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猛暑のハンディファン、涼しさの裏に潜むリスク──世界が直面する「携帯涼」の光と影

猛暑のハンディファン、涼しさの裏に潜むリスク──世界が直面する「携帯涼」の光と影

2025年06月18日 21:12

目次

  1. はじめに:世界規模の猛暑と「携帯涼」ブーム

  2. ハンディファンの仕組みと普及の背景

  3. 40 ℃を境に逆効果?—風による熱移動の基礎

  4. 科学が示す分岐点:最新研究レビュー

  5. 湿度と発汗—有効性が変わる三つのシナリオ

  6. バッテリーが抱える二つの危険:発熱と発火

  7. 国際機関・各国当局の推奨と禁止ライン

  8. 正しく使うための4か条

  9. 代替冷却ツールと新技術の潮流

  10. まとめ:個人冷却の未来と私たちの選択

  11. 参考記事一覧



1. はじめに:世界規模の猛暑と「携帯涼」ブーム

2023〜2025年にかけ、欧州・北米・アジアの主要都市で過去最高気温を更新する熱波が相次いだ。軽量で持ち歩けるハンディファンは、どこでも涼める“救世主”として普及したが、万能ではない。



2. ハンディファンの仕組みと普及の背景

ハンディファンは小型モーターで羽根を回し対流を促す。火照った皮膚表面の汗を蒸発させ、気化熱で体を冷やすのが基本原理だ。2019年以降、USB充電式・首掛け型・腰装着型など多様化し、世界市場規模は2024年に45億ドルを突破したと推計される。



3. 40℃を境に逆効果?—風による熱移動の基礎

人体は通常、

  • 放射(皮膚→空気への赤外線放散)

  • 対流(皮膚周辺の空気を温度差で入れ替え)

  • 蒸発(汗の気化)

    の3経路で熱を捨てる。しかし周囲温度が皮膚温(約35 ℃)を超えると放射と対流は「熱取得」に転じる。WHOは“屋内外を問わず40 ℃超では扇風機だけに頼らない”と明記する。who.int



4. 科学が示す分岐点:最新研究レビュー

2025年発表の実験では、気温43 ℃・湿度20 %の室内でファンを使用した成人の深部体温が風なし条件より平均0.4 ℃高くなり、心拍数も上昇。sciencedirect.com


一方、気温35 ℃・湿度70 %では、肌を水で湿らせながらファンを併用すると心臓への負荷が下がったと報告される。sciencedaily.com
研究は「高温低湿では逆効果、高温多湿では補助的効果」という二面性を示した。



5. 湿度と発汗—有効性が変わる三つのシナリオ

環境期待される効果リスク
< 40 ℃・低〜中湿◎対流冷却・蒸発促進乾燥による脱水
≥ 40 ℃・低湿✕熱取得↑・深部体温↑熱中症
≥ 35 ℃・高湿 + 湿潤皮膚◯蒸発促進が優勢衣類が乾かずかぶれ





6. バッテリーが抱える二つの危険:発熱と発火

6-1. 高温環境での劣化

環境省の報告書は、リチウム電池搭載機器を炎天下の車内に放置すると内部温度が急上昇し、劣化や発火の恐れがあると指摘。


6-2. リコール事例

米CPSCは2021年にリチウム電池の過熱で火災の恐れがあるハンディファンをリコール。
日本国内でも「ファンを首に掛けたまま充電ケーブルを接続し、首元で発火した」事例が報道された。asahi.com



7. 国際機関・各国当局の推奨と禁止ライン

  • WHO:40 ℃を超える環境で扇風機のみの使用は避ける。who.int

  • CDC/NIOSH:湿球温度30 ℃(気温約38 ℃・湿度50 %相当)で作業効率が急低下し事故率が上昇すると警告。

  • 各国消防局:バッテリー製品を高温下の車内に放置しない。



8. 正しく使うための4か条

  1. 気温と湿度を確認:40 ℃を超える場合はミスト・冷房と併用。

  2. 皮膚を湿らせる:汗が蒸発しない高湿環境では、霧吹きで肌や衣類を濡らす。

  3. バッテリーの温度管理:充電中・使用中ともに直射日光を避け、体温で覆わない。

  4. 異常を感じたら中止:風が熱い/バッテリーが膨張・異臭の場合は即停止。



9. 代替冷却ツールと新技術の潮流

  • ペルチェ素子内蔵ネッククーラー

  • 水循環式ベスト

  • 相変化素材(PCM)入り衣類

  • 都市インフラの「クールシェイド」(アブダビやシンガポールで実証中)



10. まとめ:個人冷却の未来と私たちの選択

ハンディファンは適切な条件下では手軽で有効なツールだが、40 ℃超の乾燥高温環境では熱中症リスクを高める。またリチウム電池の発熱・発火事故は“見えない危険”として潜む。


使用前に環境指標を確認し、湿潤併用やバッテリー管理を徹底することで、安全と快適を両立できる。地球温暖化が進む今こそ、「涼しさの質」を見極めるリテラシーが問われている。




参考記事一覧

  • World Health Organization「Heat and health」(2024)

  • D. Low et al.「Physiological Strain with Electric Fans During High Heat」Journal of Building and Environment (2025)
    ※記事は有料ジャーナルの場合があります。

  • ScienceDaily「Fans are not a magic bullet for beating the heat!」(2024-04-04)

  • 朝日新聞デジタル「携帯ファン、使い方次第で熱中症リスクも」(2024-08-01)
    ※記事全文は会員登録が必要な場合があります。

  • 環境省「リチウム蓄電池等処理困難物対策集」(2024)

  • CPSC「Rite Aid Recalls Rechargeable Handheld Fans Due to Fire Hazard」(2021-07-21)

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