が横行。hongkong.asiaxpat.com

共通点：距離の近さと恋愛禁止設定で“幻想”を保ち、課金を競わせる点は日本と酷似。
相違点：日本のメン地下・メンコンは握手や私物サインなど物理的接触の頻度が高く、依存度がより深刻になりやすい。

「推しに『君だけ特別』と言われ、半年で200万円をカードローン。返済のため夜職に…」――20歳・大学生Aさん
「メンコン規制がない分“セクハラし放題”。ホストより危険」――都市社会学・武岡暢准教授ktv.jp

「推しに恋する幸せ」と「金銭・身体被害」は紙一重だ。法律整備で“悪質な色恋営業”は抑止されつつあるが、ビジネスモデル自体は姿を変えて生き残るだろう。ファン側が自律的にリスクを見抜くリテラシーを持ち、行政・教育・民間支援が連携してセーフティネットを張ることが、健全な“推し活”文化を守るカギとなる。

「『色恋営業』禁止、波紋広がるホストクラブ業界－改正風営法が施行へ」Bloomberg（2025-06-20）bloomberg.co.jp
「2025年風営法改正案と『色恋営業』規制」note（2025-05-22）note.com
South China Morning Post “Japan’s host clubs face reform as new law targeting predatory practices bites” (2025-06-16) scmp.com
ファミリーセキュリティ「メンズ地下アイドルの闇」（2025-01-08）fam-security.com
関西テレビ「『メンコンの方が治安悪くなってきた』トラブル相次ぐ」(2025-05-23)ktv.jp
Popteen編集部「リアコとは？意味や関連用語を解説」（2024）popteen.co.jp
Vellichor Literary “The Harmful Consumerism and Unhealthy Parasocial Relationships Within the K-pop Community” (2024-08-11)medium.com
Korea Times “Capitalism of parasocial K-pop relationships” (2024)koreatimes.co.kr